「今ひとつ話題を欠く」というよりは、各省庁の官僚と組んだ民主党議員の仕分けでの指摘に対する強い反発が注目された。
政権交代後の昨年は、「『要求大臣』から『査定大臣』に」といわれて注目されていたけれど、自民党政権時代の、「『要求大臣』」になったということ。
「反発相次ぎ政権看板は岐路に」とも報道されている。
いずれにしても、結果として、民主党議員の「族議員化」が明確に印象付けられた。
個別事業がどうこう以前に、重大な問題だ。その意味では、今回の成果はそれなりにある。
今回の再仕分けの始まる前に、蓮舫大臣は、仕分けは終わりにする旨を述べていた。
昨日の終了後に、今後のことが協議されたという。
(時事通信) 「こうした中で行われた夜の議論では、出席者が『これからが大事だ。民主党の自浄作用が問われる局面に入る』(寺田学首相補佐官)などと仕分けの意義を強調。今後も仕分けを継続する必要があるとの認識で一致し、課題としては行政刷新会議と似た機能を持つ会計検査院、総務省行政評価局との連携などが挙げられた。」
これに関して、刷新会議の議長の菅首相は週末に各閣僚を招いて勉強会を開き、ここで方向性を決めるらしい。
ともかく、昨日までの成果。
廃止事業をいくつと数えるかは、報道機関によってバラつきがある。
(朝日) 「4日間で11府省の計101事業を取り上げ、28事業を『廃止』、16事業を『予算計上見送り』などと判定した。今回の結果を来年度予算編成に反映しても、削減額は2千億円程度にとどまる見通しだ。 」
とりあえずは、今後どうするかのメドか出る週末の会議を注目しよう。
(このブログの関連エントリー)
11月15日 ⇒◆事業仕分け第3弾後半は今日スタート/看板替え事業の「再仕分け」は可能か
11月16日 ⇒◆2日目の仕分け予定/1日目の結果。再判定に反発・民主の族議員化で
11月17日 ⇒◆3日目事業仕分け/政府方針の予算要望まで 政務三役、反発 政府・与党内に確執
11月18日 ⇒◆最終日の仕分け/菅首相の傍観は何故
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●共同通信/事業仕分け結果の詳報
行政刷新会議の「再仕分け1560件」最終日の結果詳報は次の通り。
2010/11/18 21:50 【共同通信】
●再仕分け終了 33事業廃止または一部廃止
2010年11月19日 0:43
政府の事業仕分け第3弾で、再仕分け作業が終了した。4日間行われた再仕分けで計33の事業が廃止または一部廃止と判定された。
18日は、過去の仕分けで「廃止」や「予算要求の縮減」などと判定された事業の見直しが行われた。その結果、文科省が看板を掛け替えて出してきたとされる「大学教育質向上推進事業」など計12の事業について「廃止」と判定された。また、すべての仕分け日程終了後に、過去3回の仕分けで見えてきた問題点や今後の課題について、蓮舫行政刷新相らが特別セッションとして議論した。
民主党・枝野幹事長代理「公開の場でこういったことをやっていかないと、なかなか長年染みついている癖で変わらないんじゃないかというのが私の非常に強い印象」
蓮舫行政刷新相「どこまでやり続けるのかと言ったときに、いたちごっこになってはいけない。既存の組織とどういう連携がとれて、事業仕分けはどういう形になればいいのか」
片山総務相「時の政府が非常に重要だと思っている政策がある。それと事業仕分けとの間の関連、連携がうまくとれないといけない。」
荒井衆議院議員「(今度は)税金はプライオリティーとして、どこに優先的に使ったらいいのかというポジティブな使い方を事業仕分けができるようにバージョンアップができればいいのではないかな」
今後の事業仕分けのあり方については、今週末に首相も交えて議論し、方向性を示していくという。
●事業仕分け:第3弾終了、27事業「廃止」
毎日 2010年11月18日
政府の行政刷新会議は18日、事業仕分け第3弾の作業を終えた。後半日程の4日間は、112事業を対象に、過去の判定結果が来年度の予算要求に反映されたかを検証する「再仕分け」が中心。
計27事業を「廃止」、16事業を「予算計上見送り」、26事業を「予算要求の縮減」と判定した。縮減要求額は合計で少なくとも約2100億円に上ったが、11年度予算の概算要求・要望総額96兆7465億円と比べると、歳出削減効果は大きくはなかった。
09年11月に始まった事業仕分けはこれで一段落し、今後のあり方を蓮舫行政刷新担当相らが、菅直人首相と協議していく。
