調布市に「調布噺の会」というアマチュア落語会がある。調布に住み、このような地元文化と様々な交流を重ねている義兄に誘われて聞きに行った。もう一つは、三月に熊野古道の旅を共にした方のご主人が、このメンバーで出演すると言うので、これも楽しみに出かけた次第。
まず驚いたのは、調布市グリーンホール・小ホールに着いてみると会場が満員であったことだ。第六回の催しで知名度を高めてきているのであろうが、その日は、通常の250定員を300まで引き上げて、ようやく収めたという。
それもそのはず、演者の水準は相当なものであった。特に驚いたのは中入り後、真打を務める二人の噺はプロに勝るとも劣らない水準とお見受けした。一人は『品川心中』を、もう一人は『井戸の茶碗』を演じたが、いずれもたっぷり30~40分・・・、久しぶりに「落語を聞いた」という気がした。最近のテレビで10分か15分の落語をやっているプロ連中は大丈夫か? と心配になってきた。
もう一つ、先日アマチュア芝居集団「かんじゅく座」の芝居を見た。これまた中野の会場は超満員で立ち見の出る様相であった。「かんじゅく座」というのは、文字通り「完熟団員」ばかりで、入団資格は①60歳以上であること、②自力で練習場まで来れること、の二項目で、これを満たせば誰でも入団できるということだ。銀行時代の後輩が出演するので見に行ったのであるが、みんな輝いて演じていた。「俺も後期高齢者になった」など言っておれないな、とつくづく思った。
演技の巧拙など問題にならない(落語の水準は前述どおりプロ級であったが)。「ひたすら続けている」ということが尊いのだ。
だからこの人たちは輝いているのだ!