「政治とカネ」は大きな課題。
自民党とは違う姿勢をアピールして政権交代した民主党。
その民主党が先日、企業からの献金を受けると表明。
早速、経団連会長は「献金する」と応じた。
民主党側は「マニフェスト(政権公約)違反ではない」としている。
だから公約を改めて確認しておこう。
ともかく、公約にどう記されていようと、不透明になるのは間違いない。
しかも、
「公共事業受注契約額が1件1億円未満で、
特に問題がないと認められる企業・団体に限って
自粛を解除することにした」
「公共事業受注契約額が『1件1億円』未満」というのに驚く。
当然、政府や地方公共団体の仕事をまったく受注していない企業が前提だと思ったら「1億円未満」はOKだという。しかも、1件。
役所の仕事を受け取っている企業が政党(や個人)にお金を寄付すれば、「役所の仕事」と「政治家」の癒着ができるのは歴史的かつ経験的な共通認識。
重要な公約違反をいくつも続けながら、「企業献金受け取りは公約のうち」ということを平気で考えていたら、支持が離れていくのは自明。
幸いしているのは、「対抗勢力がない」から。
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●民主、公約に逆行=信頼低下に拍車-企業献金再開
時事 2010/10/26-21:25
昨年の衆院選や7月の参院選のマニフェスト(政権公約)で企業・団体献金の禁止を掲げていた民主党が、自粛していた企業献金の一部再開を決めた。無節操な姿勢に「マニフェスト逆行」との批判が出るのは確実だ。
同党が企業・団体献金の禁止方針を決めたのは2009年5月。同月まで代表だった小沢一郎氏側への西松建設からの違法献金事件を受け、当時の執行部が急きょ打ち出した。
党関係者によると、政権交代以降、企業献金を自粛した結果、党の収入が政党交付金や立法事務費など国費に極端に依存する構造となり、岡田克也幹事長が企業献金の受け入れ再開を決断したという。同党幹部は「個人献金が広まればいいが、直ちには難しい。企業献金も当面は仕方がない」と語るが、公約軽視のそしりは免れない。
ガソリン税の暫定税率の実質的維持、高速道路無料化の後退…。民主党はこれまでも、マニフェストに盛り込んだ重要政策を覆してきた。ただ、こうした公約違反の背景には、見通しの甘さはあったものの、世論も一定の理解を示す財源不足という事情があった。
しかし、政治献金の扱いは、党の信頼に直結する問題だ。「クリーンな民主党を取り戻す」と訴えて代表選で再選された菅直人首相の発言とも整合しない。政権を獲得しながら、企業献金禁止を主導せず、実現のための政治資金規正法改正案を提出しなかった姿勢も問われる。小沢氏の「政治とカネ」の問題などで進む同党への信頼低下に拍車が掛かるのは間違いない。
●民主、企業献金受け入れ再開 禁止方針に逆行
2010/10/26 22:13 【共同通信】
民主党の岡田克也幹事長は26日の常任幹事会で、昨年8月の衆院選を機に自粛していた党本部の企業・団体献金の受け入れを再開する方針を表明した。党の財政難などが理由だが、衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた企業・団体献金の全面禁止方針に逆行するのは明らかで、野党側が国会で厳しく追及するのは必至だ。
小沢一郎元代表や鳩山由紀夫前首相の「政治とカネ」の問題に対する批判に拍車がかかる可能性もある。
民主党は昨年、マニフェストとの整合性を取るため、過去に献金実績がある企業以外からの受け取りを自粛。今年に入ってからはすべての企業に対象を広げていた。しかし、企業献金自粛の代わりに期待していた個人献金が思うように集まらないため、党内では「政治活動に支障が出る」と献金受け入れ再開を求める声が高まっていた。
受け入れを再開するのは、国や自治体と1件1億円以上の公共事業などの契約がない企業に限定する。大規模事業受注の見返りと受けとられないためで、それ以外の企業の献金自粛は継続する。
●民主党、企業・団体献金の自粛を解除 契約額1億円未満企業ならOK
サンケイ 2010.10.26 23:55
