きのうはやあるきのじいさんにおいぬかれる

犬と酒依存症のおっさんが、車椅子を漕ぎながら、ネガティブに日々見たり聞いたり感じたりした暗めの話題を綴ります。

「津軽」を読み終えた

2014-03-06 22:00:00 | 徒然に2014-2015
久々に、感想文。
失礼なことを云えば、予想に反して面白かった。この歳になって、太宰の作品を面白く読むということ自体、恥ずかしくもあるが。

昭和19年という時代背景。なのに、何故か。

酒が次から次へと出てくる。いいんだろうかと言うぐらい配給の酒をかき集める呑む酔う。こんなの当時の雑誌に載せて良かったんだろうか。一歩間違えると只の呑兵衛の飲み歩きである。太宰だから許されるのだが。

只の酒飲みではない。「風景」論、街の「表情」の考察、はっとさせられるところも結構あった。

これを学生時代に読んで単車に跨っていたら、目にする光景も少し趣が違って見えたかもしれないか。否、そこまで分かる年齢ではなかったかもしれないあの頃は。

誤解を恐れずに云うなら、近代版アナザースカイ、かな。

地図がないので、ウェブで調べたり解説見たりしながら読んだ。電子書籍だったから、難しい語句は辞書の大辞林が付いているので便利だった。地図も工夫次第で写せたはずではある。電子書籍に手を出して、こういう作品に触れる機会があったということは、有り難かった。

所々特に最後、結構自分の知っている太宰っぽくなって別の意味で面白かった。ぷつん、と音がするような終わり方も。

そして、麦の合う本だった。良い感じで酔えた。