寒の戻りで日中でも日陰はピリッとした冷気が漂っている。
その分空気も澄みきっていて、大気汚染もなく里山もくっきり見える。
例年になく君子蘭が全部花芽を付けたり、胡蝶蘭が数年ぶりに花芽を延ばしつつあったりして、室内の花類も希望を持たせてくれる。
庭ではユキヤナギや庭梅が咲き始めた。
(ユキヤナギ)
(庭梅)
どちらも薄いピンクの花で、何だか似たような形をしている。
香りはどうかなと、鼻を近づけても殆どニオイを感じ取れない。
冷たい西風に乗って流れてくる、他の匂いの方に打ち消されてしまっているのかも知れない。
春は芽吹きと別れの季節、ただし別れも希望のある明日へ向かって笑顔で別れたい。
「同じ幹 悲喜こもごもに 枝分かれ」
希望溢れるべき若い人の殺伐とした事件が続き、どの節目でどう生きようとしたのだろう、などと思ったりする。
挫折の中に泣きながら眠りについたとしても、恥ずべきことではないと言いたい。
さながら個々の小さな花が、香りを主張しても浮世の匂いに紛れて存在すら忘れ去られているのに、ひっそりと花を咲かせるその強さに学びたいと思う。