1日の終わりに ~森真理マンドリン教室~

マンドリンと共に暮らす日常のあれこれを、ほぼ毎日綴っています。

ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2013

2013年11月10日 | Weblog
昨日、サントリーホールで二つ参加してきました。

まず、ひとつめは「レクチャー&室内楽」。
ヘルスベルク楽団長とウィーン・フィルの仲間たち
ベートーヴェンのヴァイオリン奏者、イグナッツ・シューパンツィック
~その生涯と初演した室内楽曲~

ひさしぶりのサントリーホール。
やはり素敵です。何がって、もうすべてが。
ウィーンフィルだからなのか、レクチャーコンサートでありながら、お着物姿の方がちらほら。漏れ聞こえる会話の端々にセレブ感たっぷりなのです。
お話はドイツ語なので、イヤホンガイドを借りました。
使ってない人は、ドイツ語OKってことなんでしょうねー。

お話と演奏がもう少し絡み合っていたらよかったんですが、話が淡々と長く(内容は興味深いものでした)、同時通訳といいながら原稿を読んでいるような感じで、かなり意識が遠のきました。
なんかもっとうまい進行方法があるのではないか、と思います。
演奏はしっかり聴きました。

ふたつめは、「ウィーン・フィル首席奏者によるマスタークラス<弦楽四重奏>」
こちらが、思っていた以上におもしろかったです。
うとうとする暇さえなかった。

さきほどのキュッヒル・クァルテットのライナー・キュッヒルが講師です。
受講は、2つの四重奏。
特に印象に残ったのは、2組目でした。

というのも、素人目にも1組目はちょっとこなれていない感じで、音色そのものもアンサンブルも、まだまだ伸び代のある様子でした。
2組目は、登場するからにステージ慣れしているのがわかりました。
演奏も、先ほどとでは子供と大人ほどの違いがありました。
こんなに上手で、先生はいったいどんな指導をするんだろう、と思ったほどでした。
演奏後の拍手も盛大なものでした。

が、しかし。

先生は予想外に浮かない表情。

「あなたたちは、それぞれが自分の音に恋をしているようですね」

と最初に言ったんです。

これはかなりショックだったと思います。
経歴を見ても、かなり自信を持っていて当然のはずだからです。
自分の演奏に酔いしれて、大事なことができていない、なんて指摘されたら・・・。

その後、少し弾いては止めて注意されることの繰り返し。

・どうしてここをそんな風に弾くんですか?あなたは歌うときにそんな風に歌いますか?
・「私はこんなに楽器をまっすぐ持てるんです」、と自慢しているように見えます。
・大事でない音をいつまでも大きく伸ばしすぎです。
・音が死んでいます。もっと生き生きと。
・空虚な音です。

厳しい指摘の数々でした。
これも、上級者だからこそのアドバイスなんでしょう。

特に弓使いはたくさん直されていました。
ダウンかアップか、でまったく違う感じになるんですね。

時折、先生が受講生の楽器を持ってお手本を弾くんですが、その音色の素晴らしいこと!
2組目は本当にきれいな音色だと思っていたんですが、ひとたびキュッヒル氏がさらりと弾くと、同じ楽器とは思えないような音なんです。
ビオラをお手本に弾いたときも、もっとずっと聴いていたいと思いました。

細かく書いたら本当にいろいろあるんですが、とてもためになるいいマスタークラスでした。
ただ、2組続けて休憩なしだったこと、2組目が2楽章に突入したことで、客席が少し集中力を欠いた感じになったのが残念でした。
10分でも休憩を入れたほうがよかったと思います。

濃い内容で、素敵なブルーローズで、千円とはとてもお値打ちでした。
それにしても2組目の人たちは、あれほどまでにダメ出しをされると思わなかっただろうな。
あのあと、楽屋で4人がどんな会話をしたのかしら、と思います。

コメント
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