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てらまち・ねっと



 先日11月5日のブログで、ウィキリークスや情報流出のことを整理した。
    ◆尖閣・衝突ビデオ 昨夜から流出/NHK「機密告発サイト・ウィキリークスの衝撃」/Wikileaks

 いずれにしても、尖閣ビデオは速やかに出しても良かった。
基本は、出すものは出して、それを見て、誰もが、あるいは多くが納得できるような対応をすること、それが原則の時代になってほしい。
 
 ともかく、その後の動きの報道を見ていて、まだまだ何か起きそうと感じる。
 今日は、まず、報道の見出しだけを並べてみて、あとに記録。

●時事 「日本・中国関連情報も公表へ=スイス移住検討-ウィキリークス創設者」

●ロイター 「ウィキリークス創設者がスイス亡命を検討、ロシア文書なども公開へ」

●産経 「『内部告発』 ネット主流 一気に世界へ拡大/完全消去は不可能」

●itmedia 「警視庁公安情報ネット流出は『情報テロ』 仕掛けたのは誰? 」

●読売 「映像流出捜査チーム、グーグルと接触へ」

●ゲンダイネット 「尖閣ビデオで世界中に無能さらした菅政権とそれにつけ込む怪しいヤツら」

●現代ビジネス 「日本でも『内部告発サイト』ウィキリークスは通用するか」

(関連エントリー) 2010年11月5日 ⇒  ◆尖閣・衝突ビデオ 昨夜から流出/NHK「機密告発サイト・ウィキリークスの衝撃」/Wikileaks

  2011年10月25日 ⇒ ◆ウィキリークスが情報公開停止へ 内部告発サイト、資金不足で  

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●日本・中国関連情報も公表へ=スイス移住検討-ウィキリークス創設者
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010110600056
 【ジュネーブ時事】民間の内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者ジュリアン・アサンジ氏は5日、時事通信に対し、近く公表する多数の機密文書について、日本や中国に関するものも含まれることを明らかにした。具体的な内容については言及しなかったが、早ければ年内にもウェブ上などで公開する方針という。
 同サイトは、アフガニスタンやイラク駐留米軍に関する米政府の機密文書をインターネット上で公開。近く米国やロシア、レバノンに関係した数千の文書を新たに開示する見通しだ。(2010/11/06-05:34)

●ウィキリークス創設者がスイス亡命を検討、ロシア文書なども公開へ
            2010年11月5日(金)13:04 トムソンロイター
 政府機密文書などの内部告発サイト「ウィキリークス」創設者のジュリアン・アサンジ氏は4日、スイスのテレビ局TSRに対し、同国への政治亡命を検討していると明かした。

 アサンジ氏はこれまで、ジャーナリストの活動を法律で厳しく保護するスウェーデンに同サイトの拠点を置きたいとしていたが、同国当局から先月就労申請などを却下されていた。
 同氏は、中立国であるスイスでサイトを安全に運営することを真剣に検討したいとの考えを示した。

 同氏はまた、これに先立って開いた記者会見で、米国はイラクやアフガニスタンの駐留軍による虐待を徹底的に調査すべきだと主張。年内に米国、ロシア、レバノンなどの機密文書数千点を公開することも明かした。

●「内部告発」 ネット主流 一気に世界へ拡大/完全消去は不可能
           産経新聞 11月8日(月)7時56分
 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオ映像が流出したのは、インターネットの動画投稿サイトだった。かつて官僚らによる「内部告発」は新聞やテレビを通じるのが一般的だったが、今回流出させた公的機関側とみられる人物は既存メディアを軽々と飛び越え、ネットで直接「世界」へ訴え出た。こうした流れは民間の内部告発サイトの登場で数年前から世界的に広がっており、専門家は「時代が一つ変わってしまった」と話す。

 ■衝突画像編集
 映像が動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」へ流出したのは今月4日午後9時ごろ。約11時間後の翌5日午前8時ごろまでに投稿者自身により削除された。

 ところが閲覧した不特定多数のネットユーザーがオリジナル映像を自分のパソコンへ保存し、ユーチューブや他の投稿サイトへ次々と転載していった。中には衝突の瞬間だけを画像に編集したものもあった。

 情報セキュリティー会社「ネットエージェント」(東京)の杉浦隆幸社長(35)は「こうなると完全なデータ消去は不可能。手遅れだ」。映像は検閲のためユーチューブを見られない中国でさえも駆け巡り、増殖を続けている。

