普天間問題で、鳩山政権はふくろ叩きにあっている。「首相のリーダーシップ不足」、「閣内不統一」に始まり、「日米関係が危ない」、「外交だけでなく経済関係まで悪化」、「極東アジア全体に不安広がる」・・・などなど、今にも世界はひっくり返り、中でも日本は沈没するのではないか、と言わんばかりである。
たしかに、鳩山首相をはじめとした民主政権のこの体たらくでは、指摘される通りなのであろう。
反面、鳩山首相の「優柔不断ともいえる問題提起」のおかげで、日本人は久方ぶりに「日本の防衛はどうなっているのか?」、「沖縄の、特に普天間の状況がどんなに危険で非人間的な状況なのか?」、「戦後半世紀を過ぎて、日米安保条約はこのままでいいのか?」・・・などを考えるはめとなった。 これは、鳩山本人も意識していなかったかもしれないが(・・・いや? ひょっとしたらそれを狙っていたのかな?)、大変な政治問題を日本国民に提起したのではないか?
日本国民は、このようなことを真剣に考えたことがあるのだろうか? 平和ボケといえばこれほど“ひどい平和ボケ”はないかもしれない。戦後半世紀以上(65年)を過ぎて、「アメリカのカリフォルニア州よりも小さい日本国内に、アメリカの軍事基地が85も在り、その75%はもっともっと小さい沖縄の島に密集している」(ジョージ・パッカード米日財団理事長の米上院外交委員会での発言)、「沖縄島の18%を、治外法権としてアメリカが基地使用している」・・・などを、日本人は殆ど考えていない。終戦直後ならまだしも、既に半世紀以上が過ぎているのだ。世界にこのような例はもちろん無い。
各都道府県は、大半が「基地受け入れ反対」を決議して、沖縄のこの惨状に頬かむりし、口をぬぐっている。今回、鳩山首相が、「基地受け入れ問題についての全国知事会」を呼びかけているが、これも、視点を変えれば出色の提案であろう。沖縄の同胞として、各県知事は目を覚ますべきかも知れない!
“指導力なき、無能な首相”が、日本国民の“避けがたき課題”を提起したとすれば、これをどう受け留めればいいのか?