白雲去来

蜷川正大の日々是口実

みたび目覚めみたび激しき虫時雨

2016-11-02 10:43:10 | 日記
十一月一日(火)曇り。

月が替わってイッキに寒くなった。しかし、まだ手紙の季語は「晩秋」「暮秋」「秋冷」と季節は秋である。とおに蝉時雨が去り、虫の声もこの寒さでは静になってしまった。といってもコンクリートで地面がおおわれた我が家の周りでは、とんと虫の声も聞かなくなった。昔は、秋の虫の声に、安眠を妨害される夜もあったと言うのに。とここまで書いて、そう言えば野村先生の句の中にも、そんなことを詠んだものがあったと思い出した。

「みたび目覚めみたび激しき虫時雨」というものだ。その句の解説に、「いまが虫時雨のもっとも盛んな頃なのだろう。毎夜毎夜の虫の声が実に綺麗だ。娑婆は近代化が進んで最近では虫も棲めないと仄聞してる。そこえゆくとここは別天地だ。外界から隔絶された長期刑務所の奥の奥の虫時雨、なんとまあ風流な話じゃないか。昨夜もその虫の声で何度も目が覚めた。その都度、リンリンと鳴き澄ます虫時雨の激しさに驚かされたものである。そして眠られぬままに私はこんな句を詠んだ。」とある。

昼に、伊勢佐木町の天ぷら屋の「登良屋」にて、お世話になっている方と待ち合わせて昼食。このお店は、てんぷらも美味しいが、刺身も美味しい。しかし、刺身は値段が書いていないので、その気になって頼み過ぎると、ランチにしては、高い物になる。食後は事務所へ。

夜は、酔狂亭で、クリント・イーストウッドの映画を見ながら独酌。

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