「ナンヤカンヤについて教えてくれ」っていう話があったので
ウソチク述べてみようかなとか思ってみた
マクロレンズっていうのは元々学術記録とか大きな図書館にあるマイクロフィルム作成 文書や図面の複写など業務用レンズとして設計されているので 画面全域で細かい部分まで鮮明に写せるように設計されている
学術記録や図面の複写用途も想定しているために 画像の歪みも非常に小さく設計されているものも多い
それじゃ 普通のレンズは画面全域まで鮮明に写らないのかというと マクロレンズほどは写らないんだねぇ
そこいらの家電量販店でセット販売されている安物のズームレンズともなればカメラ本体のオマケみたいなもので カメラ本体の画質性能を充分に引き出すためのものではないのよ
なまじレンズ交換が可能なもんだから「画質を追求すんならもっと良いレンズを買い足してね」っていう魂胆が カメラメーカーにはあって とりあえずカメラ本体を安く売っておいて 後から「もっと良いレンズあるよぉ」っていう商売の仕方がしたいわけね
なので むしろレンズが交換出来ないタイプの高級カメラの方が 組み込まれているレンズの画質が高いっていうパターンもある
ズームレンズっていうのは店頭で手にとって触る段階では 画像の倍率が連続的に変化するもんだから 商品としてハッタリが効くため 売上だけを求めれば「レンズの画質性能なんてどうでも良い」という考えも販売店にはあったりする
ズームレンズっていうのは画像の倍率を変化させるための変倍系と呼ばれる凹レンズの光学系を組み込まなければならず 何せ凹レンズなもんだから これ自体は光を集めるためには邪魔にしかならず それ以外の凸レンズのパワーを上げなければならなくなる
最終的に一枚のスチル画を作る上においてズームというのはあまり意味を為さない
写真用レンズっていうのは 基本的に「光を集める」ことがメインのお仕事なので ズームの変倍系というのはこれに逆らった余計な光学系なので 画質性能が下がることはあっても 上がるこたない
でも そんなこた知らん一般ユーザーは メーカーや販売店が売り上げの良いズームレンズを セット販売という形で半ば強制的に買わされることになっていて それ以外の選択肢が事実上閉ざされている
そもそも望遠側でF5.6だのF6.3だのと暗かったら ピントの浅さも楽しめないし シャッタースピードも稼げずブレまくりだし 全然表現の幅なんか拡がらないのよ
「手ブレ補正がついているじゃん」って? そんなもん気休めだよ 「絶対にブレなくなる」わけじゃないもん
画質の悪いレンズってのは ピントの山がハッキリしないもんだから 一生懸命ピント合わせをしても ブレないように工夫しても 写る写真のクオリティに最初から限界があるので あらゆる努力が無駄になる
そんなカメラシステムを 本当は誰も求めてなんかいないはずなんだけどな だから誰も趣味でデジタル一眼を買わなくなる
買うのは子供の成長記録目的のパパママばっかりで 彼らだって本当はもっと雰囲気のある島尾伸三みたいな写真が撮りたいんだと思うけどな
マクロレンズの多くは 開放F値がF2.8とかF3.5程度のものが多くて セット販売のズームと変わらないように見えちゃうかも知れないけど 実質的な瞳径は倍くらいあるので 決して暗くなんかはない
でも マクロじゃなければF1.8クラスの単焦点レンズってもっと安く入手可能ではあるんだけど そこにはちゃんと理由がある
レンズの開放F値を小さく明るくしようとすると 設計上どうしても球面収差やコマ収差の影響が増えてしまう
レンズの設計っていうのは いくつもの収差のバランスを考慮しながら設計しなければならないものであって「球面収差は非球面レンズや屈折率の高い材料のレンズさえ使えば全て解決する」なんつう短絡安易なものではない
非球面レンズや高屈折ガラスレンズというのは 一種の薬物みたいなもんで 副作用もあったりするもんだから万能ではない
屈折率が高いと 一般的に色収差が増える傾向があるので これを抑えるためには更に屈折率の高いガラス素材と組み合わせたりしなきゃならなくなったりする しかも 色収差っていうのは軸上と倍率の二つがあって それぞれ補正の設計方法が違ったりする
ってな感じに「薬物漬け」にしてしまうと ピントの合った部分の性能は上がっても ボケの中に色の分散が生じたり ボケの輪郭が強調されたりして まるで油が浮いたようなボケ方をするレンズになっちゃったりすることもある
高屈折低分散のガラス材ってのも開発されてきてはいるんだけど 副作用がないわけじゃない
人が写真撮るのは 別に機械測定をするためではないので 人が写真の仕上がりを見て心地良いと感じられないと いくら機械測定の値が良くても写真としては残念な仕上がりになることも多い
それなら 「薬物」は使わずに 最初からあんまり収差全体が増えないようにするためには F値をF2.8とかF3.5程度に抑えることで 様々な収差全体のバランスをとることが出来るので 画像の歪みも小さく抑えることも出来て 画質も非常に良く設計することが出来る
これはマクロレンズだけに限った話ではなくて シグマの60㎜F2.8DNが安価な割にやたらと良く写るのも F値をむやみに明るくしていないためなのよ
だから 本当は安くて軽くて高画質なレンズってメーカーが作ろうと思えば作れるんだけど それは商売的にオイシクないもんだから シグマくらいしかやらないんだな
安くて画質の良いレンズなんかあったら 高いレンズの販売数に影響しちまうからな
iPhoneのカメラが妙に良く写るのは iPhoneのレンズってズームレンズではないのみならず 実はプロ仕様のカメラレンズに使われるオルソメター型の光学系が超小型化されて組み込まれているためだったりする
オルソメター型っていうのは バックフォーカスに制限のある一眼レフではあまり使われないタイプだけど ブローニー判フィルムを使うレンジファインダーカメラの標準レンズなどで用いられることが多かった
なので結局はスマホで撮っても デジタル一眼で撮っても あんま違いが良くわからないという なかなかのディストピア状態に陥っていたりする
ひどい場合には「センサーサイズが大きいと ボケが大きいだけ」なんつう評価になったりもする
そういうことではないんだけどね (*_*;)
デジタルカメラっていうのはノイズが画質に大きく影響する性質があるので シャッタースピードが遅い(露出時間が長い)ほど画質が悪くなる
なので晴天日中など光量が豊富な条件下だとスマホのようにセンサーサイズが小さくても結構良く写ってしまうのだけど
薄暮とか室内など 光量の少ない条件下になるとセンサーサイズの大きさが画質に大きく影響してくるわけで
そうなるとペンタックスのQシリーズの1/2.3型センサーなんてのはコンパクトデジタルカメラと同じセンサーなので 一応レンズ交換が出来るからミラーレス一眼という分類にはされているんだけど 実質的には「ミラーレス一眼」という分類にすんのは詐欺なんじゃねぇのかと
オイラは思うだよ
デジタルカメラの場合 レンズの性能がそんなに良くなくても デジタル処理で鮮明な写真にすることも出来たりするんだけど
デジタル処理ってのはピントが合ったところだけじゃなくて ボケまで鮮明にしちゃう性質があるため レンズが本来持っているボケの軟らかさみたいな いわゆる「描写の味」みたいなものまで駆逐してしまう性質がある
レンズの描写やボケの軟らかさを云々語るんだったら まず「シャープ」処理の値を0にしておくことが大前提なんだけど これってプロでも若い人だと学校でも教わっていないらしい
まあ 試験問題にはならないからな
写真におけるボケっていうのは ピントの合った部分から徐々に像点が拡がってゆく様に残存球面収差が影響することで 細部に微妙なソフトフォーカス的な描写の軟らかさが伴ったりすることで これが「描写の味」とか言われるんだと思う
違うかも知れんが
まあ 主観的なものなので
でも あまりに高画質なレンズの場合はボケの形はセロファンを丸く切り抜いてばらまいたみたいになっちゃうので 味もヘッタクレもなかったりする
100㎜くらいの中望遠マクロレンズの中には あまりにコントラスト再現が高すぎてマジでガリガリ描写しかしないレンズとかあったりする
具体的に言うとシグマの105㎜F2.8とか
でもシグマの70㎜F2.8(通称「カミソリ」)は高精細描写なのにボケはフワリと柔らかい
