旅日記

旅の記録と紀行文を紹介する事でしょう。
写真は私が撮影したものを使用しています。

ぐるり台湾 野柳

2010-12-12 12:12:00 | 台湾日記

野柳風景區 (臺灣省臺北縣萬里鄉野柳村)

野柳へ行くバス乗り場は歩道橋の階段の下にあった。基隆客運の1022番の金山行で運賃は47元と聞いている。バス停のベンチに腰掛けていると、タクシーの客引きがやってきて声を掛けてきた。営業熱心だがバスに乗るのでお断りする。今度は隣に座っていた年配の女性が話し掛けてきた。相変わらず中国語は解らないが、自分が日本から来ていて、野柳に行くという事は伝わった。バス停はここで間違いないようだ。おばさんは旦那さんに「日本云々…」話している。

バスが到着して乗車する。運賃は後払い。通路側に空席があり腰掛ける。前の席には先程のご夫婦が座っている。発車すると坂を上ってゆく。港町だけに平地が少ない。省道台2線を行くが、坂とカーブの連続である。それにしても運転が荒い。カーブでもそれほど速度を落さないので、座席から転げ落ちそうである。しかし乗客は平然としている。國道3號(福爾摩沙高速公路)の基金交流道(IC)が見える。全長431.5kmの高速道路である。市界という停留所を過ぎて、基隆市から臺北縣萬里鄉に入る。基隆市は省轄市で臺北縣には属さない。萬里で新道と旧道が分かれる。バスは旧道を行く。新道は隧道だろうが、旧道は峠道を登る。坂を下りたところが野柳だった。さっきのおばさんが声を掛けてくれる。ありがとう。運賃箱に47元を入れてバスを降りる。他にも何組かここで降りていた。

基隆客運 1022「基隆-金山線」 基隆火車站(15:29)→野柳(16:03頃)
※ダイヤ不明のため、実際の時刻を記す。ピーク時12~15分毎、オフピーク時15~20分毎の運転との事。


野柳地質公園 (臺灣省臺北縣萬里鄉野柳村港東路

迷うような道ではないが、野柳に向かうであろう人達について行く。途中、漁港があり、大きなお廟もある。海鮮料理のお店も多い。広大な駐車場が現れる。観光バスや乗用車が数多く止まっている。野柳海洋世界という施設が賑わっている。しかし海豚(イルカ)、海獅(アシカ)のショーを見る為にバスに揺られて来た訳ではない。目的の野柳地質公園へ。切符(50元)を買って中に入る。公園内には見た事のない奇景が広がる。


大勢の観光客が訪れていた!


野柳岬


風化窗(風化窓)

昔、テレビ番組でここを紹介されていて、是非とも来てみたかったのだ。地質学はよく解らないが、自然の造形に驚くばかりである。4度目の台湾でようやく訪れたが、ここには早く来なければならない理由がある。


ある岩の前に記念撮影の列が出来ている!


女王頭(クイーンズヘッド)

野柳の象徴である女王頭。象徴であるが故に、観光客が触れるので侵食が早まり、いずれ首がもげてしまうそうな。何とか首がつながっているうちに見る事が出来た。今は周りを囲って観光客が近づけないようにしている。見てみたい人はお早めにどうぞ。


節理


蕈狀岩(きのこ岩)

この辺の岩も頭に見えなくもない。


地層好きには堪らないところでしょう…

曇っていて日差しはないのだが、屋外を歩くのは暑い。持参の南越谷阿波踊りの団扇を使い、タオルで汗をぬぐう。不思議な事に、台湾では扇子や団扇を使っている人を殆ど見掛けないのだが、暑さに慣れているからだろうか。首にタオルをぶら下げている人も殆ど見掛けない。さて、無事に女王陛下に謁見出来たので、野柳を後にする。地質公園前の飲食店に「生魚片」の文字を見る。さしみの事である。お店の人が食べていかないかと声を掛けてくるが、台北で行きたい店があるのでパスする。明日帰国するのではなければ、ここで海鮮を堪能してもよいのだが。バス停への途中にある漁港では、日本と同じ漁港の匂いがしている。


野柳漁港 (臺灣省臺北縣萬里鄉野柳村)


