なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

リウマチ性多発筋痛症~終診

2021年08月11日 | Weblog

 昨日、リウマチ性多発筋痛症(PMR)で通院していた69歳男性は治癒・終診となった。治療期間2年での終診は順調な経過だった。

 

 2年前(2019年)の4月10日に、通院していた外科外来から内科に紹介された。2月初めから右鼠径部の違和感があった。3月初めから右足の力が入らなくなり、仕事であるバスの運転ができなくなっていた。

 当院の外科外来を受診して、血液検査で炎症反応の上昇を認めた。当初は白血球8400・CRP5.9だったが、3月末には白血球10700・CRP12.9と悪化していた。NSAIDsは効かなかった。

 3月半ばから両足の大腿部・下腿部屈側が動いた時に(立つ時、すわる時)にピリピリするという訴えもあった。安静時にはなかった。両足の症状が出て、1週間後に両肩も痛くなった。

 泌尿器科外来にも通院していて、炎症反応上昇から泌尿器系の感染症が疑われて、抗菌薬が処方されたこともある。

 内科外来を受診した時には、「NSAIDsも抗菌薬も効かない炎症反応が上昇した患者さん」だった。両上肢が痛くて挙上できない。両手でつかまっても蹲踞自体できなかった。

 経過からはリウマチ性多発筋痛症と判断された。念のため血液培養2セットを提出して、プレドニン15mg/日から開始することにした。

 

 動くのが大変だったようで、外来治療ではなく入院を希望された。1週間の投与で症状軽快して、4月10日はCRP8.8だったが、4月16日にはCRP0.9と低下していた。その後は外来通院としたが、またバスの運転ができるようになって患者さんは喜んでいた。

 プレドニンは15mg/日4週間、12.5mg/日4週間、10mg/日4週間と漸減した。10mg/日の後は4~5週間に1mgずつ漸減して、5mg/日で継続した。炎症反応はずっと陰性だった。

 2年経過したところで、プレドニンを4週間に1mgずつ漸減して中止を目指した。最終的にプレドニン中止後1か月で、症状はなく炎症反応は血沈も含めて陰性だった。

 

 減量過程で再燃しなかったが、治療中止後に再発することもあり(案外多い)、以前の症状が出た時にはまた外来を受診してもらうことを伝えた。

 最近診断に迷ったり、漸減途中で再燃する患者さんもいる。診断・治療が順調に経過して、ありがたい患者さんだった。

 

 

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発熱外来で4名のCOVID-19

2021年08月10日 | Weblog

 3連休は2名ずつ高齢者が誤嚥性肺炎や急性腎盂腎炎などで入院していた。

 8日日曜日は感染管理ナースから、その日発熱外来で新型コロナウイルスの抗原検査で3名が陽性になっていると、報告がきた。午後からも新型コロナウイルス感染症が発生している職場の方が発熱で受診するので、もっと増えそうとも言っていた。

 その日は内科の若い先生が日直をしていた。結局1日に4名が抗原検査陽性と判明した。2か所の職場と1か所の大学(県庁所在地の大学)で感染者が出ていて、その接触者だった。抗原検査陽性で(PCR検査の追加なしで)保健所に届け出ることにしていた。

 この3連休は、9日に地域の基幹病院がPCR検査と入院を担当することになっていた。週末に1名入院していたが、連休に2名が入院して計3名の入院になっていた。

 首都圏では感染者と入院が増加していて、また当県の県庁所在地でも入院が確保ベットの60%以上を使用して大変らしいが、まだ当地域では対応可能な範囲ではある。

 今日接触者のPCR検査の依頼が来ていて、午後から行う予定だ。今後感染者が増加すると予想され、夕方は臨時のコロナ会議が開かれることになった。

 

 連休最後の昨日は急性胆管炎の89歳男性も入院していた。7月半ばに閉塞性黄疸で当院を受診して、肝門部胆管癌と診断された。左右の肝管が、いわゆる泣き別れになっていた。すぐに消化器病センターのある専門病院に搬送した。

