●選択的夫婦別姓制度
西日本新聞 2011年2月10日掲載 /ニューストップ > ワードBOX >選択的夫婦別姓制度
夫婦が希望する場合には、それぞれの姓を結婚後も名乗れる制度。どの夫婦も同姓か別姓を選べるようになる。日本世論調査会の2009年調査では、賛成派49%、反対派48%と真っ二つに割れたが、20―50代は賛成派が過半数だった。現行の民法750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」として夫婦同姓を規定している。
夫婦別姓 読者の意見は
■新訳男女 語り合おう■
東京など3都府県の男女5人が近く、夫婦別姓を求める訴訟を東京地裁に起こすことを表明しました。「選択的夫婦別姓」制度の導入を、政府の法制審議会が答申して15年。賛否が分かれたまま放置されてきましたが、今回の提訴を機に、あらためて議論を進めてみませんか。そのきっかけになればと、読者のみなさんから「新訳男女」取材班に寄せられた意見の一部を紹介します。
●選択できれば
そもそも全員が夫婦別姓にするという法律でもないのに、なぜそんなに反対しなければならないのでしょうか。いろんな選択をしていい世の中なのに。
私も結婚後、ささいなことでけんかをしたとき、夫から「姓が変わったのだから、俺の言うようにしろ」と怒鳴られ、そのための姓なのかと思ってしまいました。家庭はもちろん、社会の中でも女性だけがつらい思いをしている場面が多いと思います。私もできれば旧姓に戻りたいです。 (50代、女性)
●家族が壊れる
大反対です。一つの家族の中で姓が異なるなど考えられません。家族という概念が無茶苦茶になり、壊れてしまいます。
旧姓にこだわりたいのであれば、戸籍とは別に通称を使えばいいのでは。夫の墓に入りたくなければ、結婚しなければいい。
個人の権利を主張する人もいますが、何にでも一定のルールは必要です。支障がない限り従うべきでしょう。みんなが個人の権利ばかりを主張していたのでは、国が成り立ちません。 (60代、女性)
●自立し対等に
姓を変えることが「相手の家の一員になる」と感じられ、抵抗感があります。半面、旧姓のままキャリアを築きたくても、現行では通称を使うか事実婚しかなく、役所の手続きが不便だったり、相続の問題があったりして気が引けます。
別姓を認めたからといって、国民が一斉に別姓を希望して混乱が生じる状況は想像しがたいです。確かに子どもの姓や手続きの複雑化という問題はあります。ただ、そうした論点ではなく、夫婦や家族の絆が壊れるという理由で議論を放棄するのは、古い価値観の押しつけのように感じます。
姓が違っても、違うからこそ、互いに自立した存在として尊重し、対等で思いやりのある家庭を築きたいです。 (20代、女性)
●意識を変えて
大賛成です。私は主婦ですが、以前から嫁意識の強い田舎の風習に納得がいきません。夫の姓になったからといって、自分の親より相手の親を重んじる傾向もあり、かといって嫁というだけで姑(しゅうとめ)からいろいろ求められます。家と結婚したわけではないのに。制度が導入され、そういう意識が少しでも変わってくれればと願います。 (30代、女性)
●根幹成すもの
姓氏には長い歴史があり、伝統や文化と関わって家族の根幹を成してきたものだ。それが、時代の流れだからと「個人の尊重」「両性の平等」などの権利意識で問題にしていいのか。
憲法のいう人権や個人などの論と、これからの日本の姿、民族の行方に関わる家族の問題を、同一レベルで論ずるのはおかしい。選択的別姓といっても、生まれる子の意思は入っていない。その子が大きくなると、新たに憲法上の問題が出てくるのではないか。 (70代、男性) |