この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

実写版『鋼の錬金術師』のクレームにクレーム。

2017-12-04 21:30:17 | 新作映画
 ある映画に対し、駄作!と切り捨てるのも、傑作!と褒め称えるのも、それはその人の自由だと思います。
 それまで生きてきた人生が違うのだから、面白い!(もしくは面白くない!)と思うポイントが違うのも当然ですよね。

 自分は『ショーシャンクの空に』が大好きで、一般的にも評価が高いですが、あの映画を「くだらない」と酷評している映画評論家を自分は知っています。
 自分が好きな映画を酷評されたからといって別段腹は立ちません。
 その評論がきちんと筋が通っているのであれば、なるほど、そういう物の見方もあるのか、と感心するぐらいです。

 ですから、実写版『鋼の錬金術師』を酷評する人がいたとしても、別段腹は立たないのです。自分も別に傑作だ!と思ったわけではないですし。

 ただ、それらの酷評はあまりに筋が通らないものが多いように見受けられました。
 筋が通っていないと思った酷評に、いや、クレームに対してクレームをつけたいと思います。

①だから漫画の実写化映画はあれほど止めろと言ったのに、などとすべての漫画原作の実写映画を否定するクレーム。
 実写版『鋼の錬金術師』を駄作!と切り捨てるのはまぁいいです。
 しかし実写版『鋼の錬金術師』が駄作だからといって、他の漫画原作の実写化映画が駄作であるとは限らないはずです。
 漫画原作の実写映画を否定している人って『ヒメノアール』や『アイアムアヒーロー』を見たの?って言いたくなりますね。

②西洋風の世界を舞台にした作品でキャストが日本人というのは無理があるというクレーム。
 こういうことを言ってる人って、つまり日本人は日本人の役以外演じるな、って言ってるんでしょうか?
 いつからお芝居ってそんなに窮屈なものになっちゃったんでしょうね?

③入場者特典に『鋼の錬金術師』の0巻をつけるなんてけしからん!というクレーム。
 このクレームも本当によく見かけるんですが、前売り券や入場者の特典をつけるかつけないか、そしてつけるとして何をつけるかというのは、まったくもって映画会社の自由だと思います。
 そのことでクレームをつける権利は我々鑑賞者にはないはずですよ。弁えましょう。

劇中のワンシーンをカットして、雑だと貶すクレーム。
 あのさ、どんな傑作映画であっても、特定のワンシーンだけをカットすれば、そりゃ雑なところもあるに決まってるよ。
 『ターミネーター2』でいえば、ショッピングモールでの銃撃の着弾数の違いとかね(詳しくはこちら)。

⑤原作と映画との設定の違いに対するクレーム。
 原作と映画では焔の錬金術師ことマスタング大佐の着火の仕方が違うそうです。
 個人的にはそんなこと、どーでもいい!としか思えません。
 大佐の着火の仕方が違うことが気に入らない人って、『スパイダーマン』は原作のアメコミと映画では糸の出し方が違うことをどう思うんでしょうね?

 他にもヒロインのウィンリィの髪の色にもこだわる人がいて(原作では金髪、映画では茶髪)、これがウィンリィ役の本田翼の大根演技が気に入らないというならまだわからないではないのですが、正直そんな細かいことにこだわらなくても、と思いますね。
 個人的に、ウィンリィの髪が茶髪になったのは、単純に主役のエドが金髪だからだと思いますけどね。(実際そういったシーンがなかったとしても)金髪の二人が重なったりしたら、どこからどこまでがエドの髪で、どこからどこまでがウィンリィの髪かわからないですから。

 繰り返しますが、実写版『鋼の錬金術師』を酷評すること自体はまったく自由だと思います。
 しかし今回のネットでのバッシングぶりを見るにつけ、実写版『鋼の錬金術師』を酷評している人って映画を観て駄作だという結論に至ったというより、まず駄作であるという結論ありきで映画を観ているような気がしてなりません(だから些細な設定の差異が気になる)。

 もし本当に実写版『鋼の錬金術師』が駄作であるというなら、細かな設定の違いや特典などにクレームをつけず、脚本の疵や演出の欠点などに言及して欲しいものです。
コメント
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