白雲去来

蜷川正大の日々是口実

冬立つや背中合せの宮と寺

2016-11-09 18:21:31 | 日記
十一月七日(月)晴れ。立冬。

今日は、立冬、冬の始まりである。子規の句、「冬立つや背中合せの宮と寺」はあまりにも有名。この時期の季語には、立冬・冬立つ・冬に入る・冬来る・今朝の冬などがある。日本語は美しいなぁー。

ちなみに、今年の一の酉は十一日。この一の酉が、立冬の前に来た年は、三の酉まである。三の酉まである年は「火事が多い」などと言われたものだ。子供の頃は、酉の市に行く時は、オーバーにマフラーと完全防備だったものだ。今では、温暖化のせいなのか、そんなに寒くなくなった。衣替えも済んで、木枯よ、いつでも来いと、迎撃体制は整っている。

旧家などでは、この立冬を境に食器も変えたと言う。夏の食器は、外に開いている物を使い、熱さが外に逃げるような物。反対に冬の食器は、内側に向いていて、湯気が立つような物にしたとか。我が家がもう少し広くて、大きな食器棚があったなら、夏と冬用の食器を揃えたのに。決して高価な物を揃えるのではなく、旅先で買い求めた器が、かなりある。料理も、器によって見栄えが良くなり、食欲をそそる。

「そごう」の「デパ地下」に、カツオを探しに行った。あった、あった。ちょっと高かったが、買って、電光石火で帰った。風呂に入ってから、ネギを沢山刻んで、生姜、ニンニクを添えて食べる。左手には、「黒霧島」のほぼロック。ふふふと頬が緩む。そうか、大根も買った、子規ではないが、「風呂吹にすべく大根の大いなる」か。

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幕末では鶏は人気がなかった。

2016-11-09 17:09:38 | 日記
十一月六日(日)晴れ。

寒くなると、鍋を囲む機会が多くなるが、私は、様々な具材の入った「寄せ鍋」があまり好きではない。我が家の鍋は、肉は、鶏肉とつみれだけ。後は豆腐に油揚げくらいしか入れない。野菜は、白菜ではなくキャベツが主流。豚肉の鍋をする時も一緒で、肉以外には、豆腐と油揚げにキャベツ。簡単な方が食べやすいから好きなのである。

現在読んでいるのが『下級武士の食日記-幕末単身赴任』(青木直己著・筑摩文庫)と言う本。これが結構面白い。紀州和歌山藩から江戸屋敷に単身赴任してきた下級武士の日記を元にして、当時の人たちがどんな食生活をしていたかを、書いたものだ。現代の、食材が満ち溢れた食生活とは、比べ物にならないが、幕末の人たちの食事の好みや工夫が分かって、勉強になる。

例えば、現在の日本人のポピュラーな食材となっている鶏だが、幕末ではあまり人気がなかったそうだ。本によれば、「日本で最初に印刷された料理書『料理物語』(一六四三年刊)では、十八種の鳥の名をあげており、鶴、白鳥、雁(がん)、鴨、雉子(キジ)、山鳥、鸞(ばん)、けり、鷺(さぎ)、五位鷺(ごいさぎ)、鶉(うずら)、雲雀(ひばり)、鳩、鴫(しぎ)、水鶏(くいな)、桃花鳥(つぐみ)、雀(すずめ)、鶏(にわとり)の順番でした。現在、もっとも一般的な鳥料理の素材である鶏が最下位の十八番目です。日本では古くから鶏を食用とする習慣があまりなかったのですが、徐々に広まって江戸時代の料理害にも登場するようになりました。それでも鶏の肉が嫌いな人も多かったとあり、食べ物に対する人々の好き嫌いは江戸時代も今も変わりありません」とある。また江戸時代一番格式の高い鶴は特に珍重され、大名をはじめとする人達の正式な食事の際に出されたそうだ。

今日は、あっさりと湯豆腐にでもするかな。

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