五月十三日(水)晴れ。
台風一過、真夏日となった。いつも思うが、朝起きて天気が良いだけで何か幸せな気持ちになる。朝食は、この時期に?とは思ったが、サンマの干物と清風楼の焼売に春キャベツの味噌汁。いいなぁー。何が良いかって・・・。天気も良いし、朝食も美味しいし、のんびりと朝の時間を堪能している。これで懐具合が良ければ言うことなし、なのだがそれは贅沢というもの。大体、ロクに仕事もしていないのに、余分な金など入る訳もない。霞を食って健康ならば多少のことは我慢しなければ、お天道様に叱られる。
戦前、戦後にエノケンと共に喜劇界で一世を風靡したコメディアンに古川緑破(ロツパ)がいる。この人は、食にこだわりがあって、食に関する本も随分と出している。その中で、先日、アマゾンで「ロッパの悲食記」(ちくま文庫)を買った。昭和十九年の正月から暮までの一年の「食日記」なのだが、これが中々面白い。それによれば、昭和十九年の正月の時点で、日本は物資が欠乏していた。食べ物だけではなく、ロツパが愛用していた日記帳でさへ姿を消す。一月二十三日の日記では「朝食に珍しく豆腐の配給あり。豆腐の味噌汁、それを喜ぶ。こういう世の中になると、喜ぶことが多い。有楽座、楽屋で、突如、部屋の女の子が、電熱器を外して、隠した。電気会社の見回り来たと思って、あわてたもの。実は、警察の人なりし由」。何事かと思えば、電熱器は使用を禁じられていたらしい。
また九月三日の日記には、当時の日本の官憲の有様が描かれていて、笑うに笑えない。「東横劇場初日。一回終って、検閲の警視庁役人、何とかかんとか難癖をつけるので、腹立つ。尚、今回より警視庁命令で、マイクロフォン使用を禁ぜられる。その理由、マイクは米英的だから、いかんというのだ。呆れて物が言えない。が、逆らうわけにも行かないので、マイクを引っ込めた」。敗戦の原因は、こうした当時の役人や官憲、政治家たちの体質や「空気」にあったのではないかと思った次第。
夕方、友人より思いがけずに「黒霧島」のパックが六本も届く。その友人氏、私と会うたびに「蜷川さん。飲み過ぎに注意して下さい。少しは酒を控えた方がいいですよ」と忠告してくれる。その友人から六本もか・・・。嬉しいが気をつけて飲むことにしよう。
夜は、折角、好物を頂いたからと気合を入れて肴を作った。青森の実家から送って頂いたアスパラガスをフライにしたり、小エビとマッシュルームをアヒージョに。さらに豚のナンコツを揚げた。島ラッキョウもある。考えてみたらほとんど貰い物だ。酒肆、酔狂亭の開店である。景色には頭山満翁の「人生感意気」の書を下げた。
台風一過、真夏日となった。いつも思うが、朝起きて天気が良いだけで何か幸せな気持ちになる。朝食は、この時期に?とは思ったが、サンマの干物と清風楼の焼売に春キャベツの味噌汁。いいなぁー。何が良いかって・・・。天気も良いし、朝食も美味しいし、のんびりと朝の時間を堪能している。これで懐具合が良ければ言うことなし、なのだがそれは贅沢というもの。大体、ロクに仕事もしていないのに、余分な金など入る訳もない。霞を食って健康ならば多少のことは我慢しなければ、お天道様に叱られる。
戦前、戦後にエノケンと共に喜劇界で一世を風靡したコメディアンに古川緑破(ロツパ)がいる。この人は、食にこだわりがあって、食に関する本も随分と出している。その中で、先日、アマゾンで「ロッパの悲食記」(ちくま文庫)を買った。昭和十九年の正月から暮までの一年の「食日記」なのだが、これが中々面白い。それによれば、昭和十九年の正月の時点で、日本は物資が欠乏していた。食べ物だけではなく、ロツパが愛用していた日記帳でさへ姿を消す。一月二十三日の日記では「朝食に珍しく豆腐の配給あり。豆腐の味噌汁、それを喜ぶ。こういう世の中になると、喜ぶことが多い。有楽座、楽屋で、突如、部屋の女の子が、電熱器を外して、隠した。電気会社の見回り来たと思って、あわてたもの。実は、警察の人なりし由」。何事かと思えば、電熱器は使用を禁じられていたらしい。
また九月三日の日記には、当時の日本の官憲の有様が描かれていて、笑うに笑えない。「東横劇場初日。一回終って、検閲の警視庁役人、何とかかんとか難癖をつけるので、腹立つ。尚、今回より警視庁命令で、マイクロフォン使用を禁ぜられる。その理由、マイクは米英的だから、いかんというのだ。呆れて物が言えない。が、逆らうわけにも行かないので、マイクを引っ込めた」。敗戦の原因は、こうした当時の役人や官憲、政治家たちの体質や「空気」にあったのではないかと思った次第。
夕方、友人より思いがけずに「黒霧島」のパックが六本も届く。その友人氏、私と会うたびに「蜷川さん。飲み過ぎに注意して下さい。少しは酒を控えた方がいいですよ」と忠告してくれる。その友人から六本もか・・・。嬉しいが気をつけて飲むことにしよう。
夜は、折角、好物を頂いたからと気合を入れて肴を作った。青森の実家から送って頂いたアスパラガスをフライにしたり、小エビとマッシュルームをアヒージョに。さらに豚のナンコツを揚げた。島ラッキョウもある。考えてみたらほとんど貰い物だ。酒肆、酔狂亭の開店である。景色には頭山満翁の「人生感意気」の書を下げた。