なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

膝蓋骨骨折

2021年08月21日 | Weblog

 火曜日の昼前に救急隊から転倒した患者さんの搬入依頼があった。3つ隣の町にある大型ショッピングセンターで、71歳女性が転倒したという。

 下肢の擦過傷程度ですというので、近くの整形外科クリニックで診てもらった方がいいのでは、と答えた。すると嘔気を訴えているで病院でお願いしたいと言われた。転倒の原因が頭蓋内疾患や不整脈のこともあるので、来てもらうことにした。

 搬入されると、意識は清明で頭痛はなく、嘔気も治まっていた。センター内で、いっしょに行っていた娘を探して速足で歩いている時に、つまずいて転倒していた。転倒の様子も全部覚えている。 

 左の膝が痛くて屈曲できないという。股関節・足関節には問題ないようだ。膝関節のX線をとると、左膝蓋骨の骨折を認めた。(CTは整形外科で撮影)

 整形外科医に診察・治療を依頼した。ギプス固定で経過をみるようだ。

 

 搬入時の心電図で徐脈を認めた。Ⅰ度房室ブロックがあるが、その後にP波だけが出て、QRS波が出ていない。またⅠ度房室ブロックのP波とQRS波が出る。PQ間隔がさらに伸びたⅠ度房室ブロックも出ている。

 ウェンケバッハとモビッツⅡ型が混じったような房室ブロックだった。転倒の原因ではないと思うが、それ自体循環器内科紹介になる。地域の基幹病院の外来に予約をとることにした。

 

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熱中症

2021年08月20日 | Weblog

 昨日は久しぶりに気温が上昇して暑かった。帰宅しようと病院を出て、駐車場に行くと、ちょうど救急車が病院に入ってきた。

 当直は神経内科医だった。ふだんから、当直の時は基本的に専門の疾患しか受けない、と言っている。脳梗塞疑いの患者さんかもしれないと思いがら帰宅した。

 電子カルテで確認すると、若い人の熱中症だった。その後ももうひとり熱中症の患者さんが搬入されていた。

 

 一人は34歳男性で、午前8時半から草刈りをしていた。水分は充分にとっていたそうだ。午前10時に筋痙攣(両下腿痛)があり、いったん休んで軽快している。その後、また草刈りを再開したいが、また筋痙攣が起こり、夕方からひどくなって救急要請していた。

 搬入時、意識は清明でバイタルは問題なかった。Hb19.1g/dlと血液濃縮があり、血清クレアチニン2.57mg/dlと腎前性腎不全(急性腎障害)になっていた。CKは444と軽度上昇している。

 生食500mlに、乳酸リンゲル1000mlの点滴を外来で行っていた。点滴で症状軽快して帰宅している。

 

 もう一人は21歳男性で、朝8時から戸外でスコップを使って作業していた。夕方になって両下腿痙攣が出現して、救急要請していた。

 Hb17.1g/dlと軽度に血液濃縮があり、血清クレアチニンは1.43mg/dlと軽度上昇、CKは215と正常域だった。生食500ml、乳酸リンゲル500mlを行って、症状軽快・帰宅となった。

 

 水曜日は当直で、その日の朝は気温が下がっていたので、長袖シャツとブレザーを来て病院にきた。木曜日は気温が上がり、夕方も暑かった。

 

 熱痙攣

 四肢・腹部に痛みを伴う筋痙攣がおこるもの。いわゆるこむらがえりを主訴に受診することが多い。汗で失った塩分・水分のうち、水分だけが補充された場合。直腸温38℃以下。急速生理食塩水の投与(1000cc)で帰宅可能。

  (研修医当直御法度)

 腎障害、横紋筋融解の程度がひどい時は入院になるが、筋痙攣だけだと、生食500mlを2本急速に入れて症状軽快することが多い。

「痛い痛い」と言って救急室に搬入されてくるが、生食500mlを入れたあたりで症状が軽減してきて、点滴室に移動してもう1本入れたころには落ち着いている。

 

 

