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渡に舟

2022年05月14日 | 梵語入門

[あらまし] 2016年からサンスクリットを勉強している。
最初は独習していたが、すぐに無茶だと判断し、講座を探し回ったところ、
東大仏教青年会の開いている講座が見付かった。

カルチャースクールにもちらほらとサンスクリット講座は有ったが、
そもそもカルチャースクールなんて金と時間の余っているジジババが対象な(偏見)ので、
受講料が私のお財布事情に合わない。
巷のヨガ教室が、チャンティングを目的とするサンスクリット講座を開いていたりするが、
これまた金と時間の余っている意識高い系マダムが対象な以下同文。

そこへ行くってえと、東大仏教青年会は
仏教と名は付いているものの、学生と卒業生の有志から成る団体なので、
アカデミックな雰囲気が強い。
講師は東大関係の先生方が占めているようだ。
そして受講料が安い。助かるぅ

サンスクリット初級の講座に、隔週一年間通った。

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初級講座の最後、
テキストとして詩聖カーリダーサ作の「四季集」のうち、春の一篇が取り上げられた。
サンスクリット古典の韻律に則った、完璧な詩で春の景色の美しさを歌っていた。

驚いた。

そもそもなんでサンスクリットを勉強しているのかよく分からなくなっていたが、
とりあえず、カーリダーサの詩を読んでみたい、と強く思った。

では、何を読むか。
戯曲ではなく、やはり詩が読みたい。
叙事詩より、抒情詩が読みたいと思った。

職務怠慢のため遠い地に流された夜叉が妻恋しさに雲にメッセージを託す
という設定の「雲の使者」を読むことに決めた。
テキストはインターネット上の図書館で見ることができる。

しかし、
一年あまり文法を学んだだけの力では歯が立たなかった。
途中で挫折してしまった。

さてこれからどうしよう。



そうこうするうち、コロナ禍においてZOOMによる講座が始まった。
しかも、今までは初級と上級しか無かったが、新たに中級講座が開かれた。

さっそく受講した。
文法解説はもとより、インターネット上のサイトを教えてもらったり、
独習の助けにもなった。

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ZOOM講座が始まって1年半。
今までは休講していた上級講座が再開した。
しかも、対面講座をZOOMで配信してくれるという。
しめた。

初級を終える時に一度聴講してみたことが有るが、
自分のレベルに合わないので受講には至らなかった。
それから数年経っているし、今なら学びになるのではないだろうか。

どんなテキストを読むのか。
きっと、第一回の講義の中で、先生の提案が有るか、参加者に希望を聞くか、
何かあるだろう。そう考えて、一回目を聴講してみた。

「何を読んでいくか考えまして。
以前は〇〇をずっと読んでいましたので、その続きをということも考えましたが、
今回から参加する方にはいきなり途中からなので、どうかと。

あるいは、簡単なインド哲学の文献というのも考えました。
しかし、サンスクリットを勉強したなら、とにかく一度はカーリダーサの詩に
触れたほうが良い。

他にも偉大な詩人はいるのですが、
カーリダーサは過剰な表現ではなく、巧みな比喩を用いていて、しかもわりに分かりやすい。

ではカーリダーサの何を読むか。
「シャクンタラー姫」などの戯曲も有りますが、
セリフの部分はプラークリットを使っていたり、ちょっと扱いづらい。

または「ラグ・ヴァンシャ」のような叙事詩を読むか。
また、「リトゥ・サンハーラ」(季節集)も有りますが、
これはカーリダーサの真筆ではないという説も有ります。

初級文法を終えてよく読まれるのが「雲の使者」です。
今回は、この「雲の使者」を読んでいくのが良いのではないかと思います。

おおお。キター!

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https://ashtadhyayi.com/
サンスクリット独習支援サイトとでも言おうか。
サンスクリットを学ぶのに便利なツールがたくさん詰まっているサイトである。

私は、ケルン大学のサイトに在るサンスクリット辞書を使っている。
https://www.sanskrit-lexicon.uni-koeln.de/
19世紀のイギリス人やドイツ人などが作ったいくつもの辞書を閲覧することができる。

今まで学習してきた中で、どうやら辞書にはそれぞれに得意部門が有るようだ
ということが分かってきた。
どんな単語でも、どの辞書に載っているわけではないのだ。

こっちの辞書を引いてその語が見当たらなかった場合、
・自分の文法力が足りず、とんちんかんな言葉を引いているから見当たらない
ということを疑う。

しかし、正しく引いていても出てこないことが有る。それは
・そもそもその語はその辞書に載っていない
からだ。

そうなった場合、別の辞書を引いてみる。
すると、載っていたりする。

これがちょいとめんどくさい。
めんどくさいけれど、複数の辞書を引くということは、
何をする上でも必要なことだ。
でもめんどくさい。

さて、
https://ashtadhyayi.com/
のトップページが、最近ちょっと様変わりした。
何か変わったなー、と思ったまま、ほったらかしにしていた。

今年度の中級講座が始まって初回に、
学習に使えるインターネット上のツールとして、ここが紹介された。

語を入力すると、複数の辞書を引いた結果がズラリと表示されるのだ。
わわわわわ。
これだ。
めんどくさがりの私に今、必要なのは、この機能だ。

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サンスクリットを独習しようという人にも、明るい環境が準備されている。

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