このひと月ほど、ろくに歩いていなかった。
犬が元気だった頃は、朝夕の散歩で一万歩近く歩いていた。
いつからだったか、いつもの散歩先まで歩けなくなった。
600メートル先のバス通りを渡れなくなり、
400メートル先の友人宅まで行って、帰りに疲れて歩けなくなったり、
150メートルくらいの所で引き返すようになったり。
八月に入ってからは、家から100メートル以内のところで
ウロウロしたり、立ち止まったり、行きつ戻りつしたりだった。
※
最後の2週間ほどは、家から数十メートルの範囲だけだった。
居間の扉を開けると、散歩だと分かって部屋を出る。
玄関を開けて、靴を履いて、玄関マットの上に上り、
犬に声をかけて、抱き上げる。
ジーロは抱かれるのが嫌いだ。
しかし、玄関の段差を自力で降りることは、もうできない。
すみやかに外に出て、玄関先の段差も降り、
家の前の砂利道に犬をそっと着地させる。
自分の足で立つと、安心する。
※
着地してすぐにオシッコする時も有った。
家から10メートル行くか行かないかのところでオシッコするようになっていた。
砂利道なので、ちょうどいい。
それから、ウンチが出るのを待つように
辺りを歩く。
立ち止まり地面を嗅いだり、嗅ぎもせずに立ち止まってじっとしていたり。
方向感覚がおかしくなっているのか、
同じ所を行ったり来たりすることも多い。
ふと気が付いたように、しばらく前進することも有ったり。
※
人間にとって楽しい散歩でもなくなっていた。
私は蚊に刺されやすく、痒くなる性質なので、
植木畑で立ち止まる犬に付き合うのはなかなか苦痒だった。
基本的に好きにさせるけれど、あんまり蚊の多いところにさしかかったら
ちょっと促して歩かせてみたりした。
※
八月に入ってからは、万歩計が千歩も数えない日のほうが多くなった。
近所のスーパーに買い物に行くにしても、
サッと行って目的の物をパパパと籠に入れてザッと袋に詰めて
車で行き帰りした。
目を離している隙に、犬が午睡から目を覚まし、
起き上がれなくて繰り返し頭を打っているかもしれない、
起き上がれても、ウンチの上に尻餅をついて足掻いてグチョグチョになっているかもしれない。
そう思うと、ゆっくり買い物をする気にもなれなかった。
まとまって3~4時間眠るかと思えば、
20~30分で目を覚ます時も有るから、
なかなか出かけるタイミングをはかるのは難しかった。
※
久々に、朝の散歩に出た。
夜明け前に充分に気温が下がって、久しぶりに心地よい朝だ。
この時間は、以前、犬の散歩をしていた時間帯だ。
そうだ、時々会うクッキー(仮名)とマンテン(仮名)はたしか保護犬だった。
もし会えたら、飼い主さんに、どこの団体から引き取ったか聞いてみよう。
※
ここ2年くらいのお決まりのコースだった所を歩くのは、
まだつらい。
近い思い出はさみしさに直結する。
少し遠い思い出ならば、なつかしさを呼び起こす。
それならば、まだ温かい気持ちにもなる。
足腰が元気だった頃によく行った、坂や階段の多いコースを歩く。
今年の何月だったろう、6月に入っていたっけ、
最後にこのコースを連れて歩いてみたら、
下り坂で踏ん張りがきかず、転んで顎を地面に擦ってしまって
心身傷付いた様子だった。
若い頃は下り坂が好きだった。
平地を走るよりもスピードが出るのが面白いらしい。
繰り返し、斜面を登っては駆け下りて遊んでいた。
※
田んぼの向こうに、クッキーとマンテンと飼い主さんの姿が見えた。
やっぱり、会えるものだ。
白地に茶色の斑で垂れ耳の犬を連れていた者です。
声をかけたら、憶えていてくれた。
保護団体を教えてくれた。
※
「それより」
と、その飼い主さんが言う。
ご近所で、仔犬を5匹預かっている人がいる、という。
2人は里親さんが見つかったが、残り3頭はなかなか貰い手が見つからなくて困っているのだと。
留守番させることなどを考えると、
やっぱり一頭だけで飼うより複数飼うほうがいい。
カバサとジーロの時は初めての多頭飼いだったので不安が有ったが、
今はその経験を経て、いかに良いものか知っている。
もっとも、カバサのような独占欲の強い犬は
一頭で飼ったほうが良かった面も有ったかもしれないのだが。
※
話を繋いでおいてくれるというので、連絡先を交換した。
8時には先方からメールが有り、いつでも見に来てください、という。
こちらはいつでも外出できるようになってしまっている。
近所だし、と行ってみた。
行けば仔犬を見る。見れば飼いたくなる。
次に飼う時は成犬から飼おうと考えていた。
体格が決まっていると、ケージの準備などもしやすいからだ。
せいぜい12㎏、大きくても15㎏くらいまでの犬がいい。
しかし、溌剌とした命のカタマリが目の前にいる。
肢もそんなに太くないから、大丈夫ではないだろうか。
※
問題は、
1頭にするか、2頭にするか、
3頭にするか。
だけだ。
犬が元気だった頃は、朝夕の散歩で一万歩近く歩いていた。
