自慢話をするよ。
「す~さん、美容室どこに行ってるの?」と聞かれた。
むっふ。鼻高々。
自分で切っているのさ。
※
自分で自分の髪の毛を切るようになって、かれこれ30年以上経つ。
二十歳くらいの頃に、引きこもった。
迷って進めなくなり、部屋でずっとトランプの一人遊びをした。
windows95以後だったらきっと’フリーセル’をやっていただろう。
キリキリと胃に痛みが走るのを、
クイッとひと口ウイスキーを引っかけてはかわしていた。
一年くらい悶々と過ごし、ある日、
明大前のハナムラ楽器に久しぶりに行った。
次の日も行った。
脱しようと思って行って、脱した。
ほったらかして伸び放題だった髪を切った。
この時以来、自分で切っている。
※
子どもの頃は母が髪を切ってくれていた。
下手ではなかったと思う。
15歳の時、そろそろ行けということで、美容室に行った。
ふんわりとやわらかにブローしてかわいく仕上げてくれた
のが非常に気に入らない。
美容院のにおいも嫌いだし、
たくさん触られるのもイヤだし、
頭に熱風がかけられるのもつらい。
二度と行かなかった。
※
髪型とジェンダーはがっちりと結び付いている。
これはあくまで現代日本での話だ。
時代によっても地域によっても、その文化の中で
髪型に性差が有るかどうかは様々だ。
私は女性の生まれだけれど、子どもの頃から自分の性別に違和感が有った。
髪型も、周囲の女の子たちのようなのはイヤだった。
美容院に行くと、その注文は難しかった。
※
「ええー!ハサミで?バリカンで?」
ずっとハサミだけで切ってきたけど、今回は初めて自分でバリカンを使った。
「きれいに刈ってるし、流行りの髪型だし、」
いや、ちょっと計画が有って刈り上げて行く途中でツーブロックになっているだけなんよ。
「上の部分の流れもいいし。」
これは元々癖ッ毛だからね。
「ブローしたりしてんの?」
熱風イヤだからしてない。
「えーでもボリュームもいいし。ワックス付けたりしてるの?」
うん、ジェルは使ってる。
坊主を目指して刈っている。
20年前にも一度、5分刈坊主にしたことが有る。
何回かに分けて左右から刈り上げていった。
当時、途中の状態は「ただのへんな頭」だった。
今はツーブロックが流行なので、「ちょいとおしゃれなひと」として受け入れられる。
ね、髪型なんて、ほんの数十年で受け止められかたがまるで変わる。
「美容院でショートカットって言うとさー、
どうしても女の子らしいショートにされちゃうんだよね。」
既存のジェンダー髪型にはまらない髪型を望む多くの人々が
このことで困っていることだろう。
「表参道に一人だけ、そういうのやってくれる美容師さん見付けたんだけどさー。
今、コロナで美容院行かないし。
今度わたしの髪も切ってよ」
いやあ、無理無理。自分の頭だからできてる。
癖ッ毛だから誤魔化せているし、
半分白髪だから元々まだらなので、虎刈りも誤魔化せている。
「今度、切ってるとこの動画をアップして欲しい~」
良かろう。待ちなさい。(偉
※
様々な業種が新型コロナの影響を受けている。
美容師さんもその一つだ。
そしてその分、you tubeで探すとセルフカットのコツを説明した動画が
けっこうたくさん見つかる。
私もバリカンは今回がほぼ初めてだったので、参考にした。
上の残す部分を上に持ち上げてピンで止めておく。
下から刈る。
刈り残す長さに応じたアジャスターをバリカンに取り付けると便利。
※
それが。
アジャスターを
無くしてしまった。
最初、アジャスター無しで刈ろうとしたが、無理。
今まで自分の髪を切る時には、ハサミで切ってきた。
鏡の前に立つのだが、頼りにするのは鏡に映った姿ではない。
左右反転した映像を見ていると、方向が分からなくなる。
バリカンも同じで、後頭部に斜めにバリカンの刃を当てようとした時、
鏡を頼りにすると、間違って反対にバリカンを立ててしまったりする。
バリカンを立てると、そこだけえぐれたように刈られる。
いわゆる虎刈りの状態になる。
ハサミは慣れているので、何も見ずに、手の感覚で刃の方向を決められる。
これだって、慣れないうちはハサミの刃が妙な方向になって
バッサリと切れてしまったことが有った。
ということは、
バリカンを使うのも慣れれば、角度をうまく調節できるようになるのかもしれない。
けれど今は初心である。
アジャスター無しだとただの虎刈り必至だ。
ところが、バリカン本体が十年以上前の物なので、部品がもう市販されていない。
同じメーカーの新しい型のアジャスターを試しに買ってみた。
幅は合った。取り付けられないこともない。
ひとまず、これでいく。
※
実は後ろがそんなにうまくできてはいないの図↓↓
それを修正したつもりだが、さほど修正できてもいないの図↓↓
左側はどうなっているのかなんて
もう言いっこ無しよ。
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