JR東日本 東北本線 上野駅《正面玄関口》 (東京都台東区上野)
今年の3月14日、ついに常磐線が全線で復旧した。平成23年東北地方太平洋沖地震による被災の為だが、最後まで不通となってた富岡-浪江間は、かの忌まわしき事故により帰還困難区域となっていた。その一部の避難指示が解除され、9年振りに列車が走るようになった。特急列車も走る。かつて走っていた特急〔スーパーひたち〕[651系]はもうないが、後継の特急〔ひたち〕[E657系]が品川-仙台間を走る。令和2年7月18日土曜日。上野駅から旅に出る。むろん新松戸から上野に移動しているが割愛する。特急〔ひたち〕は品川始発も多いが、上野始発仙台行の列車もある。時間がちょうどいいので、今回この列車で全線復旧した常磐線を乗り通してみようと思う。常磐線沿線在住で、復旧したらすぐにでも乗りたかったが、このご時世で遅くなった。
中央改札
常磐線(特急) ■ 柏・土浦・水戸・いわき方面
行先に仙台の文字が。お弁当を買ってプラットフォームへ。
品川発着する常磐線の列車は、上野では東京方面へ直通出来る高架ホームを使用するが、上野始発のこの列車は地平ホームを使用する。昭和55年夏、青森行のL特急〔はつかり〕[583系]を眺め、仙台行のL特急〔ひばり〕[485系]に乗った、懐かしの地平ホームである。当時の活気はないし、ブルートレインも走っていないが、40年の時を経て仙台行の特急に乗るのも感慨深い。そういえば、以前あった特急ホームの中間改札が無くなっている。
仙台まで10両編成とは長い。以前、651系で運転されていた特急〔スーパーひたち〕は、いわきで基本編成と付属編成を切り離し、4両で仙台へ行っていた。仙台から上野行を利用した時、鉄道施設の火災で岩沼で長時間停車して大幅に遅延。いわきに着いた時には連結するはずの基本編成は出発した後で、付属編成はいわきで運転打ち切りという事があった。E657系は10両編成固定なので置いていかれる心配はない。
JR東日本 特急〔ひたち3号〕 2003M列車 [E657系K13編成] (上野)
仙台方の先頭車両の10号車に乗車する。全車両指定席である。グリーン車連結。
E657系普通車の様子!
空いています。
E657系普通車の座席!
特急〔ひたち〕で上野を出発
崎陽軒 シウマイ弁当(860円) 麒麟麦酒 一番搾り(242円)
上野のいつも利用する売店でお弁当と麦酒とお茶を買ってきた。お弁当の袋も有料になったのだそう。金払ってまで袋は要らない。何とか両手で持てたけど、荷物が多いと困るな。
いただきます♪
味に間違いない。麦酒によく合い旨い。鉄道の旅はこうでないと。上野を出発した列車は日暮里で東北本線と別れ、常磐線に入る。上野-日暮里間では東北本線・高崎線用とは別の常磐線用の線路を走るが、戸籍上は東北本線である。正真正銘の常磐線を特急はゆっくり走る。朝のラッシュ時でこうゆうダイヤなのか。お弁当も東京都内を走っているうちに食べ終わってしまう。ようやく江戸川を渡って、東京都から千葉県に入る。武蔵から下総に入った。
特急〔ひたち〕が松戸を通過
以前の上野8時発の特急〔スーパーひたち〕は松戸停車だったのに。
特急〔ひたち〕が新松戸を通過
特急の走る快速線にはプラットフォームがないので、停車したところで乗り降り出来ない。上野を出て柏に停車する。常磐線特急の千葉県内の停車駅は柏に統一されている。速達型だと上野から水戸まで停まらない。
特急〔ひたち〕が我孫子を通過
プラットフォームのお蕎麦屋さんの店舗が見える。今回、特別企画乗車券「週末パス」を利用しており、乗り降り自由なので、先ず新松戸から我孫子に行って唐揚げそばを食べ、柏に戻って特急〔ひたち〕に乗車という事も出来たけど、始発の上野から乗りたかったので、朝食はシウマイ弁当になった。
特別企画乗車券「週末パス」(8,880円)
特急券 上野→仙台(2,900円)
利根川を渡り、千葉県より茨城県に入る!
取手の先で直流電化から交流電化に変わる死電区間がある。しかし最新の車両では気付かない。485系とか照明が薄暗くなったのに。小貝川を渡り、下総より常陸に入る。特急〔ひたち〕は常陸を快走する。
車窓には蓮田! (土浦-神立)
茨城県最初の停車駅土浦を出発すると蓮根畑。次は県都の水戸、今年はネモフィラを見に行けなかった勝田と停車する。勝田以北の常磐線に乗るのは震災前以来。列車は常陸多賀、日立と停車する。日立製作所の企業城下町。今乗っている車両が日立製作所の製造なら山口県人といて嬉しいが、K13編成は日立ではないらしい。磯原を出るとよく海が見える。
太平洋が見える! (大津港-勿来)
茨城県から福島県に入った。旧分国では常陸より勿来関を越えて陸奥に入った。明治になって陸奥は分割され、当地は磐城となる。常陸と磐城で常磐線。福島県に入り、いわき市に入っている。泉、湯本、いわきと停車する。いわき駅は旧平駅。平成元年に初めて常磐線特急に乗る。仙台からボンネットのL特急〔ひたち〕[485系]に乗り平で下車して、登場したばかりのL特急〔スーパーひたち〕[651系]に乗り換えて上野に向かった。久しぶりのいわきだったが、発車メロディはシューベルトの名曲が健在で嬉しい。
ここでも太平洋が! (四ツ倉-久ノ浜)
福島県に入ってからずっといわき市。広大な市である。18きっぷで普通列車に乗っていると、いつまでもいわき市から出られない気がした。
ようやく次の町、双葉郡広野町へ!