民主党は26日、国や自治体の契約を受注している企業・団体からの党本部への政治献金受け取り自粛の方針を撤回し、1件当たりの契約額が1億円未満の企業・団体からの献金を解禁する方針を決めた。岡田克也幹事長が同日の党常任幹事会で報告、了承された。
民主党は昨夏の衆院選と今夏の参院選のマニフェスト(政権公約)で企業・団体献金の全面禁止を掲げており、「公約違反」との批判を受けるのは必至だ。
●民主、企業・団体献金を受領へ 自粛から一転、再開
朝日 2010年10月26日21時15分
民主党は26日、昨年9月の政権交代以降、自粛していた企業・団体献金の受け入れを再開することを決めた。2009年の衆院選マニフェストで掲げた企業・団体献金を全面禁止する政治資金規正法の改正にめどが立たず、暫定措置として再開に踏み切る。
岡田克也幹事長が26日午後の党常任幹事会に提案。党の収入が政党助成金に頼っていることを念頭に「過度の国費依存でいいのか」と説明、了承された。民主党はマニフェストで3年後の企業・団体献金の全面禁止を掲げ、改正までの「当面の措置」として公共事業の受注額が年間1億円以上の企業・団体からの献金を受けないことにしており、再開の対象は1億円未満の企業・団体に限る。
企業・団体献金の受け入れを凍結したのは、小沢一郎元代表が政権交代後に幹事長に就いてから。小沢氏には、自らの資金管理団体をめぐる事件に対する批判をかわす狙いもあった。
ところが、政権交代後も個人献金は伸び悩み、民主党の収入のほとんどを政党助成金が占める実態は変わらなかった。今年6月に小沢氏が幹事長を退いたことをきっかけに後任の枝野幸男氏が「税金で運営されている政党」との批判をかわすため、企業・団体献金の受け入れ再開について検討を始めていた。
9月に幹事長に就任した岡田氏も「企業・団体が政治の面で資金を出すことは、一定の範囲で認められる」との立場だった。経済界からも早期の献金受け入れを促され、再開を決断した。
ただ、菅直人首相は25日の参院予算委員会で、公明党の草川昭三氏に対し、企業・団体献金の禁止や罰則強化を含めた政治資金規正法改正への協力を要請したばかり。民主党内からも「タイミングが悪すぎる」との批判があがっている。
●企業献金、自粛を解除=規正法見直し進まず一転-民主
時事 2010/10/26-20:28
民主党は26日午後の常任幹事会で、自粛していた企業・団体献金の受け入れを一部再開することを決めた。岡田克也幹事長が提案して了承された。企業・団体献金禁止のための政治資金規正法改正のめどが立たないことなどが理由としている。小沢一郎元代表や鳩山由紀夫前首相の「政治とカネ」の問題を抱える中、自粛を解除することには野党などから批判が出そうだ。
民主党は2009年の衆院選と今年夏の参院選マニフェスト(政権公約)に、企業・団体献金の禁止を明記した。
昨年9月の政権交代後は、幹事長に就任した小沢氏が主導し、政治資金規正法が改正されるまでの措置として、国や地方自治体から1件1億円以上の公共事業を受注している企業などからの献金受け入れを自粛。今年に入り、自粛対象を同1億円未満も含めたすべての企業に広げていた。
しかし、政治資金規正法改正に向けた与野党協議が進展する見通しが立たないことや、民主党への献金を希望する企業があることから、公共事業受注契約額が同1億円未満で、特に問題がないと認められる企業・団体に限って自粛を解除することにした。
岡田氏は常任幹事会で、「過度の国費(政党交付金)依存という状況が果たして本当にいいのか。一方で、個人献金促進のための税制改革論議が始まっている」と述べ、一部解除する方針を表明。出席者から異論は出なかった。
民主党の政治資金団体「国民改革協議会」の収支報告書によると、08年の企業・団体献金は1億1800万円。菅直人首相は8日の参院代表質問で、企業・団体献金禁止に関して「他の野党の協力をいただき、ぜひ成案を得るよう期待している」と言及。同党幹部は、禁止を目指す方針に変わりはないとしている。
●経団連会長「民主への献金は責任」
サンケイ 2010.10.27 05:00
米倉弘昌日本経団連会長は26日、富山市内のホテルで記者会見し、民主党が昨年9月の政権交代以降、自粛していた企業・団体献金の受け入れを再開する方針を示したことについて、「政治献金は個人および企業にとって社会的な責任の一つ。企業も社会の一員で、日本を良くするための献金は必要だ」としたうえで、「政治資金規正法にのっとり、献金をさせていただく」と歓迎した。