同日の作業終了後も、蓮舫氏や片山善博総務相、民間仕分け人などが、09年11月以降の一連の仕分けの意義について議論。公開の場で予算編成について議論する重要性については認識が一致したが、従来通りの形で仕分けすべきかは明確にならなかった。蓮舫氏は「(会計検査院など)既存の組織とどう連携を取り、仕分けをどういう形にすればいいのか今後議論したい」と総括。21日に菅首相と新たな仕分けのあり方について協議を始める。
新成長戦略の柱の「総合特区」構想の「推進調整費」(内閣府)は、要求額820億円の根拠があいまいだったため「予算計上見送り」と判定されたが、仕分け人から「特区推進のための財政措置は必要」と認められたため、一定額が予算計上される可能性が高い。
18日の作業では、大学生の就職支援事業を助成する文部科学省の「大学生の就業力育成支援事業」に、「大学の収入でまかなうべきだ」との意見が相次ぎ「廃止」と判定。ただ、民主党政権が認めた予算要求を民主党議員が仕分けることに対し、政務三役から異論が相次いだ。森田高総務政務官(国民新党)は18日の参院予算委員会で「公の会議で『焼け太り』などと指摘されては、国家公務員が国のために体を張って仕事できない」と不満を示した。
こうした反発があることについて、菅首相は18日夜、官邸で記者団に「仕分けの一番いいところは、みんなが見ているところでお金の使い方を議論すること。いろんな意見が出るのは大変健全だ」と語った。【倉田陶子、高橋昌紀】
●事業仕分け変質 身内が抵抗「政務三役が族議員に」
朝日 2010年11月19日3時0分
過去の「事業仕分け」の結果を十分反映していない事業を対象とした菅政権の事業仕分け第3弾後半戦は18日、全日程を終えた。4日間で11府省の計101事業を取り上げ、28事業を「廃止」、16事業を「予算計上見送り」などと判定した。今回の結果を来年度予算編成に反映しても、削減額は2千億円程度にとどまる見通しだ。
今回の対象事業は、いずれも政権交代後の政権が予算要求したものだ。これまでのように、仕分け人の国会議員が官僚を追い込むような場面は影を潜め、「政治家」対「政治家」の構図に。仕分けの判定に納得しない各府省の政務三役からは不満が噴出した。
「物事は初めはフレッシュでも、だんだん腐っていく。五輪だってそうでしょ。4年に1回やるからはじめて価値がある」。18日に説明者として参加した農林水産省の松木謙公政務官は仕分け後、判定に納得いかない様子で語った。
この日、農水省の事業が「廃止」と判定されると、田名部匡代農水政務官はすぐさま「政府の代表としてやると約束している。ここで廃止といわれても、今すぐやめるのは不可能だ」と反論。篠原孝農水副大臣も17日、仕分け人の指摘に「私からみると、難癖以外のなにものでもない」。15日には「仕分けは野党的なやり方で、歴史的使命を終えた」とまで言い切った。
今回の「再仕分け」では、菅政権が6月に閣議決定した「新成長戦略」の目玉政策でも例外なく対象にした。仕分けを主催する行政刷新会議は「再仕分けの結果を来年度予算に反映できなければ、これまでの仕分けの信頼性が失墜する」との危機感があったからだ。しかし、政務三役らは閣議決定を盾に、仕分け批判を展開した。
「内閣全体として決めている」。15日の総務省の情報通信技術関連事業の仕分けで森田高政務官は声を荒らげた。新成長戦略にはこの事業の推進が盛り込まれ、9月に閣議決定した追加経済対策にも入っていたからだ。だが、結果は「廃止」。森田氏は「仕分けと政権の意思決定がどういう関係があるのか理解できない」と憤った。
仕分けは予算編成や政策決定過程を透明化した。昨年秋の第1弾では約7千億円の予算を削減し、埋蔵金を合わせ約1.7兆円の財源を捻出(ねんしゅつ)。ただ、独立行政法人と公益法人を対象とした今春の第2弾は1兆円超の国庫返納を求めたが、各府省などの抵抗で実現できるか不透明だ。第3弾前半戦での予算削減額は6千億円前後、今回も2千億円程度にとどまり、財源捻出の役割には限界も見えた。
政権内の「仕分け不要論」が収まらない状況に、仕分け人の一人は「政権交代からわずか1年で政務三役が完全に『族議員』になった。仕分けはもうどん詰まりだ」と嘆く。スタート時には「査定大臣」として予算の厳しいチェックを求められた政務三役も、従来通りの「要求大臣」に変質。「政治主導」による予算編成も風前のともしびだ。