特急〔ひたち〕が広野に到着
特急〔ひたち〕がJヴィレッジを通過
駅名にアルファベットが入るのは感心しないが、JR難波とか既にある。それよりヴを使うのは珍しい。
特急〔ひたち〕が富岡に到着
以前、18きっぷで仙台へ行くのに混雑する普通列車に乗っていて、富岡で交換だか特急の通過待ちで少し停車時間があった。乗客の一人が白黒の写真を取り出して、富岡で撮ったものか他の乗客に確認していた。チラッと見ると蒸気機関車の牽く列車が写っていた。富岡と言えば、その一件を思い出す。しかし、富岡駅は津波被害に遭い、大きく様変わりしている。富岡から先が最後まで不通だった区間。
特急〔ひたち〕が夜ノ森を通過
特急〔ひたち〕が大野に到着
山陽本線に大野浦駅がある。所在地は広島県佐伯郡大野町(現廿日市市)で、なぜ大野駅じゃないのかと思っていたが、常磐線に大野駅があったのだ。常磐線大野駅は明治の開業で、山陽本線大野浦駅は大正の開業である。
特急〔ひたち〕が双葉に到着
大野-双葉間は、もともと複線だが、単線で復旧している。元の上り線部分は非常時の避難路だそう。避難指示解除された区域は限られている。
特急〔ひたち〕が浪江に到着
鉄道が復旧しても、街が元通りになった訳ではない。廃屋や更地になったところなど、車窓を見ていて気が重くなった。
桃内で上り列車と交換
JR東日本 特急〔ひたち14号〕 14M列車 [E657系K12編成] (桃内)
仙台10時13分発の品川行。仙台発着の特急〔ひたち〕は3往復あり、上り列車は全て品川行だが、下り列車は現在乗車している特急〔ひたち3号〕が上野始発で、他の2本は品川始発となっている。
特急〔ひたち〕が原ノ町に到着
車窓に自転車に乗った子供を見掛ける。普通の風景に安心する。
特急〔ひたち〕が相馬に到着
次は終着の仙台まで停まらない。
特急〔ひたち〕が駒ケ嶺を通過
火力発電所が見える! (駒ケ根-新地)
次の新地が福島県最後の駅。この辺りも津波被害に遭っている。線路は付け替えられ、駅も新しい。福島県より宮城県に入る。
付け替えた高架線を行く! (坂元-山下)
特急〔ひたち〕が山下を通過
以前の駅名標には市町村名まで書いてあった。山下駅と坂元駅があり、宮城県亘理郡山元町なので、一文字ずつ取ったんだなと納得した。
山下で上り列車と交換
線路付け替え区間もそろそろ終了! (山下-浜吉田)
特急〔ひたち〕が亘理を通過
このお城(本当は郷土資料館・図書館等)を見ると、仙台が近いなと思う。
阿武隈川を渡る! (逢隈-岩沼)
磐城と陸前の国境はこの辺りか。明治以前はどちらも陸奥だが。
日暮里で別れた東北本線と再会する!
特急〔ひたち〕が岩沼を通過
岩沼からは東北本線を走る。
仙台空港線の高架線が! (舘越-名取)
仙台空港には行った事がない。
広瀬川を渡る! (長町-仙台)
JR東日本 特急〔ひたち3号〕 2003M列車 [E657系K13編成] (仙台)
上野から4時間31分。常磐線経由の特急は仙台に到着した。
特急〔ひたち〕で仙台に到着
特急〔ひたち3号〕 2003M 上野(8:00)→仙台(12:31) クハE657-13 特急料金2,900円
新幹線なら1時間半程度で到着するが、お急ぎでなければ在来線特急も楽しいかと思う。特急料金も新幹線〔はやぶさ〕5,100円、〔はやて〕〔やまびこ〕4,830円(いずれも通常期)に比べ、特急〔ひたち〕2,900円(通年)と安く、東京・品川からでも同額。ただし常磐線経由の営業キロの方が長いため、東京都区内-仙台市内間の運賃は、東北本線(新幹線)6,050円、常磐線経由6,380円となる。以前は常磐線経由でも東北本線経由の営業キロで計算していた。岩国-櫛ケ浜間(山陽本線経由でも岩徳線経由で計算)と同様だった。
かき揚げそば(380円)+生玉子(70円)
仙台に着いたところで昼食にする。
こばやし 立ちそば処 杜 (宮城県仙台市青葉区中央 仙台駅構内)
いずれも令和2年7月18日撮影
特急〔ひたち〕で仙台に着いたところで旅の目的は達成してしまったが、この後は仙台近郊のまだ乗った事のない路線を乗りつぶしてみようと思う。 (つづく)