台湾の漁船

バス停に到着。来た道を引き返し、基隆に戻ってもいいが、このまま海沿いの道を淡水に行ってもいい。淡水と台北との間は捷運の淡水線が走っている。ちょうど淡水客運の淡水行が到着した。運転士に淡水まで運賃はなんぼか聞くと、「イーパイアースー」という。120元か。後日、ウェブサイトで確認したところ、野柳-淡水間は125元だったので聞き間違いだろう。ところで台湾のバスではお釣りは出ない。そんなにいい具合に小銭を持ち合わせていない。どこかの商店でお金を崩してきて、次の便に乗ろうかと思っていると、運転士がいいから乗れという風な仕草をする。ひょっとして釣りを出すのかと思い、150元を運賃箱に入れる。運転士は釣り銭ではなく紙の札を渡す。さっぱり解らないが、これをもらって空席に腰掛ける。バスは海沿いの道を走る。途中、金山、石門、三芝といった街を経由する。鉄道の通わない街も魅力的である。鉄道の次はバスの旅かな。


省道台2線を行く①


省道台2線を行く②

海水浴場や観光スポット、洒落た飲食店が見られる。関東でいうと湘南の国道134号のような位置付けなのか。若いカップルが沢山遊びに来ている。スクーターで来ている人が多いのが台湾らしい。ところでバスの車内は冷房が効き過ぎである。野柳で汗ぐっしょりなので風邪でもひきそうである。地元の人は平気なのかというと、やはり寒そうである。次第に暗くなってきた。淡水の街が近づいてきた。大きなマンションが続々と建ちつつあるニュータウン、多くの商店が軒を連ねる旧市街と進み、終点の淡水に到着した。運転士に乗車時に渡された紙の札を渡す。釣り銭をくれるのではないかと期待したが、結局なかった。そういうシステムだから仕方がないが、30元(本当は25元)損したショックが大きい。やはりバスより鉄道だな。

淡水客運 1262「淡水-基隆」 野柳(17:12頃)→捷運淡水站(18:46頃)
※ダイヤ不明のため、実際の時刻を記す。1日25往復運転。


淡水の夕日に間に合わず! (臺灣省臺北縣淡水鎮)

駅に着いたが、まだ列車には乗らず、淡水河の方に行って見る。今日行った基隆河も淡水河に合流して海に注いでいる。ここで淡水河の河口で夕日を眺めるのがよいそうだが、少し来るのが遅かったようだ。観光客相手の商店の並ぶ通りを散策する。宮島の桟橋と厳島神社との間の商店を連想する。観光なのか、夕涼みなのか、多くの人が歩いている。その道に乞食がいる。こちらの流儀なのかも知れないが、あたかも行き倒れのように、道にうつ伏せになっている。誤って踏んでしまいそうだが、そこは皆さん慣れているのか、上手く除けて歩いている。


対岸の觀音山

さあ、台北へ帰ろう。ホテルの最寄り駅、民權西路まで淡水線で1本である。運賃は45元。淡水は始発駅だが、今度の出発を待つ列車に空席がなさそうだったので、次の列車で座ってゆく。

台北捷運 淡水線 淡水(19:27)→民權西路(19:57) 2021
※ダイヤ不明のため、実際の時刻を記す。

地上を走っていた淡水線が地下にもぐった所にあるのが民權西路。ここで下車する。食事を済ませてホテルに戻ることにする。台湾最後の晩餐は、日本にも出店している鬍鬚張へ。魯肉飯の店である。ビールが欲しかったが、無いというので仕方が無い。店内はきれいである。肉の盛りが少し物足りない。


魯肉飯(中)(45元)


貢丸湯(35元)


湯青菜(40元)

今、これを書くためにレシートを見ていて気付いた。「湯青菜 X2 $80」になっている。2皿も食うとらんぞ。40元損した。そうとも知らず、支払いを済ませて店を出た。疲れていたのだろう。とにかくホテルに戻ってビールを飲みたい。それも一番搾り。銘柄指定である。7-ELEVENで、麒麟一番搾(60元)と北海鱈魚香絲(20元)を買ってホテルに戻った。


台灣麒麟啤酒 麒麟一番搾啤酒

シャワーで汗を流し、冷房の効いたホテルの部屋で、鱈のおつまみでビールを飲む。台湾の一番搾りは麦芽100%ではなく、日本のものと異なる。これはこれで美味しい。どこで醸造しているのか缶を見てみると、なんと中国大陸で作られている。5年前に台湾で購入した一番搾りは、日本の麒麟麦酒が醸造して台灣麒麟啤酒が販売していたのだが。一体いつの間に。大陸産のビール、台湾産のおつまみでほろ酔いとなり、台湾最後の夜の寝床に就いた。(つづく)


中國廣東省の麒麟啤酒(珠海)で製造
いずれも民國99年(2010)8月1日撮影