突然降って湧いたような陽気に誘われて阿蘇まで足を伸ばした。
新聞の一面に阿蘇にある「米塚」と呼ばれる小さな休火山の野焼きの写真が掲載されていたからである。
まだ野焼きをされていない部分や、遠くの外輪山の野焼きされていない山々と好対照に、真っ黒に焦がされた可愛い山体が一際目立っていた。
阿蘇の中岳噴火口は、このところ活動が活発で噴気の量も多いようだ。
氷点下が続いていた草千里も、今日の陽気に水たまりの氷も溶けていた。
山の北側斜面の要所には雪も残っていて、本格的な春はまだ先だろう。
野焼きが終わっていない草原がまだ相当部分がある。
この野焼きが終わって黒々とした平原に新しい緑が芽吹くとき阿蘇は本格的な春を迎え、やがて平原は一面の緑の絨毯で覆いつくされる。
阿蘇の杵島岳に登ったのは、ついこの前のような気がするが、もうすぐ一年になろうとしている。
無為に過ごす日々をも包み込んでくれそうな、おおらかな自然がそこにあった。