旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

イギリスの連立政権発足について

2010-05-13 17:03:35 | 政治経済

 

 日本も政局がらみの話が渦巻いているが、イギリスでは13年ぶりの政権交替、しかも戦後初の連立政権の発足となった。つまり二大政党制による安定的(?)国家体制がそろりと動いたと言えるであろう。

 英国保守党は文字通り保守政党だろう。労働党は、最近は保守党とあまり差がなくなったが、本来は中道右派といえるのだろう。自民党は日本の自民党と違って、自民の民は「民主社会党」であるので中道左派政党と言えよう。長い間保守、労働の二大政党が政権交替しながら安定的(?)に動いてきたのであろうが、保守と労働の性格も似通ってきて、民意を十分に汲みきれないのか、中道左派勢力がじわりと勢力を増してきたというのが現状ではないか。
 議席の上では、保守党306議席(占有率47%)、労働党258議席(40%)、自民党57議席(9%)であるが、得票率で見れば保守党36%、労働党29%、自民党23%で、ほぼ民意を三分していると言える。小選挙区制のせいで半分近くの議席を獲得するが、得票率では三分の一なのだ。正確な民意は得票率にあることは当然であろう。
 保守党が、議席率では9%弱の自民党と連立を組むに当たって、自民党党首を副首相に迎え、かつ4閣僚を配した理由もここにあろう。ただ、この連立は前途多難であろう。保守が中道を飛び越えて左派と連立するようなものだ。様々な問題が出てくるだろう。しかしそれこそがイギリスの現状を反映しており、イギリス国民の民意なのかもしれない。一極だけに偏った政治では多様化した国民の要求や生活を守ることは今や出来ないのではないか。

 キャメロン首相(保守党党首)は43歳で、これは過去200年の中で最若年の首相就任となるようだ。これもまた「何とかしたい」という民意の表れかもしれない。多くは望めまいが、何がしかの変化あることに期待している。


アフリカの未来を開くか、新世代“チーター”たち

2010-05-11 11:52:53 | 時局雑感

 

 昨夜のNHKクローズアップ現代(テレビ1930分~)は、「未来変える? アフリカ新世代」という番組であった。対象となった「新世代」とは、“チーター”と呼ばれるアフリカ各国の人々で、彼らはアメリカやヨーロッパで学び、高度な技術や経営学と欧米企業での事業経験を持ち、それをアフリカの祖国のために生かそうとしている人たちのようだ。
 チーターといえば、アフリカ原野を獲物を狙って時速100キロで走る猛獣だ。ところがこの新世代人たちは、欧米の最高学府などで学んだだけでなく、各企業で高度な技術や先進的な事業経験を身につけ、それを持って祖国の自立、興隆に身をささげようとしているようだ。
 これまでの若者たちは先進国で学んで、その地の企業に勤めて祖国を遠くから見てきた。しかし、その目に映る祖国は一向に成長しない。先進国からの援助を受けるが、それは一部富裕層を潤すだけで最下層には及ばない。むしろ貧富の差は広がり、援助の成果は援助した先進国や諸企業に吸い上げられていく。


 「援助に頼っていてはダメだ!」
 
「自立して、自らの事業として蓄積しなければだめだ!」
 「技術を身につけよう。事業を起こそう!」

 こう呼びかけて、彼らは先進国での栄達の道を捨て祖国に帰り、起業の先頭に立っていた。彼らは先進国での豊富な経験を全てさらけ出し、住民を教育し、その教育を生かす術を起業した事業の成果の中で示していた。そこに学び働く人たちは、自ら学んだことが成果として生きる喜びに目を輝かせていた。
 そして何よりも、チーターのようにきびきび動き回る新世代人の瞳は、アフリカの未来を確信するように美しく輝いていた。


葵太鼓 ・・・ 連休をしめくくった迫力!

