3月16日(火)晴れ。
暖かい日である。寒がりの私としては、冬が遠ざかって行くのが嬉しい。そういえば先日、鶯の声を聞いた。昨年より一ヶ月遅い。ふと杜牧の「千里鶯啼いて 緑紅に映ず 水村山郭 酒旗の風 南朝 四百八十寺 多少の楼台 煙雨の中」の「江南の春」が口をついで出る。
午後から、みなとみらいにある歯医者へ。時間に余裕を持って行ったのでランドマークタワーの中にある書店へ。産経の書評にあった本、藤原正彦の『我が人生の応援歌ー日本人の情緒を育んだ名曲たちー』(小学館新書)と『作家の手料理』(野村麻里編・平凡社)の二冊を購入。
待ち時間にパラパラしたが、藤原さんの本には引き込まれた。もちろん数学者であり、エッセイストであるから文章は上手だ。以前、藤原さんの御尊父、新田次郎さんの書きかけの物を、後を継いで書き足した『孤愁ーサウダーデ』を読んだがとてもいい本だった。ちなみに御母堂の藤原ていさんの『流れる星は生きている』は、私の人生の中の10冊の中に入る本である。
『作家の手料理』は、様々な作家が「自分で作ることに焦点を当てた」もの。「出色は掉尾を飾る内田百閒の『おからでシャムパン』。B級グルメ好きの山田風太郎がC級と嘆息するほどだ」とは書評から。チビリチビリと楽しみながら読むか。
夜はおとなしく酔狂亭にて月下独酌。横浜駅西口の生鮮市場で仕入れた、カツオ、ブリ、笹カレイの干物を肴に、お供は「魔王」。うーん贅沢だ。