わが家から3,40メートルで甲州街道に出る。私は毎日その甲州街道を渡って京王線八幡山駅に向かい、職場に通い続けてきた。そして、甲州街道に続くケヤキ並木は、否応なく私に四季の移ろいを教えてくれた。
冬のケヤキは、一枚の葉をつけることなくそそり立つ。ケヤキが最もその風格を示すのは、この枯れ木のごとき姿ではないか。春、一番早く芽吹くのがケヤキの先端だ。柔らかい薄緑はたとえようもなく美しい。それは瞬く間に緑を増し、初夏から夏にかけて濃い緑となって生い茂る。道行く人を強い直射日光から守ってくれるその繁みも、秋の深まりにつれて役目を終えたように紅葉して散ってゆく…。
春の芽吹きの美しさが昨日のことのように思えたが、早くもケヤキ並木は紅葉に染まっている。そういえば、一昨日の東京には木枯らし1号が吹いたのだ。
2012年11月10日 正午撮影