マス席の楽しみは、飲みながら食べながら観戦できることだ。日本伝来の興行は、歌舞伎にしても落語にしても飲食をしながら楽しむことができるのがいい。クラシック音楽やオペラなど周囲を気にしながらかしこまって聞くことを考えれば大きな差がある。観衆が舞台や土俵に声をかけながら一体となって楽しむのが醍醐味だ。
正面入り口からまっすぐエントランスホールに向かうのでなく、左側の案内所入口から入ると相撲案内所、いわゆる相撲茶屋が並んでいる。合計20の相撲茶屋の「2番 紀乃国屋」が我々の担当。そこを訪ねると注文した弁当や飲み物を入れた袋を下げて若いお兄さんがマス席まで案内してくれる。
先ずお茶が運ばれ、袋を広げると幕の内弁当はじめお土産の陶器やお菓子など出るわ出るわ…。私は、焼き鳥やオードブルでの酒やビールでいっぱいで、弁当には手もつかなかった。3時間強の時間があったが、注文した国技館ワインも開ける暇がなかった。けっこう土俵に惹きつけられていたのであろう。
ずらりと並ぶ相撲茶屋。我らが担当は 2番「紀乃国屋
幕の内弁当(上)とオードブル(下) お米も美味しいと好評価であった。
問題は日本酒である。相撲茶屋は純米酒を置いてない。特選酒となっているので何が出てくるかと思ったら大手蔵の吟醸酒であった。まあそこそこの酒で普通酒でなかったのは救われたが、純米酒を置いてないうえ持ち込み禁止であるから、立派な食事と最高の国技を見ながら最高の酒を味わうことができない。
大相撲は国技である。せめて国酒の典型である純米酒(できれば純米大吟醸)を置いておく義務があるのではないか? そのことを問うと、「年に何日かの営業で、高級な酒を置いておけない」とのことであったが、そのようなことは酒屋と折衝すればどうにでもなるだろうし、値段的にも高くない純米酒はいくらでもある。
国技館として考え直すべきことではないか?
2階から見た土俵とマス席(14時半ごろ)