犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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時差詐欺

2022年12月13日 | 日々
[あらすじ] 亡父と老母の蔵書を整理している。

押し入れの中に有った、薄い箱を開けてみると、
葬式の時に使う女物のクラッチバッグが入っていた。



10年あまり前のこと。
同級生のお父さんが亡くなった時、
近所に住む幼なじみ3人で葬儀の受付を担当した。

葬儀会場の人が、受付のやり方をあれこれ教えてくれた。
ありがたい。
「お香典はすぐに中を確認してください。
稀にですが、入れ忘れている方がいらっしゃいます。」

そんなこと有るんですね!と
幼なじみ同士の受付は盛り上がった。

そんなことは滅多に無いのだろう。
そんなこと無く、葬儀は進んだ。

ちょっと遅刻して、私の母がやって来た。
幼なじみが粛々と香典袋を受け取り、
背後の私に渡してきた。

開いてみると、滅多に無いことが目の前に有った。

無い。
香典袋が空の場合がここに有る。

すぐに、その香典を出した人を呼び止める。
「あら、出がけに準備したのに。」
してないって。



そんなことを思い出しながら、バッグを開けてみる。
と、何か封筒が入っている。
おやおや。
裏には、五人くらいの名前が書いてある。
母は一時期、大人のために古典の勉強会をやっていたので、
その時に頂いたお礼の封筒ではないだろうか。
中身が入っている。
あらら。中身が入っている。
ありがてえ。



本棚を整理していると、スクラップブックも何冊が出てくる。
興味を持った新聞記事を切り取ったものや、
テーマでまとまったファイルなども有る。

薄型のポリ袋に、いくつかの切り抜きがまとめて入っていた。
見ると、どれも詐欺事件の記事である。
詐欺の手口について調べていたのだろうか。
一つの記事には、母の字で「〇〇さんが騙されたのと同じ手口ですね。」
などとメモ書きされている。

そう言えば亡父は一度、詐欺に遭ったことが有る。
長年勤めた大学を退任した後のことだった。
名簿に名前を載せると言われ、十万単位の金を払ったらしい。
しかし、一向に名簿の発刊される様子は無い。
おかしいと気付いて電話すると、十何万円かのキャンセル料を要求された。

しばしば電話口で怒っている父を私は横目で見ていたっけ。
そもそも、紳士録のようなものに載りたいという名誉欲につまづいたのだ。

さて、いくつかの新聞記事の切り抜きと一緒に
白い横型の封筒が有った。
また臨時収入か。
これだから年寄りの荷物はただ単純作業で捨てるわけにはいかないよ。
要チェックだね!
と思いながら開けてみたら、
お札の大きさに切って重ねた新聞紙だった。

くっそーーー!
騙された!
名誉欲で名簿詐欺に引っ掛かるようなヤツに!
時を超えて!
騙された!!

悔しい。
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