いつからだったか、いつもの散歩先まで歩けなくなった。
600メートル先のバス通りを渡れなくなり、
400メートル先の友人宅まで行って、帰りに疲れて歩けなくなったり、
150メートルくらいの所で引き返すようになったり。
八月に入ってからは、家から100メートル以内のところで
ウロウロしたり、立ち止まったり、行きつ戻りつしたりだった。
※
最後の2週間ほどは、家から数十メートルの範囲だけだった。
居間の扉を開けると、散歩だと分かって部屋を出る。
玄関を開けて、靴を履いて、玄関マットの上に上り、
犬に声をかけて、抱き上げる。
ジーロは抱かれるのが嫌いだ。
しかし、玄関の段差を自力で降りることは、もうできない。
すみやかに外に出て、玄関先の段差も降り、
家の前の砂利道に犬をそっと着地させる。
自分の足で立つと、安心する。
※
着地してすぐにオシッコする時も有った。
家から10メートル行くか行かないかのところでオシッコするようになっていた。
砂利道なので、ちょうどいい。
それから、ウンチが出るのを待つように
辺りを歩く。
立ち止まり地面を嗅いだり、嗅ぎもせずに立ち止まってじっとしていたり。
方向感覚がおかしくなっているのか、
同じ所を行ったり来たりすることも多い。
ふと気が付いたように、しばらく前進することも有ったり。
※
人間にとって楽しい散歩でもなくなっていた。
私は蚊に刺されやすく、痒くなる性質なので、
植木畑で立ち止まる犬に付き合うのはなかなか苦痒だった。
基本的に好きにさせるけれど、あんまり蚊の多いところにさしかかったら
ちょっと促して歩かせてみたりした。
※
八月に入ってからは、万歩計が千歩も数えない日のほうが多くなった。
近所のスーパーに買い物に行くにしても、
サッと行って目的の物をパパパと籠に入れてザッと袋に詰めて
車で行き帰りした。
目を離している隙に、犬が午睡から目を覚まし、
起き上がれなくて繰り返し頭を打っているかもしれない、
起き上がれても、ウンチの上に尻餅をついて足掻いてグチョグチョになっているかもしれない。
そう思うと、ゆっくり買い物をする気にもなれなかった。
まとまって3~4時間眠るかと思えば、
20~30分で目を覚ます時も有るから、
なかなか出かけるタイミングをはかるのは難しかった。
※
久々に、朝の散歩に出た。
夜明け前に充分に気温が下がって、久しぶりに心地よい朝だ。
この時間は、以前、犬の散歩をしていた時間帯だ。
そうだ、時々会うクッキー(仮名)とマンテン(仮名)はたしか保護犬だった。
もし会えたら、飼い主さんに、どこの団体から引き取ったか聞いてみよう。
※
ここ2年くらいのお決まりのコースだった所を歩くのは、
まだつらい。
近い思い出はさみしさに直結する。
少し遠い思い出ならば、なつかしさを呼び起こす。
それならば、まだ温かい気持ちにもなる。
足腰が元気だった頃によく行った、坂や階段の多いコースを歩く。
今年の何月だったろう、6月に入っていたっけ、
最後にこのコースを連れて歩いてみたら、
下り坂で踏ん張りがきかず、転んで顎を地面に擦ってしまって
心身傷付いた様子だった。
若い頃は下り坂が好きだった。
平地を走るよりもスピードが出るのが面白いらしい。
繰り返し、斜面を登っては駆け下りて遊んでいた。
※
田んぼの向こうに、クッキーとマンテンと飼い主さんの姿が見えた。
やっぱり、会えるものだ。
白地に茶色の斑で垂れ耳の犬を連れていた者です。
声をかけたら、憶えていてくれた。
保護団体を教えてくれた。
※
「それより」
と、その飼い主さんが言う。
ご近所で、仔犬を5匹預かっている人がいる、という。
2人は里親さんが見つかったが、残り3頭はなかなか貰い手が見つからなくて困っているのだと。
留守番させることなどを考えると、
やっぱり一頭だけで飼うより複数飼うほうがいい。
カバサとジーロの時は初めての多頭飼いだったので不安が有ったが、
今はその経験を経て、いかに良いものか知っている。
もっとも、カバサのような独占欲の強い犬は
一頭で飼ったほうが良かった面も有ったかもしれないのだが。
※
話を繋いでおいてくれるというので、連絡先を交換した。
8時には先方からメールが有り、いつでも見に来てください、という。
こちらはいつでも外出できるようになってしまっている。
近所だし、と行ってみた。
行けば仔犬を見る。見れば飼いたくなる。
次に飼う時は成犬から飼おうと考えていた。
体格が決まっていると、ケージの準備などもしやすいからだ。
せいぜい12㎏、大きくても15㎏くらいまでの犬がいい。
しかし、溌剌とした命のカタマリが目の前にいる。
肢もそんなに太くないから、大丈夫ではないだろうか。
※
問題は、
1頭にするか、2頭にするか、
3頭にするか。
だけだ。
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