犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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間違い藪

2021年10月24日 | うつろい
庭に蚊が多い。
なぜかと言えば、庭が藪と化しているからだ。
もっときれーいに整えていれば、今ほど蚊が殖えることも無いだろう。

茗荷の茎が倒れ始めたので、一掃することにした。
茗荷の間に蕗が生えていて、そこいらには元々、菖蒲が生えている。
なんと。3種類とも根茎で殖える植物だ。

見た目も繁っているのだが、ちょっと掘ると
土の中はもっと繁って混迷というか根迷を極めている。
そこにまたヤブカラシの地下茎が這っていたりする。

いつもは憎たらしいヤブカラシの地下茎だが、
蕗や茗荷の根茎のようなややこしい物の間だと、
すーっと一筋、素直なものに思えてくるぐらいだ。

倒れた茗荷を取り除くと、枯れた菖蒲の葉が現れる。
さらにそれを取り除くと、茗荷のつぼみ、いわゆる
「ミョウガ」と呼んで食べるあの部分がたくさん出ているのが現れた。

10月の半ばにまたこれが出るのは知らなかった。
夏だけだと思っていた。しかも、どでかい。
葉や茎に養分を回さない分、大きく花咲くつもりなのだろうか。



食べる茗荷と似て非なる、ヤブミョウガというヤツがよく生える。
見付けたら引っこ抜く。
何年もそうしているが、無くなりゃしない。

これの名前を母は「ハナミョウガ」と教えてくれた。
ある時、近所の神代植物公園でハナミョウガを見た。
ウチの「ハナミョウガ」と違うものだった。

やられた。
調べると、「ハナミョウガ」の本名は「ヤブミョウガ」だった。
とにかくあちこちの家の裏なんかに繁っている。どこにでも有る。



サンスクリットはクソやたら長ったらしい複合語を作る。
複合語の要素に隠れた格が有って、要素の間の関係の意味を作っている。
その隠れた格をあばくのが、文法研究の一つの味わいだったりする。

もしサンスクリットで「ハナミョウガ」と書いてあったら、
花の茗荷ね、で済ませるのではなく、「花を咲かせる茗荷」だろう
というところまで丁寧に読み解く。

「ヤブミョウガ」だったら、「藪に生える茗荷」と
「ヤブ」は位置を示す処格(locative)に取れば良いだろう。



その、茗荷と蕗と菖蒲が絡み合っている場所に、
いつの間にか増殖しているヤツらがいる。
ヤブランだ。

これも、母に「キッチョウソウ」と教わったが、
疑って自分で調べてみたらヤブランだったのだ。
要するに

母は間違いだらけで、
ウチの庭は藪だらけなのである。

ヤブランは地上で茎を横這いさせて広がる。
どんどん広がる。
どんどん広がって、藪になる。

藪に咲く蘭、ではなく
藪を作る蘭である。
自らが藪であるところの蘭、でもいいだろう。

つまり「ヤブラン」の「ヤブ」は処格ではなく、
「藪を作る」ので目的格(accusative)が妥当か。
「自らが藪である」の場合は主格(nominative)かなあ。
他にも生えていて「藪の一部である」なら属格(genitive)でも良さそう。

なんて考えても、勉強にも草取りにもならないのである。



と、ここまで書いてからよく確認したら、
今、ウチの庭で藪を広げているのは
「キチジョウソウ」のようだ。

まったく、見た目と名前の両方が紛らわしいというのはやめてほしい。

今回で憶えよう。
キチジョウソウキチジョウソウキチジョウソウ

とにかく、
蚊を減らすためにも藪を刈るべし。
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