このところ、
周りにいろんなことが起きて、
気分は急上昇やら急下降。
ジェットコースターやらは
大の苦手なのですが、
HSP(敏感体質だから~~)
私自身のことではなくても
気分が伝わってきてドキドキ。
「ドキドキわくわく
って不安と似ているなあ」
と感じることしきり。
そんなとき、
古い本を開いていたら、
同じような一節が目に飛び込んできました。
「疲れない体をつくる和の身体作法」
安田登さんという能楽師の本です。
「能の動きは心身の安定を保つ
素晴らしい技法だ」という趣旨の本です。
能楽師は年を取らない、それどころか、
「老木(おいき)になるまで、
花は散らで残りしなり」
これが人間の理想というわけです。
さて、目に飛び込んできたのは、
「ドキドキは楽しいだけの気持ちではありません」
という一節。
何かが起きそうなときには
「うまくいかなかったらどうしよう」
「失敗したら恥ずかしい」
「何か起きるかわからない」という
大きな不安もありますね。
本では、この気持ちを「初」という言葉で
表しています。
「初恋」「初心」の「初」という字は
「布に刀」、つまり
「布を切る」が語源です。
これは前にも書いたことがあるような気がする。
この本、何度か読んでいるから。
着物を縫うとき、布にはさみを入れるときには、
まさに「失敗したら台無しになる」とドキドキ、
でも新しいきものを作るというワクワクもあります。
「不安や怖さを抱えながら、新たな世界に
エイッと足を踏み入れる」
そんな気持ちを世阿弥は
「初心」と言っていますね。
年を重ねると「安定」「心の平穏」を
大事にするし、新しい世界に飛び込んで、
いまさらそんな平穏は失いたくない、
と一方では思います。
もういいよ、と。
何もしなければ、それはそれで平和な毎日。
それでも、周りに年齢に関係なく、
若い人が多いものだから、
会うとそのドキドキが伝わってくる。
着物にはこの「初心」の気持ちがたくさん含まれています。
たとえば、始めてたとう紙を開くときのドキドキ、
シツケ糸を小鋏で切っていくときのワクワク~~。
ワクワク、ドキドキを無理やり
お裾分けされている気分、というか~。
お裾分けながら、ミラーニューロン
発達しているせいか、
他人事に思えない紫苑。
一緒にどきどきしながら、
「どうかうまく行きますように」との
不安と祈るような気持ち。
うまくいくと、自分ごとのように
嬉しい気持ちとが交互にやってくる。
「初心」とは
「これまでの自分を断ち切ること」と世阿弥。
だから痛みを伴うのは当たり前。
「~~今までの価値観が崩れ去り、
今までの自分がガラガラと崩れ去る魂の
危機を感じるかもしれない」と安田氏は
怖いことを言います。
なのに、なぜあえてそんなことをするの?
と不精な紫苑は思ってしまいますが、
それをしないと、
新しい着物は着れないから(笑)?
新しい着物は作れないから~~?
それもあるけど~、
古く固定されたままの自分では
周りはどんどん変化しているのに、
そのギャップで息苦しく、
自分がつまらないものになっていくから~~。
古いままの自分では、周りと
一緒に楽しめない~~。
古い着物だって、新鮮なモノに感じるために
再生させているんだもんね。
だから、
新しい息吹を感じているときに
ワクワクと同時に不安を感じるのは
むしろ当たり前。
そして、
何もないときに「不安」を感じるのは、
新しいモノを求めている、
それを「身体や心」が
キャッチしているのではないでしょうか。
身体よ、動け!
心よ動け! と。
世阿弥は「老後の初心」
なんて言葉も遺しています。
安定を求めているのに、
変化も欲しい、
人の心とは
厄介なものです。
というわけで
「初恋」のドキドキは
いくつになってもやってくる、
との世阿弥の教えでした。
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