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急性腎盂腎炎~血液培養陽性

2021年08月19日 | Weblog

 月曜日の午後に、耳鼻咽喉科医から連絡が来て、尿路感染症の66歳女性の入院をお願いしたいという。何故耳鼻咽喉科と思ったが、その日発熱外来を担当していたのだった。

 患者さんはもともと精神遅滞があり、授産施設で過ごしていた。65歳以上になって老人保健施設に入所となったらしい。以前にも尿路感染症(急性腎盂腎炎)で入院した既往があった。

 尿カテーテルが留置されていた。救急外来の看護師さんが尿培養を提出しました、という。どうやって提出したか訊くと、尿カテーテルの途中から出していた。 

 それだと留置カテーテルと尿バック内の定着菌が出てしまう。カテーテル留置の場合は、尿カテーテルを入れ替えて、そこから尿を採取することになっている。改めて尿培養を提出してもらった。

 胸腹部CTで肺炎像はなく、肝胆道系の異常も肝機能障害もない。尿カテーテル留置の場合は、尿を採取すれば混濁して細菌がいるのは常態なので、尿路感染症の診断は除外診断になる。

 尿培養と血液培養から検出された菌が同じにならないと確定診断にはならない。血液培養2セットを提出しようとしたが、看護師さんから取れませんと言われた。

 この患者さんは採血・点滴できそうな末梢静脈がほとんどなかった。血液検査も耳鼻咽喉科医が動脈から採取していた。点滴は右上腕の静脈からかろうじて入れていた。

 左右の大腿静脈から動脈血培養として2セット提出した。本来、鼠径部は採血にふさわしくない。といって、他の動脈から20mlの血液を採取するのは難しい。

 静脈からの血液培養も、20mlの注射器をとろうとすると、少しずれてしまって途中から引けなくなったりする。最近は看護師さんに翼状針を静脈に刺してもらっている。それを当方が20mlの注射器で引くと、楽に血液が取れる。

 動脈からの血液培養でも、当方が翼状針を上腕動脈に刺して、看護師さんに20mlの注射器で引いてもらうのがいいのかもしれない。

 

 尿培養と血液培養2セットから大腸菌が検出された。白血球15700・CRP25.4と炎症反応が高値で、CT(ただし単純)で明らかな腎膿瘍などはないが、発熱が続いて、少しずつ解熱傾向になって来ている。

 抗菌薬は、施設入所者・尿カテーテル留置ということで第4世代のセフォゾプランで開始していたが、セフトリアキソンに変更とした。

 

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発症4日目の脳梗塞

2021年08月18日 | Weblog

 先週の水曜日の当直の時に、73歳男性が両下肢の脱力を訴えて救急搬入された。救急隊からの話では、4日前から両下肢の脱力があり、しだいに歩行できなくなったということだった。

 両下肢脱力だと、脊髄~末梢神経~筋肉の問題になるが、何だろうと思った。両側上肢は何ともないという。市内の方なので、まず来てもらうことにした。

 意識は清明で、年齢の割に認知力が低下しているような印象があるが、構語障害があるためとも思われた。両側上肢は何ともないと言い、元気よく腕を上げた。両下肢は挙上して、同程度に維持できる(ように思われた)。

 頭部CTでは左基底核(~放線冠)に比較的新しいと思われる梗塞巣を認めた。右側に小さなラクナ梗塞があるが、陳旧性のようだ。

 頭部MRIで確認すると、拡散強調画像で同部位が高信号に描出された(4日目なので全部の画像で描出される)。右不全片麻痺にはずだが、その目で見ると若干右下肢の脱力があるのだろう。

 内科クリニックに通院しているというが、搬入時は内服薬がわからなかった。バイアスピリン(100mg)2錠内服とエダラボン点滴で経過をみることにした。

 1週間経過して、歩行できるようになっていた。頭部CTで確認すると、梗塞巣は縮小していた。丈夫なものだ。リハビリ期間について相談すると、早く帰りたいと早期の退院を希望していた。

 

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COVID-19~自主的にホテル療養

2021年08月17日 | Weblog

 昨日(8月16日)、救急隊から訳ありなんですが、と問い合わせがきた。31歳男性で新型コロナウイルス感染症らしいという。

 

 8月11日から高熱・咳が続いて、12日に民間の新型コロナウイルスPCR検査を行ったそうだ。結果は陽性と出た。両親と3人で住んでいるが、8月13日に両親にうつさないようにと自分でホテルに宿泊した。

