生物や その遺伝的進化の全てには「目的」が存在しているという誤謬を鵜呑みにしていると
先天的本能習性の全てまで意味があることになってしまう
そうなると個人的な主観的感情感覚の全てに合理性が存在することになり 他人を騙すことも危害を加えることにも意味をこじつけることになってしまう
自分の遺伝子は自ら選んではいない以上 自分の脳は自分では選んでいない
選んでいない脳から促される先天的な本能欲望もまた選択不可能であり これは「意思」でも「目的」でも「戦略」でもない
欲望のままにしか行動できなければ これは野獣と一緒で人間社会には適応できない
とは言え理性だけでは何も行動を起こすことはないのだが 一人のヒトの中には様々な欲望が存在し それを統合的に検証し 最も重要な「目的」を導き出すのは理性である
イマヌエル:カントは「ヒトは叡智界に属している」などと論理的根拠もなく決めつけ 「動物や犯罪者は現象界の存在」などという これまた論理的には根拠のない決めつけをすることによって これを読んだバカは「自分は犯罪者じゃないから叡智界に属している優秀な存在だ」という主観的満足によって思考を停止し カントの論説には論理的根拠が存在していないことには意識が働かなくなる
これもまたヒトの先天的欠陥に由来する錯覚である
「叡智界」の屁理屈では 理性の代わりに悟性などという何の応用性もない実証不能の謎の概念を根拠にしており 「ヒトは叡智界に属しているから自動的自然に悟性が働き道徳的行動が採れる」かのような錯覚に陥れ その主観的満足によってヒトの多くは何も考えなくなるのである
何せ「理性なんぞ働かなくても自分様は自動的に悟性が働く優秀な存在だから何も考えなくても良いんだ」という屁理屈であるから そりゃバカになるのは必然というものである
ヒトは「ヒトに進化しよう」という目的に則った主体的選択によってヒトに進化したわけではない
遺伝的進化というものは あくまで「死なずに生き残った」結果だけであって 遺伝的進化には目的も戦略も合理性も存在しない
犯罪者が語る動機というのは合理性がない
「風俗嬢は少子化の原因」だの
女子中学生を誘拐監禁しておいて「高価な美術品を盗むよりは罪が軽いと思った」だの
「障害者はいない方が良い」だのといった身勝手で非合理な動機ばかりである
なにゆえこのような「実証不能の謎の観念」を振り回して他人に迷惑をかけるのか その原因は自発的に物事を論理検証する「考え」が働かないからである
要するにバカ(頭が悪い)なのであるが この頭の悪さというのは犯罪者でなくとも存在するものであって 誰しもがある程度バカなのである
自分で主体的に物事を検証し「考え」ていれば 「刑法判決で解決だ」などという短絡的発想を鵜呑みにはできないはずなのだが ヒトの大半はここに疑問すら持つことはない
進化生物学における遺伝的進化万能論に基づいた「生存戦略」などと実証不能の概念も多くのマスコミや大衆が鵜呑みにして疑わない
複雑な形式制度による手続きさえ踏襲していれば 何か「権威によって自動的に論理的厳密さが担保されて全て合理的に意味のあるものである」という錯覚によって 刑法罰や遺伝的進化万能論といった合理性のない因習が温存され続けてしまうのである
ヒトは権威に疑いを持つことをしなくなる盲目的性質というものが先天的に存在していて これが生物学上における「社会性」を作り出すのである
権威に媚びへつらい忖度してご機嫌取りをして疑わず 集団全員で敬い畏れるという感覚的満足によってヒトは盲目性を発揮する
それは統率的協調行動を促すことによって生存にとって有利な「習性」ではあるが こうした習性というものは暴力団や振り込め詐欺 学校でのイジメやヘイトスピーチでも発揮されるシーケンシャルな動物的「習性」でしかない
軍隊や警察組織も こうした先天的習性を利用して統率的協調性を発揮させることで 他国からの侵略や凶悪な犯罪者に対するカウンターとして機能させることも可能であるが
何せ権威に対する盲目性を利用しているために香港警察やミャンマー軍のように国民を迫害するために用いることも可能なものでもある
何でもそうだが 「力」は大きければ良いというものではなく 何に「力」を用いるべきかの判断や 必要な「力」への抑制が必要である