 ■かつては新聞
 学習院大学の藤竹暁名誉教授(77)=メディア論=は「かつて内部告発は新聞やテレビになされていた」と指摘し、1971年、米国防総省の元職員がベトナム戦争に関する大量の調査報告書をニューヨーク・タイムズ紙へ持ち込んだ「ペンタゴン・ペーパーズ事件」を挙げた。

 翌72年、ニクソン大統領を退陣に追い込んだ「ウォーターゲート事件」でも「ディープ・スロート」と呼ばれた連邦捜査局(FBI)副長官はワシントン・ポスト紙の記者へ情報をリークしていた。

 わが国でも、たとえば平成19年に起きた北海道の食肉加工販売会社「ミートホープ」の食肉偽装事件の発覚のきっかけは役員による新聞やテレビへの内部告発だった。

 2006年、内部告発サイト「ウィキリークス」が現れ、米軍の機密文書や政治家のメールなどが次々とネットで公開されていった。先月22日にも、米軍の機密文書流出としては過去最大規模という約40万点のイラク駐留米軍文書が流出した。サイト創設者で1971年生まれのオーストラリア人、ジュリアン・アサーンジ氏は自宅を持たず世界の知人宅などを転々としているとされ、各国当局が手を焼いているのが実情だ。

 ビデオジャーナリストの神保哲生さん(48)は「今回の流出事件は、こうした流れに位置づけられるもので、時代が一つ変わってしまった印象だ。これまでは情報を制御できる“情報強者”と“情報弱者”がいたが、その関係が対等になった」と指摘する。

 ■生情報を素早く
 神保さんは「本格的な捜査により、投稿者のネット上の住所にあたる『IPアドレス』を追えばかなりの確率でパソコンを特定できる。ユーチューブでの匿名投稿は、実際には実名が割れるリスクが高い」とした上で、「今回の人物がそれでもユーチューブを選んだのは、テレビ局などに提供しても既得権益や権力との関係などに配慮し、黙殺されてしまうとの思いがあったのではないか」とみる。

 情報セキュリティー会社の杉浦さんは「ネットは編集なしの生情報を素早く広く届けられるため、世の中へ伝えたいことがある場合に非常に便利だ。この流れは止まらないだろう」とし、「ネットでは偽の告発情報を流すことも可能であり、だからこそ既存メディアには情報の真偽の確認や価値判断を加えた報道が期待されている」と話す。

●警視庁公安情報ネット流出は「情報テロ」 仕掛けたのは誰?
         2010年11月08日 08時01分 itmedia
 国際テロを捜査する警視庁公安部外事3課が作成した可能性のある資料がインターネット上に掲載された問題は何者かが仕掛けた「情報テロ」だったとの見方で固まりつつあり、「日本の情報活動史上、最悪の事態」だ。

 国際テロを捜査する警視庁公安部外事3課が作成した可能性のある資料がインターネット上に掲載された問題は、横浜市でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開催直前に何者かが仕掛けた「情報テロ」だったとの見方で固まりつつある。現状でも「日本のインテリジェンス(情報活動)史上、最悪の事態」(警視庁OB)といえるが、仮に内部犯行だった場合に警察当局が受けるダメージは計り知れない。“手負い”の警視庁は、どこまで真相に迫れるか──。

意図的?「ウィキリークス」名乗るサイトにも
 <聴取計画について みだしのことについては、FBI(米連邦捜査局)からの捜査要請に基づき次の通り聴取を実施したい>

 資料には表題に続き、チュニジアやモロッコ国籍の6人の名前や住所、生年月日などの個人情報が並ぶ。これ以外にも警察官2人がモロッコ人男性と東京・銀座のかに料理店で接触した際の聴取結果、イスラム圏の大使館の給与振込口座解析結果、さらには顔写真が入った警視庁国際テロリズム緊急展開班名簿…。秘匿性の高い“一級品”の捜査資料の流出は114件にのぼった。

 これら警視庁のものとみられる資料が、ファイル共有ソフト「ウィニー」のネットワーク上で閲覧可能になったのは10月28日午後9時のことだった。ほぼ丸1日、ウィニーに接続されていた形跡があり、警視庁は29日午後8時ごろ、民間会社から神奈川県警を通じて寄せられた通報で掲載を確認。激震が走った。
 ・・・・(略)・・・・

