●出雲市との合併決着へ 斐川町住民投票 賛成が上回る 島根
産経新聞 10月18日(月)7時56分配信
島根県出雲市との合併の賛否を問う斐川町の住民投票が17日行われ、即日開票の結果、賛成が9743票で反対の5991票を上回った。過去10年間にわたって町を二分して争われた合併問題は、合併を求める住民側に軍配が上がった。今月下旬に開かれる臨時町議会で合併関連議案が可決される見通し。当日有権者は2万2181人。投票率は71・26%。
開票は午後7時15分から町中央公民館で行われ、合併賛成が過半数を占めることが決まると、開票所に詰めかけた賛成派住民から歓声が上がった。
同町は平成15年、住民投票の結果を受けて単独町制を選択した。しかし、19年春に合併推進派の勝部勝明町長が当選して合併議論が再燃。昨夏の出直し町長選での勝部町長の再選、今年4月の合併協議会設置をめぐる住民投票での賛成多数に続き、民意による3度目の合併賛成が示された。
今回の住民投票をめぐっては、合併推進派の「出雲市との合併を進める会」(高橋幸男会長)と、反対派の「がんばる斐川の会」(矢野潔会長)が、集会を開いたり、チラシなどを配布して激しい論戦を繰り広げてきた。
斐川町の住民投票(開票終了)
賛成9743
反対5991
●斐川町議会「合併」否決 「民意無視」と批判の声も 島根
産経新聞 10月27日(水)7時57分配信
島根県斐川町議会は26日臨時会を開き、出雲市との合併に関する議案を反対多数で否決した。合併の賛否について民意を問う17日の住民投票で、賛成が多数を占めた投票結果を覆す議会判断に、合併推進派の住民からは「完全な民意無視」という激しい批判の声も出された。約10年間にわたって町を二分して争われてきた合併問題は町政に大きなしこりを残しそうだ。
採決は無記名方式で行われ、賛成7、反対8の1票差で合併は否決された。現在の議会構成での再議はできないため、当面、合併の可能性はなくなった。賛成派住民団体の鶴島国夫幹事は「民意を踏みにじる議会の暴挙だ」と怒りを示し、今後は議会へのリコール活動も検討したいとした。
一方、反対派住民団体の矢野潔会長は「合併に向けた町執行部の強引な世論誘導があった。議会のチェック機能が働いた」と話した。
否決を受け、勝部勝明町長は「まったくの遺憾。議会の倫理が問われる」と無念さをにじませた。合併推進を掲げてきた勝部町長は昨年8月の再選後、合併推進派の先頭に立ってきただけに、今回の否決を受け、責任を問う声も出そうだ。
●市町村合併:出雲市との合併議案否決 改めて合併に意欲 斐川町長が表明 /島根
毎日新聞 10月27日(水)15時16分配信
26日に斐川町議会で出雲市との合併関連議案が否決されたことを受け勝部勝明町長が記者会見し、来年10月1日の合併は遠のいたとの認識を示しつつも、「引き続き民意の実現に向け、あらゆる措置を講じたい」と、改めて合併を目指す考えを表明した。【細谷拓海、鈴木健太郎】
臨時議会で、出雲市との合併関連議案は賛成少数でいずれも否決された。「議員は投票結果を尊重しなければならない」と明記された住民投票条例を定めた議会が、3752票差だった住民投票(17日)の結果と異なる判断を下したことで、詰めかけた合併派の町民からは「民意はどこにいった」と、大きなため息が漏れた。
この日午前に開かれた議会運営委員会で、無記名投票方式とすることが決定。白票も反対票とされた結果、出雲市に編入することを盛り込んだ廃置分合議案は賛成7、反対8で否決された。
住民投票条例案の賛同者だった中林信夫議員は取材に対し、自身が白票を投じたと認めたうえで「『反対』というつもりはなかったが、法定協議会による住民説明の際、合併でなく単独を選んだ場合のメリットについて情報提供がされていないと感じた。従って十分な議論がされていないと思い、今回の採決では白票にした」と語った。
町民の関心は高く、31席の傍聴券はこの日午前9時前に配布を終え、立ち見で傍聴する町民も多数出た。傍聴した合併派の住民グループ「出雲市との合併を進める会」の多々納弘光・会長代行は「99%可決と期待していたのに。信じられないことが起きた」と、言葉を詰まらせた。
◆出雲市・斐川町の合併論議の経緯
01年10月 旧出雲市など2市5町で合併研究会設置
02年12月 2市5町の合併協議会(法定協)設置
03年12月 斐川町の住民投票で合併反対が多数を占める。賛成7415、反対8226
〃 斐川町の離脱で2市5町法定協解散
04年 3月 斐川町を除く2市4町が法定協設置
05年 3月 2市4町が合併して新出雲市誕生
07年 4月 斐川町長選で勝部勝明氏が初当選
08年 3月 勝部町長が「合併検討」を表明
11月 両市町が合併問題研究会を設置
09年 5月 斐川町議会が合併の是非を問う住民投票条例案を否決
6月 斐川町議会が住民投票条例案を再度否決
〃 勝部町長が辞職願提出
8月 出直し町長選で勝部町長が再選
10月 斐川町が出雲市に法定協設置を依頼
12月 斐川町議会が法定協設置議案を否決
10年 2月 斐川町民が法定協設置を直接請求
3月 出雲市議会が法定協設置議案を可決したが、斐川町議会は否決
4月 法定協設置の是非を問う斐川町住民投票で賛成が多数
5月 両市町の法定協設置
7月 斐川町議会が電算システム統合予算案を否決
9月 両首長が合併協定書に調印
10月 合併の是非を問う斐川町住民投票で賛成多数。賛成9743、反対5991
斐川町議会が合併関連議案を否決
●合併議案 再提案へ 斐川町長が出雲市長に意向 島根
産経新聞 10月29日(金)7時56分配信
島根県斐川町の勝部勝明町長は28日、出雲市の長岡秀人市長を訪れ、町議会が否決した同市との合併に関する議案を、11月に開催予定の臨時会か12月定例会に再提出する意向を伝えた。合併賛成票が上回った住民投票の結果を、ほごにした町議会への町民の反発も強く、再提案への町議会の対応が注目される。
勝部町長は「合併を求める多数派町民の意思を実現するため、議会で賛成していただくよう最善を尽くす」と述べた。長岡市長は「町議会での否決は残念だったが、われわれが目指したものはいささかも変わりなく、今後も相談していきたい」と理解を示した。
勝部町長、長岡市長は、合併に関する協定事項などを再確認する合併協議会を11月5日に開くことを申し合わせた。 |