 日当直医(大学病院からのバイトの外科医)が、先方の病院に連絡したが、その日の対応は困難で1日だけ当院で治療して、翌日搬送してほしいと依頼された。

 今日無事に救急搬送となった。入院後の抗菌薬投与で解熱はしていたので、そのまま保存的に治療するのかもしれない。

 7月に紹介した時の返事をみると、まさしく専門的な治療をしていた。乳頭からの挿管が困難で、胃から拡張した肝内胆管を穿刺して、そこからガイドワイヤーを挿入して、腫瘍による狭窄部を通過して、十二指腸まで通した。

 それを利用して乳頭部からステントを挿入していた。それも左右の肝管に1本ずつステントを挿入していた。もう専門的すぎて具体的な手技はわからない。

 

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ギリシャ文字

2021年08月09日 | Weblog

 当院の新型コロナウイルス感染症の受け入れベットは4床しかない。その印象だけでの判断になるが、全国的な状況を反映している。

 最近は、高齢者の入院は減って、20~50歳代が入院してくる。基礎疾患も少なく、通常はホテル療養になるが、高熱が続く場合などに入院依頼となる。大抵は胸部CTで、程度の差はあるがすりガラス陰影を認めて、中等症(酸素吸入の有無でⅠかⅡ)になる。

 首都圏では重症者だけ入院にするという方針を政府が出して、批判されて修正した。中等症Ⅱはそもそも酸素吸入を要するので入院になる。中等症で発熱が続くと、病院としても重症化しないかハラハラしながら経過をみている。

 これを在宅療養、ホテル療養でみるのは厳しい。行うとすれば、解熱して全身状態が改善に向かった時に、残りの療養期間を病院からホテル療養に切り替えるということだろう。ただいったん軽快したかにみえて、途中から悪化する経過もある。

 

 忽那先生のYahooニュースによると、デルタ型は、従来の新型コロナウイルスよりも感染力が43~90%強いと報告されていたアルファ型よりも、さらに64%感染力が強いとされている。

 またデルタ型は感染した際に重症化するリスクが高い。入院リスク、ICU入室リスク、死亡リスクが2倍から4倍くらいになっている。

 mRNAワクチンの感染予防効果・発症予防リスクは60~80%台に低下しているが、重症化予防リスクは90%台に保たれている。

 

 イギリス・南アフリカ・ブラジル・インドで最初にみつかった変異ウイルスは、それぞれアルファ型・ベータ型・ガンマ型・デルタ型と地名を使用しない名称になっている。

 この先、ギリシャ文字はどこまで進むのだろうか。

ギリシャ文字 | オリーブオイルの豆知識 / パパスグローブ

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以前、輸血後に急変した患者さん

2021年08月08日 | Weblog

 金曜日に73歳男性が自宅で動けなくなっているのを、訪問した妹さんが発見して救急要請した。

 救急当番の内科の若い先生が診たが、昼から新型コロナワクチンの問診に出かけるので(大規模接種会場)、後を引き継いだ。

 名前に見覚えがあった。7年前に貧血(Hb5.7g/dl)で開業医の先生から紹介されて、当時いた内科の若い先生が担当した(現在は他の病院の総合診療科で活躍されている)。多発性骨髄腫と判明して、血液内科のある病院へ紹介予定だった。

 輸血した後に呼吸困難から心肺停止に陥った。心肺蘇生術から自己心拍が戻り、人工呼吸管理になった。さらに人工呼吸から離脱することができた。無事に、県内有数の市立病院の血液内科へ転院となった。

 

 輸血の重篤な副反応である、輸血関連急性肺障害(transfusion-related acute lung injury:TRALI)としていた。しかし入院時から心拡大・胸水貯留もあったので、心不全や輸血関連循環過負荷(transfusion associated circulatory overload:TACO)なのかもしれない。

 

 血液内科への通院は途中で中断してしまっていた。多発性骨髄腫は治療しても完治はしないはずだが、中断してしまえば当然治ってはいない。

 今回Hb8g/dl台なので緊急の輸血は要しない。胸部X線・CTで両側肺の背側に浸潤影と胸水貯留(胸膜炎か随伴性胸水)を認めた。肺炎の治療をして経過をみることにした。

