白雲去来

蜷川正大の日々是口実

遣独潜水艦作戦

2016-06-02 09:39:28 | 日記
六月一日(水)晴れ。

れれれ、もう六月かよ。一日が、一週間が、一ヶ月が、一年が早く感じるなぁー。気がつけば、前期高齢者だ。そんな自覚がないから、いつまでもアホみたいなことをやっている。アホみたいではなく、ほとんどアホだ。

支那の詩人はこう言った。少年が年老いていくのはあっという間だが、 学問がモノになるのは大変難しい。だから、わずかな時間も惜しんで一生懸命に勉強すべきなのだ。春に池のほとりに草がゆらぐのを見ながらうつらうつらと夢を見ていたかと思うと、庭先のアオギリはもう秋の気配を帯びている。
少年易老学難成 一寸光陰不可軽 未覚池塘春草夢 階前梧葉已秋風。考えてみれば、一寸の光陰を大分軽んじて来たし、この歳になっても学問のなにかも知らずにいる。自業自得です。夜は、そんな自分の反省会で一杯やるか。

プラモで潜水艦の「伊四〇〇」モデルが話題になっているが、戦争中、ドイツから技術供与を受けるために「遣独潜水艦作戦」というものが行われた。日本から潜水艦で往復すると言う極めてリスクの高い作戦だった。当時、制空権、制海権のほとんどが連合国側にあり、五次に渡る作戦で、成功したのは一度だけであった。最後の遣独作戦に使用されたのが、伊号第五十二潜水艦(艦長宇野亀雄海軍中佐)である。しかし昭和十九年六月二十四日、往路大西洋にて米護衛空母ボーグの艦載機の攻撃により撃沈された。この時の艦載機が、伊五十二を撃沈する際のテープが残っている。当時米国は、音響追跡魚雷「マーク24」を開発しており、潜水艦を探知するソノブイと併用して確実に潜水艦を撃沈させる技術を持っていた。

NHKで放送されたが、ユーチューブやニコ動画などで見ることが出来る。伊五十二のシュシュというスクリュー音、しばらくして魚雷の命中する、ドーンという音。米軍のパイロットたちの会話も録音されている。爆発音が静まると、今度は伊五十二が水圧によってつぶれる「圧壊」の音が聞こえ、胸が締め付けられる。伊五十二は、昭和十九年六月二十四日午前一時、北緯十五度十六分、西経三十九度五十五分の地点に沈没。乗員一〇六名、便乗者九名の方が全員戦死なされた。この遣独潜水艦作戦については、吉村昭の『深海の使者』(文春文庫)に詳しい。

夜は、大人しくカツオを肴に酔狂亭で月下独酌。

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