2月26日(金)曇り。2・26事件から85年。
野村先生の句集『銀河蒼茫』の「冬の句」に、二・二六の今年は獄のほそ霙。がある。空は今にも泣き出しそうだが、雪の気配はない。二〇代の頃に、一人で二・二六事件の青年将校のお墓のある賢宗寺にお参りに行ったことがある。その帰りに見つけた古書店で買ったのが『パール判決書』である。懐かしい。
二・二六事件というと、はるか昔の出来事と思うかもしれないが、事件のあった昭和11年は、私の生まれるわずか15年前のこと。私の母は事件の当時渋谷にいて、当日の帝都、東京の物々しい雰囲気を覚えていると良く話してくれた。そのせいか、雪が積もると「2・26事件を思い出すネェー」が口癖だった。
これよりご聖断を仰ぎ、妖雪を払い、昭和維新を断行する。栗原安秀中尉の声が聞こえてくるような気がする。書棚に数多ある2・26事件関連の本の中で好きなものは、末松太平の『私の昭和史』、立野信之の『叛乱』、大蔵栄一の『2・26事件への挽歌』か。読み返してみようと思っている。
夜は、メジマグロ、ポークソテーを肴に独酌。お供は「黒霧島」。