[あらすじ] 第一次産業の農業革命、18世紀末からの産業革命で
人々は時間のゆとりを得た。
しかし21世紀のIT革命を経て、大衆は多くの時間を
情報の消費に割くようになった。
そして、次に来るのは移動革命だ。
と、識者は言う。
なんの目的も無い、移動そのものが目的の移動こそが贅沢の極みである。
と思いつつも、貧乏性が抜けない私は、
高圧線を辿って家に帰る、ということをやってみた。
自宅のすぐ近くに小さな変電所が在るからだ。
前回。
しょっぱなの鉄塔の下がフェンスで囲われておらず、
そこの家の駐車スペースとして利用されて
とても生活感が有って驚いた。
さて、電線を見上げながら50㏄のバイクでポトポト走って行く。
道はすぐに突き当りになった。
川の手前で崖線になっている。
よく見ると、細い道が続いている。
クネクネと入って行ってみる。
道はぐんぐん下っていく。
案の定、最後は階段になっていたが、幸い、
自転車を押して通るために片側がスロープに造ってあり、
バイクに乗ったまま通ることができた。ヒヤヒヤ
地上が崖だろうが川だろうが線路だろうが、
おかまい無しに高圧線は通っている。
地を這う私は、角ごとに曲がって、
電線から離れないように離れないように進んで行く。
※
ところが、ある所で突然、行き止まりになった。
フツウの鉄塔から、低い鉄棒に電線が降りて、トランスらしき物に繋がっている。
電線が行き止まりって、なんだ。
電気を運ぶためのものなのだから、行き止まりっておかしいじゃないか。
そこは、高速道路の脇だった。
見ると、高速道路の向こう側に、似たような鉄塔が有る。
高速道路を高圧線が渡るような形を避けたのだろうか。
ここでは電線はもしかして地下を通してあるのだろうか。
でも、高圧線が高速道路を跨いでいる所なんて、いくらでも有る。
高速道路の高架をくぐって反対側に行ってみると、
そこは、住宅街の中としては結構な規模の変電所だった。
向こう側と同じようなずんぐりとした鉄塔が生えて、
そこからまた高圧線が始まっている。
いくつかの方向へ向かって延びている。
本日のスタート地点から少し行った所にも変電所は在ったが、
そこよりここは規模が大きい。
※
私には苦手なものがいくつか有る。
そのうちの一つが、大きな建造物なんである。
だから、本当は鉄塔なんてよく見ていると、コワい。
大きな規模の変電所なんかも、見ているとソワソワする。
高圧線沿いに走るのは、
移動娯楽であり且つ、コワい物見たさの気分もちょっと混じっているのだ。
※
いくつかの方向に延びる電線のうち、
自宅方向に行く電線を選び、さらに進んだ。
着実に家に近付いて行く。
しかし、道としてはえらく不便だ。
住宅街の中を何度も何度も曲がりくねり、
川が有ったら橋を探して進んで行く。
家に帰る時に、こんな方向から帰ったことは無い、
という道順だ。
まだかまだかと思っていると急に近所になる感じが有って、
とても新鮮だった。
※
何本か先の鉄塔が、赤と白に塗り分けられている。
この日に見た中では、赤白の鉄塔はこの一本だけであった。
これは、どういう意味が有るのだろう。
なぜこの鉄塔は塗られているのだろう。
しかも、近付いて行ってみたら、この赤白の鉄塔は、
自宅から一番近い鉄塔だった。
近所に在ってよく見ているから、
赤白の鉄塔が珍しいものだと思っていなかった。
赤白の鉄塔が見えたら家が近い、と思って良いということになる。
と思いながら眺めていると、もう一本、近所に赤白の鉄塔が在るじゃないの。
もしかすると、今までの所で、赤白が有ったのに
意識していなかっただけ、ということも有り得る。
※
翌朝、ドッグランからいつもの高圧線を眺めてみると、
すぐそこで交差していることにあらためて気付いた。
気付いていないわけではなかったのだが、
だからと言って何とも気にしていなかったのだ。
家の近所に、2つの電線コースが通っているわけだ。
ということは、どこかから自宅に帰って来るのに使えるコースが
3つ4つくらい有りそうだ。
今まであまり興味を持ってこなかったし、
変電所に社会科見学に行ったことも無かったので、
知らないことがたくさん有り、疑問が色々湧いた。
調べたり、調べずにおいてワクワクを残したりしながら、
またどこかから帰る時に電線を辿ってみよう。
何かに便利! 高圧線マップ
https://10map.net/
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます