自転車用LEDライト自作計画
§:LEDの一般的特性
〇電圧変動によるLEDの明るさ
LEDというのは電源電圧の変動に対して明るさの変動が激しく、3[v]タイプのLEDに1.5[v]をかけても全く光りません。
電球であればこれほど電圧には神経質ではないのですが、LEDの場合にはわずかな電圧変動で急激に暗くなってしまうので、普通の乾電池をそのまま使うと明るさが充分に維持できないことになります。
普通の乾電池は使っているうちに電圧がどんどん下がってきてしまうのですが、eneloopなどの充電池の場合には電圧変動が少ないので、充電池を使う仕様にすることにします。
ところがeneloopなどのニッケル水素充電池というのは普通の乾電池が1.5[v]なのに対して充電池は1.2[v]と、二割程電圧が低いので、3.2[v]タイプのLEDを用いる場合には充電池を3本直列に接続して、最大3.6[v]にしておいて。これに3.2[v]の定電圧ダイオードを直列に接続することで、わずかな電圧変動も抑えることで常に一定の明るさを得るようにしたいと思います。
定電圧ダイオードというのは、元となる電圧が高い場合にはそれ自体が抵抗となって発熱し、電力損失となるのですが。充分な明るさを得ながらLEDの寿命も維持するためにこうした電源を使うことにします。
〇熱温度係数が負
LEDの持つ性質として、「熱温度係数が負。」であると、専門書には書かれています。熱温度係数というのは、温度が変化した時に抵抗値の変化する割合を示した数字のことなのですが。一般的な導体、電球とかヒーターというのは温度が上がると抵抗も上がる性質がありますが。LEDの場合には、この数値が「負。」つまり「ー(マイナス)」であるため、電流が流れることによって発生した熱によって、抵抗値が下がり、さらに電流が多く流れてますます温度が上がってしまって壊れるという、いわば暴走破壊癖があるのです。
こうした暴走癖は、定電流ダイオードを用いて一定の電流以上は流れないようにすることで抑制することができるようになります。
電子部品店などでは、LEDを購入するときに定電流ダイオードの購入も勧められるのですが、熱温度係数云々の説明をいちいちするのが面倒臭いらしくて、なぜ定電流ダイオードをつなぐのかは説明してくれないことがほとんどです。
定電流ダイオードというのは、電流の容量によって価格が大きく異なるために、20[mA]タイプ一個よりも10[mA]タイプを二個並列に用いれば20[mA]タイプとして使うことができ、安く購入することができます。
〇配光特性
LEDは透明のプラスチック(120℃熱硬化エポキシ樹脂)で固められていますが。先端部分を発光している部分から長く離すことによって、レンズとしての屈折による集光効果を強めているタイプがあります。
ところが実際には発光した光の全てを屈折によって前方に集めることができるわけではなく。屈折できなかった光の多くは全反射によって前方以外の横方向に拡がってしまっているのです。
光っているLEDを横から見ると、実際の発光部分とは別に球状の先端部分が強く光っているのはそのためです。
この先端部分から横方向に拡がる光を反射鏡によって前方に集めることによって、効率良く明るいライトを作ることが可能となります。
一点から拡がる光を一方方向に集めるためには、中学校で習った二次関数、y=x二乗のグラフ(放物線)を、y軸を中心とした回転体にすることで実現できます。
yの値が0.25に相当する部分にLEDの先端部分がくるように設計すれば、先端から漏れてしまっている光を前方に集めることができるのです。
しかし、数値的に高い精度を要求される反射鏡をどうやって自作するのかというと、最近では3Dグラフィックソフトなどで造型したデータを用いて、立体出力造型をしてくれるサービスがあるので、これを用いれば作ることが可能なのです。
*立体出力造型サービス
デジモデ
最近では小学5年生でも立体出力を使いこなすらしいので、負けてはいられません。(勝ってどうする。)思い切ってこの子にデータ製作を頼もうかしらn。
Φ3㎜ 直径22㎜
本来であれば、反射鏡の表面にはメッキ加工を施したいところですが。今のところその方法がわからないので、とりあえずは銀色のラッカー塗料で塗装することを考えています。メッキに比べると反射効率は下がるのですが、鏡の精度が高ければ結構うまく光を集めることもできると思います。
シリコンゴムなどの反転型を用いて別の素材に置き換えれば、真空蒸着などによってメッキを施すことも可能なのかも知れません。これについては引き続き調査したいと思います。
◇追記:こんなんありました。
プラッカ *玄人本舗さんはメーカーではないらしいです、メーカーの方は見つけられなかったです。KANDAとかいう会社らしいんですが。
◇:アサヒペンから
メッキ調缶スプレーが。
工業用ウレタンなどにはメッキ可能なグレードもあったと思いますが、一般購入が可能なのかどうかは今のところ不明です。10kg単位でしか購入できないとなると、自作の域を超えてしまいますから、思い切って少量生産に踏み切らない限り難しいかも知れません。
秋葉原の電子部品店などでは、非常にたくさんの種類のLEDが販売されていますが。静電気に弱いものや寿命の短いものなどもあるので、取り扱いの難しくないものをお店で選んでもらうと良いかも知れないです。正直、ややこしくて私にはわからないです。
秋月電子通商 LED
OSPW5111A-YZ ←このモデルが多分変な癖がないモデルだと思います。Φ3㎜だとΦ5㎜ほど配光の狭いモデルはないのですが、30[mA]も流せるモデルもあるので、こちらも試してみたいところです。
§:結線方法
〇圧着スリーブ