  このため、幹部クラスのパソコンから流出した可能性もあるが、資料作成時期は約6年間の幅がある。1年から2年で異動することが多い幹部では、アクセス権限などからすべての資料を入手することは不可能という。

 公安部ではPDF形式で資料の保管はしておらず、警視庁の専用サーバー内にある各課のファイルに保存。だが、114件の資料のうち108件はPDF形式のファイルだった。ファイルに残る記録では、大型連休中の5月2日から4日にかけてPDF化されていた。この時期に集中して、電子データから直接変換されたとみられ、入手時期も同時期の可能性が高い。

 警視庁の専用パソコンから外部記憶媒体にデータを移すと暗号化処理され、別のパソコンには移動できないという。電子データで直接PDFに変換されていることから、警視庁のサーバー内から資料が抜き出された疑いが浮上している。

 「サーバー内に侵入されたとすれば、他の資料も抜き出されても不思議ではない。第2、第3の“攻撃”をしかけてくることもあり得る」。警視庁幹部は「情報テロ」の脅威に警戒を強める。
・・・・・(略)・・・・・

●映像流出捜査チーム、グーグルと接触へ
    読売新聞 11月9日(火)3時
 尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を巡る映像流出事件で、検察当局は8日、国家公務員法(守秘義務)違反容疑での捜査に乗り出した。

 9日にも、捜査チームのメンバーが、映像の投稿者に関する情報を入手するため、動画投稿サイト「ユーチューブ」を運営するグーグルに行く見通し。今後は投稿者の探索と、石垣海上保安部(沖縄県石垣市)などでの映像の「流出元」の特定作業が並行して進むことになる。

 捜査チームには、東京高検管内の検察官や事務官ら十数人が投入された。捜査の主体は福岡高検とする予定だったが、東京地検に切り替える。捜査員は沖縄と東京に常駐し、那覇地検や石垣海保のパソコンの解析や、職員らの事情聴取を行う。

 捜査の突破口となりそうなのは、流出映像の投稿者に関する情報だ。検察当局は、サイトを運営するグーグルに投稿者の情報提供を要請したが、グーグル側は「(差し押さえ)令状の範囲内で協力する」としている。

●尖閣ビデオで世界中に無能さらした菅政権とそれにつけ込む怪しいヤツら
            ゲンダイネット 2010年11月6日
誰が何の目的で流したのか
 たった1本のネット動画が、一国の政府を揺るがしている。突然、中国漁船衝突事件の映像がネット流出したことに、仙谷官房長官は「公務員が故意に流出させたという行為があったとすれば、明らかに国家公務員法違反だ」と怒り心頭。8日の衆院予算委で調査の進展状況を説明するため、犯人捜しに躍起だが、恐らく特定するのはムリだ。それが、ネット社会の怖さである。

 犯人が流出先に選んだのは、動画サイト「ユーチューブ」の日本版だ。登録情報などから投稿者を割り出すには、ユーチューブを傘下に持つ米グーグルの協力が不可欠。政府もグーグルへの協力要請を検討しているが、これが一筋縄ではいかないのだ。ネット社会に詳しいジャーナリストの江建氏が言う。

「グーグルは、徹底的にユーザーのプライバシーを保護することで有名な企業で、諸外国の捜査協力には基本的に応じていません。特にユーチューブは、ほとんど個人情報の登録なしに誰でも簡単に動画を投稿できるのがウリです。権力側の要請とはいえ、うかつに個人情報を手渡せば、ユーザー離れを引き起こし、自らの首を絞めることにもなります」

 しかも、ユーチューブのサーバーは米国にあるため、日本の捜査当局が単独で強制捜査に踏みきり、資料を押収することは不可能だ。米国に捜査協力を要請しても、グーグルが首をタテに振らない限り、登録情報は永久に得られない。
 前出の江氏は「自首しない限り、犯人特定は難しい」と断言した。


●ビデオ放置期間が1カ月もあった
 大体、問題の映像のコピーは衝突事件直後に首相官邸をはじめ、国交省や法務省、外務省、防衛省など関係省庁に視聴させる目的で広く霞が関全体に出回った。
・・・(略)・・・・

 それでも政府は混乱を収めるため、大阪地検特捜部の前田元検事逮捕のように“イケニエ”を差し出す形で、無理やり犯人を仕立て上げることも考えられる。

 だが、そうやって、映像流出の背後を洗ったところで、もはや何の意味もない。単なる愉快犯の“お遊び”に過ぎないかもしれないし、本気で政府転覆を狙う組織が幾重にもカムフラージュしたダミーかもしれない。
 流出犯がネット社会の闇に紛れ込んでいる以上、真相は藪の中なのだ。