今後は年末の来年度予算編成に向け、仕分け結果をどう反映させるかが焦点となる。笠浩史文部科学政務官は18日の仕分け後、「これから政治が決めていく話。仕分けで決める話じゃない」と語った。
行政刷新会議の議長は菅直人首相で、内閣の予算案を最終的に決める立場にある。予算編成で一つひとつの仕分け結果をどう扱うのかという判断がのしかかることになる。
●仕分け劇場、とりあえずは継続 政権内から「最初はフレッシュでも…」の声も
産経 2010.11.19 00:46
政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)は18日、事業仕分け第3弾(後半)の再仕分けの全日程を終えた。蓮舫行政刷新担当相らは作業後、今後の仕分けのあり方について協議し、新たな形で継続していくことは確認したが、具体策は菅直人首相も交えて再協議することにした。
自らが決定した予算要求に自らが「廃止」や「予算削減」の烙(らく)印(いん)を押していく自己矛盾が浮き彫りになった今回の再仕分け。民主党の看板事業の今後は不透明だ。(坂本一之、寺田明伸)
再仕分けでは、対象の112事業のうち26事業を廃止、16事業を予算計上見送りと結論づけたが、無駄削減による財政効果は、予算削減や資産返納分を含めて約3千億円にとどまった。
平成23年度予算案に概算要求を提出した各府省の政務三役からは、「これが予算編成の最終決定でない」と、タカをくくる意見が相次いだ。筒井信隆農水副大臣は18日、再仕分けを振り返り、「(法律や予算を決定する)国会の権限を侵すことになる」と批判した。
そもそも、事業仕分けの原点は、長い自民党政権下で硬直した予算構造にメスを入れることで、財源を捻出(ねんしゅつ)しようという試みだったはず。だが、今は民主党政権がまとめた予算要求を自ら裁いている。要求段階で各府省の政務三役によるチェックが十分に機能していれば、国民の税金を使って事業仕分けを行う必要がないことは明白だ。
17日の仕分け作業では、政府が来年度の創設を目指す「総合特区制度」の推進に向けて内閣府が要求した調整費が予算計上見送りと判定された。こうしたことを続ければ、政権の自己否定にもつながる。
作業後の協議では、このまま事業仕分けを継続するかどうか意見が分かれた。蓮舫氏は「(仕分けの)いたちごっこになってはいけない。『仕分け予算も無駄だ』といわれないよう、どうすればいいのか…」と苦しい胸の内を吐露した。片山善博総務相は、事業仕分けとともに財務省や会計検査院、国会審議などのクロスチェック体制こそが重要と訴えた。
予算編成の過程を国民の目に示す事業仕分けという政治手法が、「政権交代」の効果を実感させた功績は大きい。しかし、政権内からは「物事というのは初めはフレッシュでも腐っていくんですよ。民主党政権も一緒」(松木謙公農水政務官)と厳しい声も上がっている。
●事業再仕分け最終日 反発相次ぎ政権看板は岐路に
テレビ朝日 11/18 11:51
第3弾となる事業仕分けが最終日の討議を行っていますが、去年から始まったこの事業仕分けのあり方に疑問の声も出てきていて、一つの節目を迎えています。
18日午前中は、「宇宙開発予算」が効果的に使われているかが議論となり、会場には宇宙飛行士の山崎直子さんも駆けつけました。過去の仕分けで「予算の縮減」が相次いだ宇宙関係事業ですが、今回は「今年度予算の水準維持」と判定されました。
この4日間の「再仕分け」では、副大臣らが判定結果に「難癖以外の何物でもない」などと公然と反発する姿が相次いでいます。仕分け人が個々の判断で事業の是非を判断するやり方は、感情的なしこりを残す結果となっています。
事業仕分けの関係者も「いつまでも役所側に切ってかかっていくスタイルでは、長続きしない」と話しています。夕方には蓮舫大臣も参加して、今後の事業仕分けのあり方を議論する予定で、民主党政権の一大看板が今、大きな岐路に立っています。
●仕分け 政府内であり方検討へ
NHK 11月19日 4時18分
18日まで行われた政府の「再事業仕分け」で、政府方針と仕分けの結果が食い違うものもあるという批判が出たことを踏まえ、政府は、「事業仕分け」の今後のあり方について検討することにしています。
政府の行政刷新会議は、「事業仕分け」の第3弾として、これまでの仕分けの結果が反映されているか検証する「再事業仕分け」を、18日まで4日間行い、対象の112事業のうち33事業を「廃止」としました。
ただ、今回の「再事業仕分け」では、民主党政権の下で行った予算編成を仕分けの対象としたことで、政府方針と仕分けの結果が食い違うものもあり、事業を検証された政務三役側から批判も出されました。