 頭部CTを見ると、年齢以上に脳委縮が目立ち、発言内容も理解し難い。認知症相当で、血液内科のある病院への搬送も難しいようだ。以前の入院時も随分と荒っぽいキャラクターの方だったと記憶している。

 妹さんが生活の面倒をみていて、弟さんは経済的に支援していたそうだ。できる範囲で治療するが、多発性骨髄腫の問題もあり、思わしくない結果になる可能性があると伝えた。

 病状が安定しても、到底一人暮らしができる状態ではないので、施設入所を目指すことになる。妹弟の関わりはずっと続くのだろう。

 

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肺癌の自然経過

2021年08月07日 | Weblog

 木曜日に呼吸器外来に来ている(大学病院から)先生から、間質性肺炎・肺癌の88歳男性を入院させてほしいと依頼があった。病状が悪化したというわけではなかった。

 妻と二人暮らしだが、その妻が(肉体的には元気な)認知症だった。家事はできていないが、ヘルーパーさんに来てもらっても揉めてしまうそうだ。詳しくはわからないが警察を呼んだこともあるという。

 別居の娘さんがとケアマネージャーがいっしょに来ていた。患者さんをレスパイト入院として妻から離して病院でみてほしい、という依頼だった。

 患者さん自身はぜひ入院というわけでもないようだが、周囲に言われて納得してようだ。病院で預かった後に、できればそのまま施設に入れたいという希望だった。

 妻の方は内科医院に通院していて、先生にお願いして精神科病院への紹介状も書いてもらったが、受診はしていなかった。

 

 この患者は、5年前から間質性肺炎と高血圧症・心不全で当院の呼吸器科外来に通院していた。3年前に陰影の悪化・呼吸苦で救急搬入されて、救急当番から連絡が来て、地域の基幹病院呼吸器内科に搬送してもらっていた。

 その時の入院時から在宅酸素療法が導入されて、通院は当院の呼吸器外来に戻されていた。2年前の2019年1月の胸部CTで右上葉に結節影が疑われた。

 2019年の胸部CTでわずかに増大していた。年齢と間質性肺炎から治療適応はないので、そのまま経過観察になった。

 2020年4月の胸部CTでは、明らかに増大していた。

 そして2021年8月5日はさらに増大している。

 

 この夫婦には実子はなく、娘さんは1歳の時に養女になった(施設にいたそうだ)。あまり強くは言えない立場ということだが、今回は見かねてこういう依頼になったそうだ。

 別に呼んで話を訊くと、いろいろ困っていたらしく、これまでの経緯をノート1ページに記載したものを見せられた。

 間質性肺炎と診断された際に呼吸器内科からは、5年くらいの予後と説明されたそうだ。年齢は平均寿命を越えているし、何があっても不思議ではないと思っていますと言っていた。

 

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電話をかけまくる人

2021年08月06日 | Weblog

 85歳女性は、高血圧症・心臓バイパス手術後で内科外来に通院していた。退職した医師から回ってきたが、当方が診るようになってからも大分経つ。

 夫が運転する車で病院に通ってきていた。奥さんが診察を受けるのを待っている間に、病院内をうろうろと歩いては迷っていた。奥さんがナビ役をしていたが、事故を起こさないか心配だった。

 その夫が2~3年前に亡くなって(他院通院なので詳細は不明)、一人暮らしになった。寂しいとは言っていたが、元々活発な方で、毎日自宅横の畑仕事をしていた。

 

 一人でタクシーで通院していたが、今年の2月に娘とその夫がいっしょに診察室に入ってきた。認知症で困っているという。毎日何度も電話してきて、同じ話を続けているそうだ。ご本人は、そんなことはしていないと憤慨していた。

 精神科に紹介してほしいというので、頭部MRIの画像を入れて、診療情報提供書を出した。MRIでは年齢の割に、それほど萎縮がないように見えるが、VSRADで見ると海馬領域が特異的に萎縮していた。長谷川式は9/30点と驚くほど低かった。