一方、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加をめぐり、政府・与党内の意見が割れていることについては「TPPに参加しないと日本は完全に世界の孤児になる。政府関係者には国益をよく考えてもらいたい」と強調した
●「やせ我慢を続けて欲しかった」 海江田大臣が民主の献金再開を批判
サンケイ 2010.10.29 11:30
海江田万里経済財政担当相は29日午前の記者会見で、民主党が企業・団体からの政治献金受け取り自粛の方針を撤回したことについて、「衆参全議員による会合を何度も開き、みんながかなりやせ我慢して決めたことだ。やせ我慢を続けてほしかった」と述べ、執行部の対応を批判した。
海江田氏は今年1月、党政治改革推進本部の事務局長として企業・団体献金を全面禁止する政治資金規正法改正案をとりまとめた経緯がある
●’10.11.2米中間選挙:「出所不明」献金急増 規制外の非営利団体TV広告
毎日新聞 2010年10月25日
◇政党と「無関係」
【ワシントン古本陽荘】米中間選挙で、政党とは一線を画す非営利団体によるテレビ選挙広告が急増し問題化している。保守系の団体による広告が圧倒的に多く、共和党優位の流れに乗り、企業からの献金がなだれ込んでいるとみられるが、規制の対象外であるため多くの献金元は非公開。就任前から利益団体の影響力の増大に批判的だったオバマ大統領が激しく批判している。
「ハリー(・リード院内総務=民主)の景気対策では、金星の天気調査名目で30万ドルがテキサス州にいく。それなのに、全米最悪の失業率のネバダ州は助けないのか」
ネバダ州のテレビで流れる現職リード上院議員に対するネガティブ(批判)広告だ。流しているのは「クロスローズGPS」という非営利団体。親団体の「アメリカン・クロスローズ」はブッシュ前大統領の側近、カール・ローブ元大統領次席補佐官(共和)らが設立している。
明らかに選挙広告だが、これらの団体は表向きは政党とは無関係。選挙の投票を呼び掛けるのでなく「政策に関する候補者の立場」を批判している限りにおいては、どこから献金を受けたか開示する義務はない。名前が表に出るのを嫌う企業の事実上の「裏献金ルート」となっている。
ワシントン・ポスト紙が投票約1カ月前段階で調べたところ、今回の選挙で選挙広告などに非営利団体が使った総額は約8000万ドル(約65億円)で、06年の中間選挙の同時期の約1600万ドルの5倍だった。このうち、誰が献金したかを明かしていない献金の額は、06年時は100万ドルだったが、今回は4400万ドルに膨らんだ。政治献金を調べている市民団体パブリック・シチズンによると「公開度は共和党を支持している団体で極めて低い」という。
非営利団体を使っての選挙活動が活発化しているのは、接戦区が多いことに加え近年の選挙広告に関する連邦最高裁判決の影響が出ていると指摘されている。最高裁は07年、企業が政策中心の広告に支出することを合憲と判断。さらに今年1月、企業や労働組合による選挙広告への支出を、政府は制限できないとの判断を下し、一挙にタガが外れた形だ。
大統領は応援演説で「判決のため、利益団体が制限なく広告に支出するようになった。誰が背後にいるか分からない。民主主義に対する脅威だ」などと繰り返し批判している。
●クローズアップ2010:民主変節、企業献金再開 党内からも「公約違反」
毎日新聞 2010年10月28日
◇自民の資金源奪う狙い
民主党が09年衆院選マニフェスト(政権公約)に掲げた「企業・団体献金の禁止」を後退させ、唐突に献金受領の自粛を撤回したことが党内外に批判を広げている。来春の統一地方選を見据え、資金調達力の強化を狙ったものだが、政治とカネを巡る、小沢一郎元代表の国会招致問題を先送りし続ける裏で、党への貢献度で業界などの陳情を選別するシステムの構築にも着手した。
所属議員の「族」化や、党内グループの派閥化も進む。政権交代から1年余り。これまで批判してきた自民党の政治手法を、民主党自身が取り入れ始めた。【大場伸也、影山哲也】