圧着スリーブにつなげたい端子を入れて、圧着ペンチという専用工具で強引に潰して結線する方法です。家庭の屋内配線などで良く使われる電気配線の結線方法としてはメジャーな方法です。LEDなどの電子部品の結線ではあまり使われないようですが、ハンダ付けなどと比べて衝撃にも強そうなので、自転車用のライトなどでは有効な方法だと思います。ただ、専用工具を購入することになるので、今回限りにしか使う予定がない場合は無駄な出費になるかも知れません。
〇ネジ止め
DIYショップなどで普通に購入できるビスやナットを用いて端子を締め込んで結線する方法です。
電気配線ではあまり聞いたことのない結線方法ですが、端子をまったく切断しなくても可能なので、結線を間違えた時などにも付け直しができて初心者には便利な方法だと思います。
欠点としては、締め込む時に端子が時計回りにズレる性質があるのですが、ワッシャーをはさむことで軽減することもできます。
タミヤ ユニバーサルプレートは、3mmの穴が5mm間隔に開けられたプラスチックの板なので、これを用いると配線や電池ボックスの取り付けも簡単そうです。
*LEDは熱に弱いので、ハンダ付けをするには手際良く短時間に結線できないと壊れてしまうので、おいらのような初心者にはこれらの方法が確実だと思われます。
*ジャンパ線として、模型店で購入可能な洋白線(銅、亜鉛、ニッケルの合金)を用いると、曲げ加工が非常にしやすいので便利だと思います。実は洋白という合金は抵抗値が比較的大きいので、ジャンパ線としては不向きなのですが、今回のように抵抗値の大きなLEDの結線では、あまり問題にならないと思います。
抵抗値を低く抑えたいのであれば、単純に銅線を用いても良いと思います。ただ、銅の場合は表面がサビやすいので、結線の接触部分の錆を落としてから結線すると良いでしょう。
§:防水
eneloopのようなニッケル水素充電池というのは一般的な乾電池と異なり、水がかかってショートすると、大きな電流が流れて電池が破壊したり。最悪発火事故を起こす可能性もあるので。自転車のライトでは充分な防水が必要となります。
一番手軽な防水方法としては、食品用の密閉容器が便利です。最近では100均でも購入できるので、回路や反射鏡の大きさが決定してから必要な大きさの容器を購入すれば良いと思います。
食品用密閉容器の場合、透明度が充分ではないのですが。丈夫な防水容器を自作するのは困難なので、とりあえず最善策だと思います。
実はeneloopのようなニッケル水素充電池は密閉器具で用いた場合、放電し過ぎた場合に水素ガスを発生することがあり。最悪爆発事故の危険性があります。浸水による短絡発火のリスクとのトレード関係があり、ややこしいですね。水素ガスは放電し過ぎなければ大丈夫なはずなので、使い終わったら必ず充電池を外すようにすれば防げるはずです。水素ガスの危険性が問題とされるのは、主に完全防水のストロボなんだと思います。LEDライトの場合は高電圧を扱わないので、それほど神経質にならなくてもいいのかな。
§:防眩
夜間暗い道を走っていると、対向の自転車のライトが眩しくて危険なことがあります。しかし、ライトを下に向けてしまうと遠くが見えなくて危険なので、どうしてもライトを水平に調整しがちです。
それに対して、自動車やオートバイのライトでは、ロービームという防眩設計がなされているため、ライトよりも上には光がほとんどいかないようになっており。充分な明るさがありながらも、対向車には眩しくないようになっているのです。
これを自転車で実現するための最も単純な方法は、ライトの上に「ヒサシ」を取り付ける方法があります。
ヒサシの素材をアルミやステンレスにすることで、上に拡がる光も効率良く路面に向けることも可能となります。(これは単純に商品化できそう。ただ、商品化するには端部が尖っていると危険なので、これをどう処理するかが課題。
ヒートマシンサービスという会社ではシリコンゴムに蒸着メッキができるらしい。)
ヒサシを用いた場合。完全に上に光が行かないようにはできないのですが。対向車が近くに来た時には充分な効果があり。逆に遠くからは強い光が届くので、自転車には向いている方法なのかも知れません。
電動アシスト自転車などはライトが非常に明るいので、メーカー各社も防眩設計に配慮して欲しいですね。
◇追記:いろいろ調べてみたら、量産するシステムも結構あって、商品化もできそうではあります。でも、欲しい人ってどのくらいいるのかな。最近では100均でもLEDライトって売っているから、わざわざ自転車用ライトなんて今更誰も買わないような気もする。
量産であればLEDを反射鏡の方向に向けて自動車のライトみたいに防眩構造にすることも可能。もちろn防水も。
電動アシスト自転車メーカーのヤマハならバイクのライトも作っているんだから防眩設計とかできるはずなんだけどな。
それから
自作している人発見。この人と一緒にヒサシ(フード)を商品化しようかしら。100均とかで売れるかも。というか、チューブを切断しただけなら無料配布もできるけど。タダで配ると捨てる奴がいるから多少でも金を取った方が良いんだよね。
バッテリー関連でググっていたら、リチウム燐酸鉄バッテリーっていうのがヒットした。化学記号でLiFePO4 とか書くらしい。検索しても大抵2chとかの書き込みサイトばっかりヒットするので、詳細は良くわからない。ラジコンでは結構アツいトピックらしいです。
米 ボストンにあるa123Systems社の製品とのこと、電圧は3.3vと3.2vの2タイプがあるとのこと、これってLEDライトに最適っぽくていいなー。でも充電器とかも必要になるので普及してくれないと扱いにくいな。価格もお手頃な感じだし。
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