●得したのは大ハシャギ自民党か
・・・(略)・・・

●ネット社会に負けて崩壊する国家統制
 それにしても、今回の映像流出でまざまざと見せつけられたのは、ネット社会の威力と脅威である。

 これまで国家権力は、すべての情報を独占し、恣意(しい)的に情報を操作することで成り立ってきた。江戸時代の昔から、権力側は常に「よらしむべし、知らしむべからず」の精神で、民衆を為政者に従わせてきた。真の情報には一切触れさせないことが国家統制の肝で、それをできる人物だけが権力を握ってきたのだ。

 今回の衝突映像だって、視聴できたのはホンの一握りの官僚と国会議員だけ。国民の目には触れることのない映像を見ることで、彼らは特権意識を満喫していたことだろう。そんな国会議員や官僚の持つ威厳や優越感が、衝突映像がユーチューブに流れたことで、音を立てて崩れ落ちた。それが、今回の事件の本質でもある。

 警視庁が長年かけて集めた国際テロの捜査情報が一瞬にしてネットに流出・拡散した事件も同じことだ。極秘情報の蓄積という警察組織の威厳は見事に崩れた。ネット社会の異様な発達で国家権力そのものが意味を成さなくなっているのだ。

「いまのネット社会は、動画投稿サイトやファイル交換ソフトがめまぐるしく発展し、誰もが匿名で国家機密すら漏洩できてしまう。一度漏れた情報はすさまじい勢いで拡散し、国家権力側も手の施しようがありません。米国では『ウィキリークス』という内部告発サイトが大流行し、40万点にも及ぶ米軍のイラク戦争にまつわる機密文書が流出するなど、国家統制の根幹を揺るがしつつあります。今回の衝突映像流出を引き金に、日本でもネット情報に一国の政府が揺さぶられるという別次元の社会が始まったのです」(江建氏=前出)

 もはや、ネット社会の前では、情報の独占も権力も形無しだ。この国は為政者が存在しているようで存在しないシッチャカメッチャカの無政府状態に突入したのである。

●日本でも「内部告発サイト」ウィキリークスは通用するか
ペンタゴンペーパー事件と三井事件

    現代ビジネス 2010年08月12日(木) 牧野 洋
 権力の暗部を暴くために内部告発に踏み切ると、大変なリスクを背負う。「世の中のために」と思って行動したのに、逆に犯罪人として刑務所に放り込まれることもある。
 そんな背景から数年前、ウェブサイト「ウィキリークス」が生まれた。

・・・・・・・・(略)・・・・・・
 ペンタゴンペーパーと違い、アフガン戦争日記ではホワイトハウスは記事差し止めに動かなかった。記事掲載前にNYTに対し「有害な情報の公開を控えるようウィキリークスを説得してほしい」と要請しただけだった。その意味では、アフガン戦争日記にはペンタゴンペーパーほどのインパクトはない。
 それでもウィキリークスにとっては大躍進であることに変わりはない。少なくとも初報段階ではNYTなど伝統的な印刷メディアと連携できたのだ。

検察の裏金を実名告発する寸前に逮捕
 ここで「日本でもウィキリークスは通用するだろうか」との疑問に戻ろう。カギを握るのは、やはり大新聞を筆頭にした伝統的な印刷メディアだ。単純比較が難しいのは承知のうえで、2002年に起きた「三井事件」を点検してみる。

 当時、検察庁の現職幹部だった三井環が水面下でマスコミに接触し、「調査活動費が裏金として職員の私的な飲食代やゴルフ代に消えている」と訴えていた。「ディープスロート」としてマスコミに協力しようとしたわけだ。しかし、匿名の内部告発ではなかなか相手にしてもらえなかった。

 そこで、三井は実名で内部告発に踏み切る決意を固めた。同年4月22日にテレビ朝日の報道番組「ザ・スクープ」で単独インタビューを受け、収録する予定を入れた。ところがインタビューは実現しなかった。その日、詐欺と職権乱用の容疑で逮捕されたのだ。

実名告発の矢先に逮捕というタイミングから、「検察は口封じのために事件をでっち上げ、内部告発者の逮捕に踏み切ったのか」といった見方も出た。それが事実だとすれば、「裏金問題は検察が口封じに動くほど重大な秘密なのか」ということになる。