シグマって極端
ボケの大きさだけを求めるんだったら 大口径レンズってことにはなるんだけど ボケってデカけりゃ良いってもんでもなくて あくまでピントの合った部分とのコントラストが美しいんだと
オイラは思う
実際プロの写真家って 大口径なレンズを使うこた使うんだけど データ見るとf2.8とかf3.5まで絞って使っているので 開放で撮るわけじゃなかったりする
だったら最初からマクロレンズ的なものを使えば良いんじゃないかと思うかも知れないけど ヨーロッパの方だと実際ポートレートにマクロを使うのが流行ってたりする
同一条件下であれば 絞りを開いた方がボケは大きくなるんだけど ボケの大きさってそれだけで決まるわけでもなくて 被写体までの距離が近ければ別に大口径レンズじゃなくてもピントの浅い写真って撮れるので
それって経験技術とかセンスの問題であって レンズのF値の問題じゃなかったりする
安物の大口径レンズって売ってはいるんだけど あれって画質自体がそんなに良くなかったり ボケがキレイじゃなかったりするので 趣味として写真を楽しもうっていうなら手を出さない方が良いんじゃないかと思うよ
素人感覚からすると レンズ構成は枚数が多ければ多い程性能が高いと思っているらしいんだけど
実は枚数と画質は必ずしも比例しない
写真屋さんで使う大判カメラのレンズって4群6枚のガウス型だったり
40年くらい昔の100㎜マクロレンズは3群5枚のヘリアー型だったりする
ちなみにオイラが使てる
New Macro FD50mm F3.5は4群6枚クセノター形(前半分がガウス型で後ろ半分がオルソメター)だが APS-Cセンサーでも結構良く写る 作例(リンク:フルサイズなのでクリック注意)は晴天順光なので特に良く写っているよ
最近出てきたレンズを見ていると 構成枚数よか光学全長を長く採る方が画質は良く出来ることがあるらしくて KOWAのプロミナーシリーズなんかマイクロフォーサーズなのにかなり巨大なレンズになっていたりする
シグマの40㎜F1.4なんぞ キヤノンの135㎜F2よかデカイという逆転現象 シグマって極端
邪魔なレンズは良く写るらしい
あと カメラメーカーはやたらと「明るいレンズ程取り込む光の量が多いので画質が良い」ってのも 明るいレンズの方が単価が高くて利益率が良いもんだから言っているだけで
高性能マクロレンズがF2.8程度であることからも論理整合性がない
写真屋さんで使っている大判カメラのレンズなんてF5.6以上の暗いレンズが一般的
天体望遠鏡では明るい方が回折の影響が減るので画質が良いっていうのはあるんだけど これは高度な非球面反射望遠鏡の類いのお話であって BRC(ベーカー:リッチー:クレチアン)でもF2.8程度しかなく 屈折型ならF5.6程度が主流で 写真用レンズにそのまま適用できる話ではない
大判カメラの場合はフィルムがデッカイので 回折の影響が少ないので絞りこんで使うのが一般的だけど
コンパクトデジタルカメラとかビデオカメラの場合はセンサーサイズが小さいので 晴天日中など非常に明るい条件下では絞り過ぎによる回折の影響で画像がボヤボヤになることもある
そういう場合はND(ニュートラル デンシティ /減光)フィルターやPL(ポーラ ライジング /偏光)フィルターで光を減らしてやれば絞り過ぎずに済むようになり 画質が劣化せずに済むこともある
一時期 A城耕一が「ズームレンズは棄てなさい」的に単焦点レンズを推奨してたことがあるんだけど 35㎜判フィルム用に設計された中途半端な大口径レンズを当時主流だったAPS-Cサイズセンサーに用いても画質なんか出るわきゃねぇのに どう見てもメーカー在庫を処分するためのテコ入れにしか見えなかったよ
何も知らない素人を騙すっていう汚い商売の方が金にはなるのよね
真実なんぞ金にはならん
内部告発をすると排除対象になるのが日本だからな
その迎合性や多数派同調性こそが「正直者はバカを見る」原因なんだが
それならバカで結構
卑怯で姑息な利口になんぞなりたかないわ
その卑怯で姑息な奴らが原発暴走させたんだからな
話が長いし逸れてきたので終了だ
Ende;