白雲去来

蜷川正大の日々是口実

『ノモンハン秘史』。

2021-01-09 14:24:05 | 日記

1月7日(木)晴れ。

一冊の本を読了するというのは、ちょっとした人との別れと似ているような気がする。もちろん深刻な永遠の別離ではなく、その気になれば、いつでも会える、「じゃあ又ね」。といった程度の別れ。といった方が正しいかもしれない。それでも、読了したことの充実感と読み終えてしまったことの寂寥感・・・。まあ考えてみれば、読むたびにそんな気持ちにさせてくれるのだから、読書は安価で、かつ楽しい娯楽と言えるのかもしれない。

大晦日から今日まで、どこへも出かけずに、ほとんど誰とも会わずに、酒と肴と映画と読書の日々を過ごした。松の内だから笑って許されるだろうが。通常なら、この怠け者と罵られるかもしれない。

年のせいか根気がなくなり、難しい本はパスして、自分好みの本ばかり読んでいる。最近、本は酒と肴と同じで私にとっては嗜好品でもある。昨日読了したのが、元大本営参謀の辻政信の書いた『ノモンハン秘史』(毎日ワンズ)。先日も書いたことがあるが、東京国際大学教授で国際政治学者(日本近代史)の福井雄三先生が前書き(「本書に寄せて)を書いている。福井先生とは、安藤昇氏の葬儀の席で山平重樹さんからご紹介頂き、何度か酒席を共にさせて頂いた。決して偉ぶらない、酒を愛する豪放磊落な方である。

ノモンハン事件とは、昭和14年(1939)5月から同年9月にかけて、満州国とモンゴル人民共和国の間の国境線をめぐって発生した紛争のこと。当時、満州国を実質的に支配していた日本と、満州国と国境を接し、モンゴルを衛星国としたソ連の間で断続的に発生した日ソ国境紛争。一連の日ソ国境紛争のなかでも最大規模の軍事衝突となった。ノモンハン事件の一般的な解釈は、圧倒的なソ連の最新式戦車や武器と兵員に対して、わが軍が惨敗を期した。というのが定説となっている。また、その紛争を指導した辻政信に対しては、半藤利一氏が、著書『ノモンハンの夏』(文藝春秋)の中に書いたように「ノモンハン事件の責任を問われることもなく、再び蘇って対米開戦を推進し、国家を破滅に追いやった」というのが、辻政信のこれまでの一般的な評価である。

『ノモンハン秘史』は、その辻の手記である。私は戦史の研究家ではないので、幾つかの頭の引き出しの中に、ノモンハン事件について書かれた様々な人の著書を読み、自分なりに判断して行くしかない。以前に読んだ、辻の有名な『潜行三千里』と合わせて、楽しめる本だと思う。

あーあ読み終わっちまったぜ。と嘆息しつつ夜も酒。肴は、炙ったイカ、ではなく。煮カツ、鮭の頭、シラスおろし。お供は、珍しく頂き物の「三岳」。

 

 

 


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