三日間の高知の旅は、何処も甲乙つけがたいものがあったが、何と言っても四万十川ドライブは心に残る。高校時代の友人K君のベンツで、懐かしい臼杵弁を交わしながら、窪川から江川崎まで「四万十川中流」をドライブした。ゆっくりと一日をかけて。
「日本最後の清流」というロマン、、源流とされる不入山(高知県高岡郡都農町)の「いらずやま」という響き、はたまた「しまんと」の語源はアイヌ語に発するとも言われる神秘性…、いずれも私の夢を掻き立て続けてきたこの川に、77歳にして初めて足を踏み入れた。
運転をすべてK君に頼むこともあり、お互いの高齢を考えて「全て無理せずゆっくり」と臨んだ。そしてこの「ゆっくり」が、山間深く流れる四万十の清流にピッタリであった。
道の駅「四万十とおわ」の『とおわ』食堂より
途中二つの沈下橋に降りて、橋を渡り、河原を歩いて清流に身を委ねた。浅い流れをたくさんの小魚が潜り抜け、河原には名も知らぬ美しい草花がひそかに咲いていた。
一つの沈下橋では、橋の上で「納豆屋のおばあさん」を取材する雑誌社の一団と出くわした。納豆はもちろん、いろんな話に花が咲き、おまけにその納豆を一個頂戴した。
江川崎の『ホテル星羅四万十』に渡る橋から見下ろす四万十川は、ぐっと川幅も増し、いよいよ下流に差し掛かる風情だ。それより下ると河口の四万十市(旧中村市)に向かうが、遠回りを避けてUターン、窪川に引き返した。自分としては、中流の一番いいところを満喫したつもりだ。