旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

今年を振り返る … 東日本大震災と福島原発事故

2011-12-21 14:54:02 | 時局雑感

  

  この天災は、まさに未曾有の国難というにふさわしい様相を示してきたので、以降何世紀にわたって言い伝えられることとなるだろう。それだけに、この二つは「想定外の出来事」という修飾語をつけて呼ばれてきた。果たしてそうであったのか?
 何百年の歴史をたどれば、今回程度の津波の記録はいくつもある。事実、その教訓を守って高地に構えたで、ほとんど助かった例もある。原発事故にいたっては、スリーマイル島とチェルノブイリという身近な実例があり、加えて多くの心ある学者が警告を続けていた。国会でも、日本共産党の不破哲三や吉井英勝議員等が「安全神話」の根拠のないことを何回も追求してきた。しかし東京電力はもとより、官僚も多くの政治家も耳を貸そうとはしなかった。とすれば、これらは想定外どころか人災というしかない。
 特に原発問題は、世界で唯一の被爆国としての原点的立場を失った事件と見るべきではないのか?

 先日広島県の呉を訪ね、かつての軍港を俯瞰して戦艦大和などに思いをはせた。はからずもその夜、戦艦大和の製造にかかわったという老技術者が、地元テレビで次のような話をしていた。
 「戦艦大和は不沈を誇った。しかし絶対沈まないはずの艦は瞬く間に沈んだ。原発は絶対安全という『安全神話』のもとに進められたが、福島のあの体たらくだ。あらゆる事態に対応していくのが技術だ。その技術者が『絶対沈まない』と言ったり『安全神話』をふりまいたりしてはいけないのだ。」

 私はこの老技術者の言葉を、“2011年が未来に残す言葉”として聞いた。 


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