この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

今さらながら渡辺前竜王を擁護してみる。

2017-12-06 22:32:27 | ゲーム
 羽生善治棋聖が第30期竜王戦七番勝負第5局に勝利し、竜王に復位、これにより永世竜王の称号を得て、史上初の永世七冠を達成しました。
 将棋を知る者でこの偉業を喜ばぬ者はいないでしょう。

 2017年は藤井四段の29連勝に始まり、羽生竜王の永世七冠達成で締めるという、未曽有の将棋フィーバーの一年だったと言ってよいと思います。

 しかしほんの一年前、2016年は日本将棋界が揺れに揺れた年でした。
 三浦弘行九段が対局中の将棋ソフト不正使用を疑われ、その年の竜王戦七番勝負の挑戦者から外されてしまう事件が起こったのです。

 このとき、三浦九段の不正を日本将棋連盟に訴えたのが他でもない渡辺明前竜王でした。
 けれど、結局三浦九段の不正は証明されず、証拠もなく彼を訴えた渡辺前竜王は多くの将棋ファンから非難され、今に至ります。
 渡辺前竜王は将棋界から引退すべき、という声もよく耳にします。
 今期の彼の不調もこれらのバッシングと無関係というわけではないでしょう。
 将棋はメンタルの状態に非常に左右されるゲームですからね。

 多くの将棋ファンから非難された渡辺前竜王の行動ですが、自分は問題ないと考えます。
 証拠もなしに一棋士の不正を訴えるなんて許されるわけがないだろう、という人もいるかもしれませんが、自分は許されると思いますよ。

 これをボクシングに置き換えるとわかりやすいかな。
 チャンピオンが次の防衛戦の挑戦者がグローブにイレギュラーな細工をしているという噂を耳にして、そんな細工をするような奴とは戦えないとコミッショナーに訴えたとします。
 これって何か問題がありますかね?
 ないですよね。不正のない試合に臨むことはチャンピオンとして当然の権利だと思います。
 
 では次にコミッショナーはどうすべきなのか?
 黒い噂が立つ挑戦者を外し、代わりに別のボクサーを防衛戦の挑戦者に立てるべきなのか?
 違いますよね。
 噂はあくまで噂なのですから、不正が証明されない限り挑戦者はそのままで試合は行うべきでしょう。
 代わりにチャンピオンに対して、試合においては決して不正はさせない、見逃さないことを約束し、試合に臨ませる。
 これがコミッショナーの正しい決断だと思います。

 翻って三浦九段の不正疑惑事件においては、渡辺前竜王に非はなく、三浦九段を挑戦者から外した日本将棋連盟に落ち度がある、そう自分は考えます。

 今回の竜王戦七番勝負第5局対局中、そして対局前の渡辺前竜王のプレッシャーは尋常ならざるものがあったでしょう。
 ブログで彼はこう述べています。
>それにしても肩にカメラが乗るというのはああいう感じなんですね。
 肩にカメラが乗る、この表現の本当の意味が分かる人ってどれぐらいいるんでしょうか?

 竜王を失冠しましたが、渡辺前竜王は未だ棋王のタイトル保持者です。
 必ずや来年には巻き返しを図るものと信じています。
コメント
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