 

 改めて振り返ると、以前と違って来ていた。

 不眠症としてブロチゾラム(レンドルミン)を半錠毎日内服している。心不全症状はないが、頭が重い・作業の後に腰・膝が痛い・胃腸の調子が悪いと、毎回ひと通り症状を訴える。それで何か薬を増やしてほしいというわけではなく、話をするとすっきりするということだった。

 半年前からそれらの訴えをすることは少なくなり、「特に変わりなく睡眠薬を飲めば眠れる」とだけ言ってあっさり診察室を出るようになっていた。それまでの15分くらい話を聞くのがなくなっていたが、診察する方としてはかえって助かるので、変化を意識していなかった。

 

 その後、介護施設に入所することになったが、施設の面接の日に施設の駐車場から逃げ出した。隣の市内の施設なので、あわてて捕まえて車に乗せたのだろう。施設からは、そのような人は入所させられませんと言われた。

 その後、精神科病院にお願いしていたのがやっと空いて(家族としては)めでたく入院できるようになった。精神科病院だと本人の同意がないと手続きがいるはずだが、その辺は専門なので慣れているのだろう。

 入院前に新型コロナの検査があり、陰性確認してから入院になるというのが、今どきだと思った。

 

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脳室内出血

2021年08月05日 | Weblog

 水曜日に、前日の夜間から意識障害があった83歳女性が救急搬入された。救急当番は神経内科医だった。37.6℃の発熱があり、発熱外来扱いとなったので新型コロナウイルス抗原検査から検査が始まった(陰性)。

 頭部CTで脳室内に出血があり、診断はすぐについた。脳室内出血として、地域の基幹病院に搬送となった。通常の脳出血ではなく、脳血管の異常があるのだろうか。

 水頭症を来たさなければ、保存的に経過をみて、リハビリ目的で当院に戻ってくると思われる。

 

 昨日の当直は外部の先生だった。隣町在住の12歳女児が、嘔気・嘔吐で町内の内科医院から紹介されて受診していた。新型コロナワクチン接種1回目の後の症状だった。点滴して経過をみて、症状軽快して帰宅となっていた。

 自治体によって、新型コロナワクチンの進行状況が随分違うようだ。人口の少ない市長村は相当に接種が進んでいる。

 

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アイドルから感染

2021年08月04日 | Weblog

 先週の金曜日にCOVID-19の26歳男性が入院した。発症3日目で、高熱が続いていたことで入院になった。

 胸部CTで軽度の肺炎像を認めて、血液検査の異常が軽度で酸素飽和度も正常域だった。中等症Ⅰとしてレムデシビルを開始して、入院3日目には解熱した。薬が効いたような経過だが、自然経過なのかもしれない。

 解熱後に、今年のCOVID-19の患者さんではあまりなかった嗅覚・味覚障害(ほぼ無味無臭)が出現した。昨年入院した20~30代の患者さんではよくみられた。感染病棟の看護師さんと、古典的な株かなあと話していた。

 この患者さんは、(地下?)アイドルのライブに参加した。そのアイドルがCOVID-19に感染していたことが後で判明した。濃厚接触者としてすでに保健所のフォローに入っていたので、すぐにPCR検査となったという経緯だった(参加者は住所・氏名を記載したのだろう)。いっしょに行ったアイドル仲間も感染したそうだ。

 好きなアイドルから移ったのは本望、というわけにはいかないか。それでも、仲間同士のネタとしてはずっと記憶に残るのだろう。

 経過は順調で、発症10日を経過した後に退院とした。嗅覚。味覚障害は多分数か月続くと思われる。

 

 濃厚接触者として会社の同僚数十人のPCR検査を当院で行ったが、午後2時からドライブスルー方式で外で行うので、とくかく暑かった。

 