エンジンばっかり300馬力あっても ハンドルやブレーキ操作があやふやでは暴走にしかならない
香港やミャンマーの民主活動家のように圧政に屈しない努力は必要だが 便乗して感情的に暴力暴動で対抗するというのは むしろ軍や警察による暴力的取り締まりを正当化させてしまうことにもなってしまう
ガンディーのような非暴力を評価しておきながら 実際には暴力的対抗措置を行ってしまうのがヒトという種の生物の「性(さが:習性)」というものである
独裁がなぜ起こるのかと言えば 独裁者の指示に従う大多数の盲目的服従者がいるからであって 独裁者が一人で独裁を行えるわけではなく 構造的には学校でのイジメと同じものである
ヒトは先天的に権威に対する盲目性を発揮する習性があることによって 集団組織的協調性を発揮して大きな「力」を発揮することも可能ではあるが その「力」の方向や抑制が効かないからこそ暴走に陥り 社会安全性や持続可能性の喪失につながるのである
生物学界や哲学界が実証不能の謎の観念に囚われていても誰も異議を唱えないのも 権威に対する盲目性を発揮しているからであり 既存の権威に服従同調迎合しておいた方が自分の属する組織が安泰でいられるからである
「組織の利益を優先し 個人が自律的な社会的責任を負わなかった」からこそ 原発事故は起きたのである
組織というのは一旦構築されてしまうと自浄能力を失う だからこそ企業では社外取締役を雇うのであって これは生物学界や哲学界などの組織においても必要であり 理工系学者による審査検証をすべきなのである
役所が一旦決まった方針を転換できなくなるのも ヒトの先天的盲目性による暴走性に因るものであり 役人個人による自律的な検証判断ができなくなるからである
企業では近年トップダウン的な経営が見直されているのだが 役所では未だにトップダウン的序列命令系統が健在であるため 縦割り行政も解消することが出来ず 非効率で無駄な手続きばかりを「仕事」だと錯覚しているのである
頭ごなしに命令ばかりを押し付けるというのは 虐待と同じであり 個人から主体性を喪失させ 自律的に物事を検証する「考え」を奪い 非効率な因習ばかりを繰り返そうとする者だけが組織に残ることになる
軍隊というものは組織内部に民主性はなく 封建的序列による統率指揮命令系統だけにしか意識が働かなくなるよう過酷な訓練によって頭がバカになるよう仕向けるのである
本当に戦争になった場合に必要なのは 兵隊個人の体力や気力ではなく 装備の威力だけである
ポーランド騎兵隊がどんなに勇敢で士気が高かろうが ナチス機械化部隊の前には成すすべがなかった
B-29爆撃機編隊に対して竹槍で応戦できるわけもないのである
軍隊の訓練が厳しいのは 実は上官の命令に疑問を持つ主体性や精神的余裕を兵隊個人から喪失させるためのものであって 兵隊をどんなに鍛えても拳銃弾一発頭に当たれば簡単に死ぬのである
有事における「現場の対処」においては個人の判断は不要な場合もあるが 有事以外における「有事に陥らないため」の工夫においては より多くの個人による自律的判断が求められるのである
薬物中毒の男が包丁持って暴れてたら鉄パイプで殴ってでも鎮圧しなければならないだろうが 薬物中毒になんぞなるバカが出ないようにする工夫を日頃から充分に行ってゆくことが基本である
ヒトの頭の悪さはグラデーションであり 絶対に間違えることのない完璧な人などいないのである
先述の犯罪者の動機のように 非合理で訳のわからぬ話をしだすバカが出てこないようにするためには 社会の一人一人が自分の頭の悪さを自覚することが重要である
自らの「小さな頭の悪さ」を認識自覚しないからこそ 社会が「重大なバカ」の温床となるのである
「ヒヤリ・ハット」段階の小さな頭の悪さから丹念に潰してゆく丁寧さが欠けているからこそ 「大きな事象」への発展を止めることができなくなるのである
ヒトは別に全知全能な神が造ったものではなく あくまで遺伝的進化というシーケンシャルな結果に過ぎないのであり そこには目的も戦略も叡智界もイデア界も存在しないのである
妄想錯覚を妄想錯覚だと認識するのは理性であり 実証不能の悟性だの叡智で満足してしまうから妄想錯覚でも鵜呑みにできるのである
真実を見分けられなければ何が起こるのかは 既に何度も述べたつもりである
Ende;