「古典サンスクリットが独習できる!」
と、帯に書いてある。
これは本当で、この本は古典サンスクリット独習者の最大の味方だと思う。
サンスクリットは、文を構成する各々の語の、
性・数・格を分析することが一番の要である。
この本は、文中の全ての語の性・数・格が書いてあるのだ。
助かるぅぅぅ。
※
サンスクリットは基本的に口伝えの言語だ。
長く文字を持っていなかったほどだ。
暗誦しやすいように、韻律が発達している。
学問的な論書も韻文で伝えられている。
日本だって中国だって、独自の韻律による詩の世界が在るけれど、
論文を詩で書くという習慣は無い。
詩で議論するのが古典サンスクリットの魅力の一つだと思う。
※
独習に限界を感じて、講座を探したら、
東大仏教青年会という所にサンスクリット講座が見付かった。
初級講座に一年通った。
その上は上級講座で、このレベルは当時の私には難しかった。
コロナ禍の時代になり、東大仏教青年会はオンライン講座を始めた。
そして、中級が設けられた。わーい。
今は、サンスクリット中級と上級を受講している。
※
詩の題材は幅広い。
ある時の詩は、女神を礼賛するものだった。
神を讃える詩はそれこそ五万と有る。
何篇もの詩を連ねて、幾度も幾度も神を讃える。
そういうのをストートラと言う。
中級講座では毎回、様々な詩の中から一つを紹介してくれる。
この前はある女神を讃える詩だった。
女神と言ってもこれまたヒンドゥー教の世界には
何人かの女神がいて、しかもそれぞれにいくつもの化身を持っていたり、
たくさんの別名を持っていたりする。
そんなのを知っていくのもこれまた楽しい。
荒ぶる女神、ドゥルガー、
またの名をマヒシャースラマルディニー。
マヒシャという名のアスラをやっつけたお話である。
講座で扱ったのはその一偈であった。
マヒシャースラマルディニーストートラ全体は、
私が見付けたものは21偈有った。
神々を讃える詩は、楽しい。
みんなが楽しく唱えられるように作られている。
語呂合わせが多い。
音だけでも楽しいようになっている。
なんかまあ例えばこんな感じ↓
https://www.youtube.com/watch?v=442ewPgXHQ0
これなんかは、歌い出しの詞を取って「aigiri nandini」というタイトルになっている。
4句で一偈であり、最後の1句は毎回繰り返しだ。
だから、どなたでも聴いていたら4句目は聞こえてくるんじゃないだろうか。
「ジャヤジャヤへーマヒシャースラマルディニラムヤカパルディニシャイラステー」
ここいらなんか聞きどころ↓
https://youtu.be/442ewPgXHQ0?t=413
意味は、まあなんか、慈悲深いとか恵み多いとか暗い夜も照らす光とか
美しいとか魅力的とかそんなふうに褒めちぎる。
あ、神様に向かって美貌をほめ讃えるというのは、
日本ではあんまり無い感覚かもな。
※
どうせならこのお話全体を読みたいなあ。
と思っていたら、この『サンスクリット講読 インド思想篇』に
収められていることに気付いた。
「デーヴィーマーハートミヤ」と題されている。
「マヒシャースラサイニャヴァダ」ともいう。
こちらは68偈で成る。
デーヴィーが女神という意味。
デビ夫人は女神を称しているんである。
つづく
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