 症状が続いて、14日に両親が自宅に連れ戻したらしい。保健所の扱いとなって、16日に行政検査としての新型コロナPCR検査が予定された(地域に基幹病院にまわされた)。

 民間のPCR検査では公式は検査とされないので、改めて行政検査(あるいは医療機関での検査)を行って判断するそうだ。

 その日検査には行かず、救急要請をした。救急隊では民間の検査とはいえPCR検査陽性と出ているので、扱いに困ったらしい。通常は新型コロナと判明した患者さんが救急搬入となる時は、あらかじめ保健所が病院を指定してそこに運ぶだけになる。

 救急隊としては、幸いに患者さんは意識清明で歩行可能ということで、家族の車で病院を受診してほしいということになった。

 当院で行ったその日の行政検査はすでに終わっていて、保健所の職員が検体を搬送して行ってしまっていた。発熱外来扱いにして、院内のPCR検査を提出することにした。救急隊から、助かりましたと感謝された。

 

 患者さんは母親の運転する車で病院に来た。運転席と後部座席の間にビニールを入れて、それなりに分離していた。PCR検査は1時間もかからずに陽性と出た。

 保健所に報告したが、高熱が6日間続いているので、続いて画像検査と血液検査を行った。両側肺の背側胸膜下にすりガラス陰影と浸潤影を認めた。線状に見える部分もあり、少し経過したものと判断された。

 白血球4500・CRP3.9と炎症反応は中等症相当で、重症化指標はDダイマーは0.9と有意な上昇はなかったが、血清フェリチン987・LDH264と上昇していた。

 保健所に当院感染病棟にそのまま入院にすることを報告した。保健所としては手間が省けてよかったようだ。

 入院後はレムデシビル点滴静注と点滴を開始した。今日(発症少なくとも7日目)も39℃の高熱があった。抗炎症の時期に入ってきた時期と判断され、デキサメサゾンも使用することにした。

 

 それにしても自主的に入ったホテルは通常の対応をしていたので、困ったことになる。すでにホテルを出て数日経っているので、今更対応の仕様もないだろう。

 

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新型コロナウイルス抗原検査陽性・PCR陰性

2021年08月16日 | Weblog

 先週の木曜日に保健所から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の93歳女性の入院を依頼された。

 普段は特に通院はしていない。発熱で受診した病院で新型コロナウイルスの抗原検査を行って陽性と判明したという。ほぼ全介助なので、病棟看護師の負担が大きい。

 入院時検査で胸部CTを行うと、両側胸水貯留を認めた。コロナの肺炎像らしい陰影はなかった。酸素飽和度は低下していて、酸素吸入2L/分を開始した。心電図では心房細動を認めた。

 両下肢の浮腫があり、心房細動・心不全と判断された。胸水で隠れた肺病変は判断できないが、肺炎・心不全の状態のようだ。

 

 患者さんは自宅で生活していて(寝たきりに近いらしい)、施設のデイサービスに行っている。介護保険は受けているので、どこかの医療機関で主治医意見書は記載しているはずだが、詳しくはわからなかった。

 周囲にCOVID-19に罹患した人がいなければ、かかりようがないはずだが、それはなさそうだ。抗原検査陽性は疑陽性なのではという話になった。

 保健所でCOVID-19患者として認定してしまっているので、院内のPCR検査をして陰性だとしてもコロナではないとはいえない。とりあえずは新型コロナの患者として扱うしかなかった。

 入院後は心房細動・心不全+肺炎としての治療を開始した。昼に嚥下訓練をして、経口摂取できるか確かめると何とかいけそうだった。

 今日になって受診した病院で提出していたPCR検査は陰性だった、と報告がきた。やはり抗原検査は疑陽性だった可能性がある。しかしでは一般病棟に移しましょうというわけにはいかない。

 所定の日数は感染病棟でみて、10日あるいは14日後に院内のPCR検査を提出して、陰性を証明して一般病棟へ転棟という予定にした。

 

 県内でもCOVID-19感染者が増加している。今朝定例のコロナ介護で出された県内の病院の入院情報をみると、重症は10名に増加していた。

 

