この旅でもワインとビールをかなり飲んだ。フランスワインを中心とした熟成ワイン重視の傾向に対し、オーストラリアは新鮮なワインを重視し(90%は生成後3年以内にのまれている)、そこに「若い国オーストラリア」の面目を感じる。ビールもイギリス伝統のエール製法を重視しながらも、オセアニアならではの“トロピカル・スタイル・ライト・ラガー”など明るい色のラガー・タイプが主流のようだ。専ら飲んだビールは、シェアーNo.1のカールトン&ユナイテッド・ブリュアリーの『ビクトリア・ビター』と、最古の歴史を持つ醸造所のタスマニアビール『カスケード・プレミアム』であったが、いずれも明るい、さわやかな味のビールであった。
何と言っても素晴らしかったのは、ワインの里ヤラ・バレー。快晴の、どこまでも高い青空のもとに、果てしないブドー畑が続く…。二つのワイナリーを訪ねたが、どちらも広大なブドウ畑の一角にワイナリーをかまえていた。最初に訪ねたのが『ドメイン・シャンドン』。工場見学の後試飲をさせてくれたが、数ある中で印象に残ったのは、フランスの「ドン・ペリニヨン」の向こうを張ったという赤のスパークリングワイン『キューベー』、これは気に入って帰りの空港で購入、いまだ保存して誰と飲もうかと案じている。
次の『ファーガソン・オブ・ヤラ・グレン』も、自慢のシャルドネをおいしく飲んだ。ワイナリーの前にどこまで続くのかと思うよなシャルドネのブドウ畑を眺めながら…。
ただ残念なことは、双方とも経営者や杜氏クラスの人に会えなかったことだ。もし会えれば、先方のワインと利き比べをやろうと、実はカバンの中に「獺祭50」と「生もと大七」を持参していたのだ。ついにそれを出すチャンスはなく、その酒は夕食の仲間と飲む酒となった。
ビクトリア・ビター(VB)
シドニーの初日と二日目にのんだワイン。どちらもラベルが面白かった。
「シャンドン」のブドウ畑
「ファーガソン」のブドウ畑
ン・ペリの向こうを張る「キューベー」