2010-05-07 10:43:20 | 文化(音楽、絵画、映画)

 

             

 

 大型連休を締めくくる5日は、江東区住吉の「ケィアラこうとう」に、『深川富岡八幡 葵太鼓』を聞きに行った。先日書いたように、太鼓でも聞いて深川の美味しいものでも食べようというのが狙いで、むしろ「下町の食」に主眼があったが、どっこい! この太鼓は迫力あった。地元の小中学校生を加えたこの催しは、日本の伝統文化を継承していく息吹と共に心を打つものがあった。
 この「葵太鼓の会」は、「深川の郷土民俗芸能を創り、伝承していくことを目的に1976年富岡八幡の氏子で結成された和太鼓の会」(当日のチラシ)とあるので、既に30年以上の歴史を持つ。
 ~伝える~・・・と題したチラシには、「和太鼓の文化を創り、伝えたい! 和太鼓の楽しさ、魅力を伝えたい! 太鼓への熱い思い、心意気を伝えたい!」と書かれているが、少なくとも私にはその「熱い思い」が伝わった。

  

            

 

 実はわが社に、O君という青年(?)がアルバイトとして働いている。彼が太鼓をやっていることは十分聞いていたのであるが、その実演姿を見たのは初めてであった。端正な顔立ちで黙々と働き続けるO君に、私はただならぬ気配は感じていたのであるが、彼はこの「葵太鼓の会」の中心メンバーであったのだ。
 O君は不運にも足を骨折してリハビリ中であったが、その不調を押して出演し、常に中心的位置で演奏全体をリードしていた。その彼の勇姿に触れただけでも意味があった。

  

     
       歌舞伎役者を思わせる風貌がいい

 

 終えて予定通り門前仲町まで出向き(これもO君のおすすめであった)、70年の歴史を誇る「うなぎ・割烹『かね松』」で食事をとった。「新政純米酒」とともに、うなぎも肴も美味しく、ここにもまた歴史を感じた。
(なお、写真は一切フラッシュを使ってないので念のため)


盛りだくさんの五月

2010-05-04 14:33:24 | 時局雑感

 

 昨夜風呂に入ると菖蒲が浮かんでいた。毎年書いてきたように、端午の節句を迎えるワイフの心遣いだ。「ああ・・・、大型連休なんてすぐに終わりだ」と思いながら菖蒲湯に四肢を伸ばした。
 しかし、例年あまり動かない連休であったが今年は動いた方になるだろう。2日には秩父羊山公園の芝桜を堪能し、帰りに石神井公園にまで立ち寄った。明日(5日)は深川富岡八幡に「葵太鼓」を聞きに行く。子どもの日にちなんで、深川第六中学校や東川小学校の太鼓部の子どもたちが演奏するらしい。元気な太鼓を聞いて、門前仲町あたりで美味しいものでも食べようと言うのが狙いだ。

       

 今月は社長を仰せつかっている名古屋の会社の株主総会で、その準備と総会当日の2回は名古屋に出張だ。後期高齢者を未だ社長にしているような会社に未来はなさそうだが、決算処理だけはやらねばなるまい。
 銀行時代に関わる行事が幾つかある。一つは当時の後輩が芝居をやるというので、これは見てやらねばなるまい。もう一つは私が幹事をしているある支店の同窓会だ。その準備のためにもう一人の幹事と一杯飲む日程も入っている。別に幹事同士が飲まなくても会は開催できると思うが、酒を飲むにはとにかく大義名分を必要とするのだ。会そのものよりも、そちらの方が重要ともいえるのだ。

 酒といえば、22日に「日本酒復権シンポジウム2010」が開催され、私も参加する。加えて、その基調講演をやる農口尚彦杜氏(能登杜氏四天王の一人、石川県「常きげん」杜氏)を囲む会が前日あるので、それにも参加する。少人数の食事会で、7,8種類の「常きげん」酒を飲みながら農口杜氏の話を聴こうと言うわけだ。
 農口杜氏は山廃造りの第一人者、日本酒造界の宝のような方で、この二日間は私にとっても相当に濃密な時間となりそうだ。

 五月はいい季節だけあって、なかなか遊ばせてくれない。(なに? 遊んでばかりいるではないかって? とんでもない。全てこれ勉強なのだ!)