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咳喘息

2021年08月15日 | Weblog

 木曜日の呼吸器外来に来ている先生(大学病院)から、咳喘息の48歳女性の入院をお願いしたいと連絡がきた。

 昨年5月初めに発熱・咳があり、解熱後も咳がひどいということで、内科医院から当院の呼吸器外来に紹介されていた。胸部X線・CTで肺炎像はなく、炎症反応も陰性だった。

 当初は遷延する咳という扱いだったが、慢性化して、咳喘息として喘息と同じ治療が継続された。時々咳がひどくなり、プレドニゾロン20mg/日を5日分持たされて、それを使用するようになっていた。

 今回は前日からプレドニンを飲み始めたが、とにかく咳がひどく、予約外で受診していた。連絡が来た時に、声も出ないくらいひどいと言われたので、上気道狭窄が気になった。

 

 発熱はなく、その日検査はしていなかったので、外来で検査を入れた。診察すると、喘鳴は聴取されなかった。酸素飽和度は98%(室内気)だが、咳き込み始めると92~93%に低下した。強制呼気でも喘鳴はなさそうだが、無理に行うと咳き込んでしまうので、正確な強制呼気にはできない。

 咳き込んだ時の酸素飽和度低下はあまり気にしたことがなかったが、普通ちょっと咳をしたくらいでは低下しないだろう。全体的に気道は狭くなっているが、喘鳴を聴取するほどではないということか。

 胸部CTで気道を確認したが、喉頭~気管~主気管支に狭窄はなく、肺野に肺炎像はなかった。白血球は増加していたが、プレドニンによると思われる。CRPは正常域だった。(炎症初期像も可能性もあるが)

 外来治療はテリルジー吸入(ICS/LABA/LAMA)と、テオフィリン200mgとモンテルカスト10mgを夕に内服だった。テリルジーは本来COPDの適応ということもあり、吸入ステロイドがフルチカゾン100μgだった。

 テリルジーが院内処方にないこともあり、フルチカゾン200μgのレルベア200(ICS/LABA)にした。テオフィリンは400mg分2にして、モンテルカルト10mgは継続とした。胃食道逆流症の関与も考えられ、タケキャブ20mgを併用する(ステロイド短期大量のこともある)。

 入院後は、気管支喘息発作に準じて治療することになる。デキサメサゾン8mg/日から開始した。通常は8mg→4mg→2mgだが、症状に応じて投与期間を調整する。

 翌金曜日も咳がひどく(喘鳴はない)、予定通り8mg/日を入れる。呼吸器外来で処方されたメプチンエアーを夜間に何度も使用したそうだが、効かないと言う。おそらく咳喘息では気道の筋収縮はあまりなく、気道炎症がメインのためなのだろう。ステロイドで頑張るしかない。

 土日にかかるので、ここは8mg/日で継続して(大人の事情)、週明けから漸減することにした。

 

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急性虫垂炎

2021年08月14日 | Weblog

 水曜日の当直の時、午後11時55分に腹痛の34歳男性が救急外来を受診した。

 1週間前の2日間だけ臍部左側の腹痛があったが、その後は治まったそうだ。その日の昼からまた同部位の腹痛が始まり、持続していた。我慢できず直接受診した。

 腹部は力が入って硬くなって所見が取りにくいが、反跳痛はある。虫垂炎かと思って、右下腹部を押したが、臍部左側ほどは痛くないという。

 腹部CTで虫垂が正中側に伸びていた。内腔に糞石が3個はある。腸管壁はさほど肥厚していないようだった(軽くみていた)。

 この患者さんは仕事で来た当地のホテル泊まっていた。住所は県内で充分通える距離でホテルに泊まる理由がわからなかった。

 点滴とアセリオ注で外来で朝まで経過をみて、外科医と相談して、患者さんに都合のいい家から近い病院に紹介することにした。

 ところが、腹痛が強くなり、アセリオ注、ソセゴン注を繰り返すことになった。朝方に消化器病せンターのある病院に連絡してみたが、そこは外科医は当直していないので、受けられないということだった。