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認知症が進んで

2021年08月03日 | Weblog

 月曜日に83歳男性が内科再来を受診した。高血圧症・多発性ラクナ梗塞で通院している。処方はオルメテック・バイアスピリン・サアミオンなどだった。

 軽度の麻痺はあるが、しだいに全体的に動きが悪くなってきる。そういえば、最近は奥さんがいっしょに診察室に入って来ていた。

 その日は車いすに乗っていた。奥さんの話では、先月から右膝の嚢胞腫大で整形外科外来に通院して、穿刺吸引の処置を受けているという。また今月中に受診するつもりだと言っていた。

 認知症が進んで、と言われた。その時々の会話には困らないが、記憶の障害が目立つらしい。排尿は何とかなるが、排便の失敗が困るそうだ(オムツはしている)。

 2016年の頭部CTを確認すると、多発性ラクナ梗塞を認めて脳委縮もある。アルツハイマー型認知症の併発かと訊かれると、判断が難しいが、どちらかというとうつ傾向があり、症状の表現としてアルツハイマーらしさはない。

 先月からというので、慢性硬膜下血腫や水頭症など脳外科疾患が気になり、頭部CT検査を行った。幸いにそれらはなかったが、2016年の頭部CTと比較すると、脳委縮が進行していた。ラクナ梗塞も数と個々の範囲が進行している。

 要介護3と判定されていて、デイサービスは使っている。ショートステイ入所はないそうだ。以前、奥さんは介護度を上げてほしいと希望していたが、表面的には普通に会話できることもあり、介護度は変わらなかった。

 奥さんとしては施設入所させたいが、まだまだ順番が回ってこないという。施設入所申し込みは一か所なので、通常3か所くらいは申し込むので、ケアマネージャーに相談するよう伝えた。

  

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小児の虫垂炎穿孔腹膜炎

2021年08月02日 | Weblog

 急性虫垂炎穿孔による限局性腹膜炎で手術となった4歳半の女児の経過。

 7月23日(金)の夜間から嘔吐が始まった。おそらく嘔吐の前に軽度の心窩部痛があったと推定されるが、訴えなかったのだろう。

 7月24日(土)は38℃の発熱があり、地域の基幹病院を受診した。吐き気止め(鎮吐剤)が処方されたが、内服後に嘔吐した。右下腹部痛を訴えるようになり、夜間に悪化した。

 7月25日(日)に同院を再度受診した。受診時には腹痛が軽減していて、診察後に帰宅となった。

 7月26日(月)は発熱が続いて食事ができないため、当院小児科を受診した。ケトン血性嘔吐症(昔の自家中毒症)として点滴を開始した。

 検査結果でCRPが13.1mg/dlと高値であったことから、腹膜炎が疑われた、腹部単純X線でニボー形成を認めた(麻痺性イレウスの所見)。(炎症をきたした)回盲部周囲には消化管ガスがない。

 腹部エコーで右下腹部に腹水貯留と糞石を伴う拡張した虫垂を指摘された。急性虫垂炎穿孔による限局性腹膜炎として、小児外科のある赤十字病院に搬送となった。緊急手術(腹腔鏡下手術)が行われて、経過は順調だった。

 小児科の先生は小児科通信を院内メールで流している。この症例では、「下痢を伴わない嘔吐は要注意!(腸重積と急性虫垂炎)」とあった。「虫垂炎は2晩越すと穿孔するが、経過が土日にあったったのが不運だった」、ともあった。

 

 当院の小児科は72歳の小児科医が一人でやっている。基本的には平日日中のみの対応になる。夜間・休日はずっと外来管理している小児だったり場合に緊急性がなければ対応することもある(電話で点滴指示をして翌日診察で対応できる場合など)。

 住所からは当院が近いが、土日に基幹病院にお世話になったのは、そういう事情による。当院が後医は名医的になったが、こちらでも思いがけない検査値の異常が診断のきっかけになった。

 

 内科だと、患者さんが心窩部痛→嘔気・嘔吐、発熱→腹痛の右下腹部への移行を訴えてくれる(ことが多い)。そして安易だが、とりあえず血液検査、とりあえずCTで何とかなっている。訴えがはっきりしない認知症の高齢者でもCTが拾い上げてくれる。それに比べて小児はむずかしい。

 

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