秩父羊山公園の芝桜と、石神井公園の緑

2010-05-03 13:50:08 | 

 

 4月24日付日経新聞プラス1「何でもランキング」は、「大型連休に行きたい花の名所」を報じた。その東日本の部第2位が秩父羊山公園の芝桜であった。最近テレビでよく放映されているので、一度芝桜なるものを見ようと思っていた。同じ芝桜では第4位に「滝上公園」もあったが、こちらは北海道でちょっと遠いので、秩父と決めて昨日行ってきた。
 ネットで調べると、池袋から西武新宿線のレッドアロー号に乗れば一時間半足らずで着くらしいので気軽に出かけると、まず池袋駅の大変な混雑に驚いた。10時発に乗ろうとちょっと前に着いたが、大混雑で、特急券売場は長蛇の列・・・、掲示板を見ると12時半発まで満席。ワイフと顔を見合わせ「計画変更して近場(石神井公園など)にでも行くか」と、10時20分発の急行に乗り込んだ。ところがそれは「秩父行き」で、車掌に聞くと「12時14分には秩父につく」と言う。先を急ぐこともない、行ってみるか・・・、となって初期の目的をはたすことになった。

  

 みんな一つ手前の横瀬という駅から歩くらしく、われわれも下車してそれに従い歩き始める。ぞろぞろと大変な人だ。しかし快晴の下で心地よい風が吹いて、汗をかくこともなく快適なウォークで羊山公園に着いた。
 想像したほどの規模ではなかったが、広大な芝桜は見るに値した。人が多く「人垣の合間に芝桜を垣間見た」と言うことになるのではないかと心配したのだが、やはり自然は大きく、少々の人間で覆い隠せるものではない。
 特に武甲山を背景にした景観は雄大であった。

      
       背景は武甲山

 当然帰りも各駅停車のような準急に乗り込み、途中時間もあったので石神井公園も楽しんだ。こちらは緑が美しく、大きな池の半分をのんびり回った。そのあと池袋につくと5時を回っていたので、メトロポリタンホテルの「ほり川」で食事。酒(黒龍、浦霞禅など)も料理(ほたるいかなど)も大満足でした。(最近ちょっと贅沢しすぎているかな?)

 

  
      石神井公園


久しぶりのロシア料理

2010-05-01 13:08:49 | 

 

 渋谷道玄坂の東急プラザ9階に、『渋谷ロゴスキー』というロシア料理屋がある。そこで久しぶりにロシア料理を食べた。
 なぜそれを食べたかという確たる根拠は無い。「何か美味しいものでも食うか・・・」といいながらワイフと家を出たのだが、どこに行くか定まっていなかった。2、3日前、「もう一度行きたい街・・・」について話し合いながら、幾つか挙がった中にサンクト・ペテルブルグがあり、しかしそこで何を食べたか思い出せないなあ・・・という話になっていた。ロマノフ王朝の絢爛豪華な遺産は目に残っているが、意外に食べたものが浮かんでこない。
 じゃあ、ロシア料理にするか、ということで入った店だ。中々いい店であった。渋谷駅南口広場に面した席に着くと、だんだん暮れ行く夜景が美しい。出てくる料理もボルシチとかペロシキとか、未だ実物と名前が一致しないが、その語感が懐かしい。
 ワイフのとったコース「ナターシャ」のメインディッシュは『えびとキングサーモンのパイ包み焼き』、私のコース「スラブ」のそれは『スラブ風牛フィレ肉の鍋焼き』、それをそれぞれシェアしながら食べて、最期の料理が『漁師風海の幸のつぼ焼き』・・・。私は「つぼやき」と言うのでてっきり「さざえのつぼ焼き」と思い、何でロシア料理にさざえのつぼ焼きがあるのかと不審に思っていると、出てきたのはグラタンであった。コーヒーカップの上がつぼまったような容器(言われて見れば壷だ)に海の幸のグラタンが詰められ、上にパンが被せられて保温よろしく温められている。いかにもロシア・・・という感じがした。

 これらの料理を、先ずロシアを代表するビール「バルティカ」のスタウト(黒ビール)、次いでグルジアの白ワイン「ツィナンダリ」、最後はウォトゥカ「ストリチナヤ」を飲みながら食べた。バルティカもストリチナヤもサンクトペテルブルグで毎日飲んだことを思い出した。あれは2001年の6月であったので、かれこれ10年前だがそのときの酒の味だけは鮮明に覚えている。食べた料理は「にしんの酢漬け」以外はあまり覚えていないが。
 それにしても、ロゴスキー」さんは結構でした。


投票ボタン

blogram投票ボタン