山田洋次監督の映画「小さいおうち」を見てきました。
とてもいい映画でした。
山田監督の前の映画「東京家族」とダブるキャスティングも多くー妻夫木聡、橋爪功、吉行和子などなどーー重ね合わせて観ると、それもまた面白いものがありました。
ストーリーは、東京の山の手の「小さなおうち」で「女中」として働く女性(黒木華)の視点を通して、昭和初期から戦争に至る日本の中産階級の人々の「普通の暮らし」を描いています。
松たか子演じる奥様の「恋愛」を軸にして進んでいくのですが、わたくしとしては、そんなことより、昭和初期の、玄関を入ってすぐにある応接間とか、鉄棒で体操するおもちゃ(主人は玩具会社の重役という設定)、すりこぎとすり鉢で作る料理、庭ではきものの伸子張りをするーーそんな日常のことが、懐かしくも興味深かったです。
向田邦子さんの世界にちょっと似ていますね。
山田監督ですから、当然、戦争批判もありますが、それも控えめで、むしろ、南京陥落の報に、
「~~デパートでは大売出しをやるわよ。ぜひ一緒に行きましょう」
といった当時の日本人の気持ちが、それが本当なんだろうな、と掛け値なしに描かれていて興味深かったです。
目を皿にして見たのは、もちろん、きものと髪型です。
タキさんと奥様
普段の「耳隠し」ヘア
少し正装の「耳隠し」ヘアは前髪うねり三回~~。
ぜひ、マネしなくちゃね。
この「禁じられた恋」の行方はどうなるのでしょうか、というストーリー。
しかし、またまたわたくしにとっては、
恋の行方より、こういう小さなおうちも、そこで笑ったり泣いたりして生きている人も皆、いなくなってしまうんだなあ、ということが、
滂沱の涙、というより、
身体の奥から少しずつ押し寄せてくるような、
自分の「おうち」や家族のことでもあるかのような、
懐かしさで喉の奥が痛くなってくる、そんな静かな哀しみを感じました。
しかし、ですね。
一つ疑問に思ったのは、好きな人に会いに行く前と帰ってきたときの、(奥様の)「博多帯のお太鼓の独鈷模様が右と左と逆になっていた」というタキさんの意味深なせりふ。
相手の部屋で帯を解いたとして、名古屋帯を左右逆に巻くということがあるでしょうか。
逆に巻いていくと、お太鼓には前帯の筋が付くだろうし、お太鼓部分をわざわざ半分に折って逆に巻くこと、あり得ないのではないか、と思いました。
帯を解いた証しとするなら、ポイント模様の帯にして、その模様の位置が違っていた、などとするとかね。
きもの、着ていると、こんなこと気になります。
三越本店で行われた「小さなおうち」展で展示されたきもののことを教えてくださいました。
ぜひ、見てください。
博多帯も展示されてますよ。
それでも、マスカラが落ちて目の下が黒くなってしまった
その日のコーディは、
グレー紬に青のひげ紬紅型帯
自分で染めた友禅の失敗作を帯揚げに(汗)
帯締めは、先日「LUNCO」で購入した道明。
可愛い可愛い布でチクチクした半襟。
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