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今、ニセコビレッジのヒルトンホテルにいます。貧乏人にはなかなか近寄り難い受付を抜けて、露天風呂です。
あぁ、極楽極楽。
なぜヒルトンホテルにいるのか?これには訳があるのです。もちろん、訳というほどの訳ではないけどね。
話は斜里のクリオネに戻ります。
クリオネには数人の長期滞在ライダーがいた。ファンキーけいすけ、ダル君、人参バイトのキャロットカンタ。そしてもう一人、日本一周中の鹿児島のライダーサムの助君。
このサムの助君、北海道の外周一周を早々と成し遂げ、クリオネに何をするでもなく二週間滞在中。毎日、地図を見ながら、あぁ、全然時間が足りねぇ~と呟いて今後の日程を検討している。・・・面白い奴だ。
このサムの助君、とにかく薄着なのである。
サムの助君がバイクで出かける時に、あれっ?上着着ていかないの?寒いよ。と言うと、えっ?これ上着ですよ。
えっ?それはジャージでしょ?
ジャージじゃないですよ、ほら、裏地が付いてます。
・・・薄いスカジャンの裏地くらいの裏地がジャージの裏にくっついていた。
その上着はかなりのボディフィットなフォルムである。中に何を着ているのか聞くと、ヒートテックちゃんと着てますよ。だって。
外は一桁の気温、バイクで風を切る。死ぬな・・・こいつ。
ある夜、そのサムの助君が、僕とカンタにヒルトンホテルの温泉無料招待券をくれたのだ。
サムの助君は面白いヤツで、ガイドブックの写真に騙されるタイプ。
この夕陽、すごくないっすか?ここ行きたいんすよ!
この温泉のこの夕焼け、すごくないっすか?ここ絶対最高ですよ。
時間とか天気とかタイミングとかが全部合わないと、こんな風には見えないんだよと言うと・・・
そうっすよねぇ、絶対ここ行くっす!
といった感じ。
ヒルトンの温泉の写真も見せてくれ、ここ最高じゃないっすか?と言っていたが・・・
今日は生憎の小雨。夕陽も星空も見えそうもない。
せめて、サムの助君が来た時には晴れてくれるように祈るばかりだ。
僕はみんなより一日早く斜里を出発した。
その夜は多和平でキャンプをしたわけだが。
翌日、降りしきる雨が止んだ頃、牧場の方、遠くに手を降る姿が。・・・サムの助君である。
サムの助君は、あまりの寒さに上下ともカッパを着ていた。そりゃぁそうだ。
僕の片付けと準備を待っていてくれ、一緒に出発した。
一緒に出発したのはいいのだけれど、二キロほど行った先の分かれ道で、二人は別れる。
良い旅を!
そう言い合って僕らは別れた。
今頃何処を走っているのだろうか・・・。
ヒルトンホテルの温泉に浸かりながら、約束を果たしたような、そんな心地良い気持ちに包まれているのである。