「マニフェストでは法改正から3年後に献金を禁止することとなっている。マニフェストに反したという形ではない」
27日夜、菅直人首相は記者団に、献金受領再開は問題ないとの考えを示した。再開を主導した岡田克也幹事長も新人議員との昼食会で「マニフェスト違反ではない。日本ではまだ個人献金が根付いていない」と釈明した。
しかし、前原誠司外相は同日の衆院外務委員会で「国民に違う方向を向いているととられても仕方がない」と批判、仙谷由人官房長官も会見で「(政治とカネの問題を巡る世論に)プラスには動かない」と渋い顔を見せた。
菅首相は9月の代表選の政見(公約)で「カネのかからない政治実現に向け、企業・団体献金禁止について議論し、年内に党方針をまとめる」と表明したばかり。今年1月、小沢氏が献金受け入れを自粛したのも、自らの「政治とカネ」問題への批判をかわすためだった。
・・・ 陳情を通じて選挙協力を取り付けるシステムも完成しつつある。22日に発足した陳情対応本部は選挙協力の度合いで陳情に応じる政治家のランクを変える。9月の代表選で敗れた小沢氏を支援した全日本トラック協会幹部は「うちはランクダウン」と肩を落とす。
献金再開と陳情システム化に伴い、族議員も誕生しそうだ。27日の政調会合では、環境税導入に反対を訴えた石油化学団体に、吉田治衆院議員が「経団連の会長を出しているんだから、会長を先頭に立て、環境税に賛成するやつは選挙で落とす気構えを持ってほしい」と援護射撃した。
◇進む「派閥化」 掛け持ち排除、ポスト競争
民主党の多くのグループは「サークル」と称されるなど、結束の緩さで知られてきた。それが最近は同一議員が複数グループの会合に参加できないように仕向けたり、不定期だった会合を定例化するなど、かつての自民党さながら「派閥化」を進めている。政権を獲得し、首相の座や閣僚ポストをめぐる競争で派閥の効用を再認識したためだ。
前原外相のグループは今月から、不定期だった会合を樽床伸二前国対委員長のグループ同様、毎週木曜日に定例化した。民主党は複数のグループに所属する議員も少なくないが、会合の日程をぶつけ、掛け持ち参加できないようにする狙いだ。
旧社会党系の赤松広隆元農相は自身の勉強会から、鳩山グループに所属しながら自身の勉強会も発足させた小沢鋭仁前環境相に退会を求めるなど、「純化路線」を進めている。
・・・・・
● 企業献金再開―民主党は逆行するのか
朝日 2010年10月28日(木)付
民主党が企業・団体献金の受け入れ再開を決めた。国や自治体と、公共事業や物品調達の契約をしていないか、していても1件1億円未満の企業などに限って献金を受け入れ、パーティー券を買ってもらうという。
マニフェスト(政権公約)違反ではないと、民主党はいう。確かにそうかもしれない。
昨年の総選挙公約は「政治資金規正法を改正し、その3年後から企業団体の献金及びパーティー券購入を禁止する」とした。その一方で、当面は1億円以上の契約がある企業などについて禁じる、と記していた。
ただ、1億円未満の企業についても、民主党はこの間、献金の受け入れを差し控えていた。
政治資金についての「検討の結論が出るまで」という限定つきとはいえ、公約を超えて自制してきたわけだ。
それを、公約通りに戻すのが今回の措置だという説明である。
原理原則を重く見る岡田克也幹事長の判断なのだろう。国費である政党交付金への「過度の依存」を懸念する岡田氏の議論に、一理あることも間違いない。
しかし、今回の献金再開は後ろ向きであり、流れに逆行している。
・・・・ 大きな論点は、個人献金をどう広げるかだ。それなしに企業・団体献金を禁じれば、政党助成を受けられない小さな政党は締めだされかねない。
禁止が実現しても、企業や労働組合などが禁止の対象とならない政治団体をつくったり、経営者が個人名で寄付したりする抜け道は残るだろう。
透明性を向上させる措置が不可欠である。資金管理団体や政党支部など、政治家が持つ数多くの「財布」をひとつにまとめるべきではないか。
難問だからこそ早く協議を始めなければならない。まず自らが襟を正し、決意を示すことだ。隗(かい)より始めよ、という言葉を思い出してほしい。
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