また、政府内には、国民の関心も下がっているうえ、同じように続けても成果は限られるとして、「事業仕分け」は打ち切ったほうがいいのではないかという意見も出ており、蓮舫行政刷新担当大臣は、18日夜、「事業仕分けの役割は、本来、各省庁の中にあるのが好ましい」と述べました。
こうしたことから、政府は、「事業仕分け」の今後のあり方について、今週末に菅総理大臣も交えて議論することにしており、政府内から批判が出たことも踏まえて、会計検査院や総務省行政評価局との連携などを検討することにしています。
●仕分け劇場、矛盾に直面=今後の対応、結論出ず
時事 2010/11/18-22:29
政府の行政刷新会議は18日、事業仕分け第3弾の全日程を終えた。過去の仕分けは、自民党政権時代の予算をばっさり切ることで民主党に対する世論の支持を集めたが、第3弾では政府の一員として同僚議員がかかわる予算にメスを入れる矛盾に直面。同日夜には蓮舫行政刷新相らが今後の仕分けの在り方をめぐって議論を交わし、仕分けの必要性では意見が一致したものの、どう変えていくかについては結論を持ち越した。
「長いスパンで考えなければならない政策に、どこまで費用対効果の概念が及ぶのか」-。所管事業を「廃止」と判定された総務省の森田高政務官は、18日午後の参院予算委員会で仕分けを痛烈に批判。仕分け開始1年を機に、「今こそ冷静に考えるべきだ」と手法を見直すよう求めた。
同日に厳しい判定を受けた農林水産省の筒井信隆副大臣も、仕分けには「政府方針を決定する権限はない」と反発。法的な強制力がない仕分けの限界も露呈しつつある。再仕分けでは、与党の政務三役が自ら府省側の説明役を買って出る場面が目立ち、やりにくさを感じた民主党若手の仕分け人もいた。
こうした中で行われた夜の議論では、出席者が「これからが大事だ。民主党の自浄作用が問われる局面に入る」(寺田学首相補佐官)などと仕分けの意義を強調。今後も仕分けを継続する必要があるとの認識で一致し、課題としては行政刷新会議と似た機能を持つ会計検査院、総務省行政評価局との連携などが挙げられた。
同会議の議長を務める菅直人首相は週末に各閣僚を招いて勉強会を開く予定。こうした課題も話し合われる見通しだが、蓮舫氏は「(仕分けには)いろいろな問題点や改善点がある。それを流動的に変えていけばいい」とするにとどめた。
●社説:「仕分け」に区切り 結果の総括を忘れずに
毎日新聞 2010年11月18日 2時30分
政府の行政刷新会議による事業仕分け第3弾の後半戦が行われている。これまで廃止や見直し判定を受けながら従わずにいる事業の「再仕分け」がテーマで、昨年11月からの一連の作業は区切りを迎える。
国民の目にふれにくかった税金のムダ遣いを仕分け人が衆人環視の下で点検したことを改めて評価したい。一方で、仕分けがムダ削減に実際どこまで貢献したか、議論もある。これまでの作業に伴う財源の捻出(ねんしゅつ)額と制度見直しなど「成果」を刷新会議は国民に説明すべきである。
・・・(略)・・・・
現行の事業仕分けにしても、中央官庁が地方行政を縛る各種基準の撤廃や国の地方出先機関の見直しなど、応用可能な分野はまだ多いのではないか。一時は社会現象にまでなった政権交代を象徴する改革手法だけに、今後も生かせるよう政府はチエを絞ってほしい。
●事業再仕分け 「継続こそ力」ではないか
西日本 2010年11月18日 10:56
「廃止」とされた事業が、霞が関のゾンビよろしく、いつのまにか生き返っている。こんなことがまかり通れば、国民の支持を集めた過去の事業仕分けは一体何だったのか、ということになる。
・・・(略)・・・・
そんな中、蓮舫行政刷新担当相は1年に及ぶ事業仕分けの発展的解消を示唆した。最終日の18日には、会計検査院や総務省などの行政監視機能も含め、仕分けの今後のあり方を議論するという。
しかし、ここでもし幕を閉じるなら、あまりに中途半端である。再仕分けが必要なほど、「政と官」にはまだ仕分けの意義が浸透していないからだ。
仕分けを行政効率化の手法として根付かせるには当面、粘り強く続ける必要がある。その際は現行の問題点を検証し、仕分けの基準の明確化や結果を予算編成に的確に反映させる仕組みを検討し、進化させるべきだ。概算要求前の「省内仕分け」の継続と厳格化は当然である。
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