閣議決定後の記者会見で安倍首相は、集団的自衛権の抑止力に触れながら次のようなことを言っていた。
「60年安保闘争の中で、日米安保は戦争への道だと叫ばれたがそうではなく、この安保体制の中で平和が保たれた。イラクやアフリカ各地への自衛隊派遣の際も戦争の危険を叫ぶ声があったが、派遣された自衛隊は平和に貢献してきた…」
とんでもない誤解だ。日米安保体制下で日本の平和を守った主要な要因は、憲法9条とそれを守る国民の平和希求の力があったからだ。相手のアメリカは、朝鮮戦争、べトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争など戦争をつづけたが、憲法9条とそれを守る日本国民の平和希求が日本を戦争に巻き込むことを阻止してきたのだ。
軍事同盟は抑止力になるか? 軍事力で相手を抑止するためには相手以上の軍備を持たねばならず、軍拡競争が続き、挙句の果ては世界戦争というのが過去の歴史だ。
1940年の日独伊軍事同盟は抑止力になったか? 全く逆に第二次大戦への道を開いた。当時日本に憲法9条なく、日本国民は現在の平和希求を持っていなかったので、戦争への道を阻むことはできなかった。
イラクやアフリカ各地へ自衛隊を派遣しても、その地の平和に役立っているのはなぜか? 憲法9条の下で軍事に歯止めをかけてきたからだ。軍事同盟の抑止力の所為ではない。
それらの歯止めをこの度の閣議決定は外したのだ。いよいよ憲法9条を守り、それによる国民の強い平和希求の力で歯止めをかけていくしかない。