 腹痛は臍部左から右下腹部に移動していた。ソセゴン注を追加して、朝早くに病院に来る外科医と相談して、紹介先を決めることにした。

 外科医に相談すると、患者さんの住所に近い手術できる病院に紹介してくれた。午前8時半過ぎで、紹介される病院としては平常営業に時間帯の入っていた。

 糞石が詰まって虫垂内の圧が高いことが腹痛が強い原因だろうといわれた(穿孔しやすい、ともいわれた)。

 

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穿孔性腹膜炎

2021年08月13日 | Weblog

 水曜日の当直の時、午前0時過ぎに隣町の救急隊から腹痛・嘔吐の54歳男性の搬入依頼が来た。地域の基幹病院は他の患者さんに対応していて、受け入れできないという。

 当院に来てもらうことにしたが、検査だけして搬送になる可能性があった。当院では外科手術できないので、急性腹症の対応は難しくなっている。

 患者さんは一人暮らしをしていて、聾啞者で筆談になる方だった。救急要請をして親戚の女性がいっしょに来ていた。救急隊の話では、前日(日を跨いだので)の昼から腹痛が続いているそうだ。その後、嘔吐もしていた。

 座位で搬入されたので、膝立をして横臥してもらった。腹部は固く、筋肉が発達している方でわかりにくいが、筋性防御というよりは板状硬かもしれない。腹部の触診では右下腹部に圧痛があるようで、虫垂炎穿孔による腹膜炎を疑った。

 予想通り?これは当院で検査だけして搬送になる。すぐに胸腹部CTを行うことにした。

 CTでは腹腔内遊離ガス像を認めた。胃癌らしい腫瘤は認めない。肝周囲とダグラス窩に腹水貯留がある。胃十二指腸潰瘍の穿孔による腹膜炎だろうと判断された。虫垂炎ではなかった。

 地域の基幹病院の外科医に連絡すると、引き受けてもらえた。搬送は午前1時を過ぎていた。翌朝外科医がCTを見て、球部のガスと胃拡張の所見から十二指腸潰瘍の穿孔だろうと言っていた。

 

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透析患者のCRP

2021年08月12日 | Weblog

 血液透析を受けている61歳男性が、前日からの発熱で8月2日(月)に発熱外来を受診した。発熱以外に症状は非特異的な倦怠感だった。

 発熱外来担当は外科医で、新型コロナウイルスの抗原検査を行った。陰性だったので、胸部X線・血液検査に進んだ。胸部単純X線では肺炎を指摘する所見はなかったが、白血球9900・CRP12.5と炎症反応の上昇を認めた。肝機能は正常域で胆道系疾患は否定したようだ。

 アセトアミノフェンと抗菌薬を処方して、翌日内科外来を受診するようにと指示していた。抗菌薬はモキシフロキサシン(アベロックス)だった。

 アベロックス処方は、内科で透析患者さんの肺炎で使用していたのを知っていたのだろうか。内科で使用していたのは、地域の基幹病院呼吸器内科に肺炎の透析患者さんを紹介した際に、調整不要で使いやすいと勧められたからだった。

 

 翌8月3日に内科外来を受診した。胸部CTで見ると左上葉(S3)に軽度の浸潤影を認めたが、咳・痰はほとんどなかった。これが発熱の原因と決めていいか確定できない。血流感染を否定するために、血液培養2セットを提出した。

 入院はしたくないという。セフトリアキソン1gの点滴静注を追加して、翌日(透析日)に受診して外来か入院か相談することにした。

 8月4日は完全に解熱はしていないが、解熱傾向で倦怠感は軽減してきていた。ただ血液検査でCRP25.5と高値を呈して、検査室から異常値の報告がきた。

 CRPが発症から一番上がるころに相当することと、血中に停滞するために高値になっていると思われた。セフトリアキソン1gを追加して、モキシフロキサシン継続とした。

 8月6日には解熱して、全身状態はかなり通常に戻っていた。CRP12.1と低下して始めていた。外来治療継続とした。8月11日の外来はまったく普通の様子で診察室に入ってきた。CRP4.0と軽快していた。血液培養2セットは陰性だった。

 連休が入ったので、抗菌薬投与は9日と通常の1週間より長くなった。その日で治療は終了とした。透析患者さんの検査値は解釈が難しいが、全身状態をみて判断したのが妥当だったようだ。

 

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