 ここでペンタゴンペーパー事件を思い出してほしい。同事件では、ホワイトハウスがNYTによる記事掲載をストップさせるのに成功すると、世間は「ペンタゴンペーパーは政府が記事差し止めに動くほど重大な秘密なのか」と思い始めた。

 つまり、三井事件での「逮捕」とペンタゴンペーパー事件での「記事差し止め」は、同じ文脈でとらえるが可能だ。いずれも、内部告発者・マスコミ側に対抗するために権力側が打ち出したアクションなのだ(検察当局は三井逮捕と裏金疑惑の関連性を一貫して否定している)。

 両事件とも、権力側のアクションをきっかけに大きな注目を集めるようになった。だが、方向性は正反対だった。三井事件では、大新聞は申し合わせたように「内部告発者の犯罪」を大々的に取り上げ、「政府の悪事」をわきに追いやった。
 大新聞は「タッグを組んで」内部告発者を糾弾したのである。

かき消された検察の裏金問題
 逮捕当日の夕刊で、毎日新聞は関連記事の見出しに「明治以来の不祥事」という表現を使った。「明治以来の不祥事」とは、ピーク時に年間5億円以上に上っていた調査活動費が裏金に流用されているという疑惑のことではない。暴力団関係者との不動産取引に絡んで47万円の利益を得たなどと疑われた三井の逮捕のことだ。

・・・・・・・・・(略)・・・・・・ 
 三井自身はホームページ上で、拘置所内で逮捕時の報道を初めて読んだ時を振り返り、「逮捕された時に、いかにひどく報道されていたかを知って驚愕。マスコミにも怒りがわいてきた」と書いている。

 三井は詐欺・職権乱用に加えて収賄罪でも起訴され、6年後の2008年、最高裁で実刑が確定した。懲役1年8ヵ月、罰金22万円。一方、法務・検察当局は調査活動費の流用を否定し続け、今も裏金疑惑は解明されていない。

 法務・検察当局が裏金疑惑解明に自ら動かないとすれば、頼りになるのはマスコミだけだ。しかし大新聞は、裏金疑惑への関心を失ってしまったようだ。報道機関は本来、内部告発者自身が抱える問題とは別に、内部告発者が提供した情報が真実なのかどうか、独力で調査するよう求められているのに、である。
 内部告発者の匿名性はどうか。

三井事件では、内部告発者は匿名のままではマスコミから期待通りの協力を得られなかった。逮捕後、裁判などを通じて実名で告発する形になっても、大新聞は基本的に「内部告発者は犯罪人。だから信頼できない」という論調に終始。テレビや週刊誌を中心に「三井逮捕は口封じ」との特集もあったが、大勢に影響はなかった。

 ペンタゴンペーパー事件でもアフガン戦争日記事件でも、大新聞は内部告発者の匿名性を守ったまま報道に踏み切った。前者では、エルスバーグが内部告発者であることが早い段階で判明するが、大新聞が実名告発を求めたわけではなかった。後者では、「匿名での内部告発」を標榜するウィキリークスが情報源になっている。

 内部告発者の匿名性が最も話題になったのがウォーターゲート事件だ。連邦捜査局(FBI)の元副長官マーク・フェルトが「ディープスロートはわたし」と名乗りを上げるまで、数十年間にわたって匿名性は守られた。実名告発に頼らずとも、大新聞が調査報道によって証拠を集め、報道したため、事件の全貌はとっくの昔に明らかにされている。

 三井事件は、アフガン戦争日記やペンタゴンペーパー事件などとはスケールも性質も異なる。だが、大新聞が「内部告発者の犯罪」か「政府の悪事」のどちらに力点を置くのかを点検するうえで、比較材料になる。
 47万円の詐欺容疑などで逮捕され、「悪徳検事」のレッテルを張られた三井。一方、国家反逆罪に問われながらも刑務所送りを免れ、「英雄」と呼ばれたエルスバーグ。「政府の悪事」を暴くという点で、三井は失敗し、エルスバーグは成功した。2人の運命がこんなに違ってしまった一因は、大新聞の報道姿勢にもあるのではないか。

 権力のチェック役として情報源(内部告発者)を守り、「政府の悪事」究明に全力を上げる――。こんな姿勢を見せない限り、ウィキリークスは日本の大新聞に期待しないだろう。
 (敬称略)

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