● 全国知事会のWebページ ⇒ 「地方自治法抜本改正についての考え方(平成22年)」(平成23年1月26日・総務省)【概要】

●1.地方公共団体の基本構造のあり方
○ 現行の二元代表制を基本とし、地方自治体の判断でこれとは異なる基本構造を選択できることとする必要性や根拠について、どう考えるか。
○ 議員の一部が執行に参画することは、議事機関としての本来的な役割を十分に発揮することに支障が生じてしまいかねないことをどう考えるか。
○ 複数の選択肢の中から基本構造を選択できることとした場合、その選択方法(憲章・自治基本条例・住民投票等)についてどう考えるか。
→ 各方面から幅広く意見を聴きながら、引き続き検討。
●2.長と議会の関係のあり方
○ 長と議会の議員は、それぞれ直接選挙され、相互の本来的な役割を行使していることから、地方自治体の運営について長と議会が互いに異なる立場をとることは当然に想定されることであり、これを前提とした制度設計が図られるべきではないか。
○ 長と議会は、地方自治体の運営についてそれぞれが相互の役割を全うすべく、建設的な議論を行う観点から、再議等を活用すべきではないか。
○ 長と議会の立場の相違が解決されない場合には、住民の意向がより直接反映されやすくする方策を検討すべきではないか。
(再議制度)
→ ①現行の一般再議制度の対象とならない議決(法§96②で議決事件とされたもの等)を再議の対象とすること、②収支不能再議の廃止は、速やかに制度化を図る。
→ 災害応急等再議、違法再議に係る審査申立てについては、引き続き検討。
(長の専決処分)
→ ①副知事・副市町村長の選任を専決処分の対象から除外すること、②専決処分報告を議会が不承認とする場合に長に条例改正案・補正予算案の提出等の措置を義務付けることについては、速やかに制度化を図る。
(議会の招集権)
→ 議会側の招集請求に対して長が招集義務を果たさない場合の議長への議会招集権の付与については、速やかに制度化を図る。
(条例の公布の見直し)→ 再議等を講じた場合を除き、長は20 日以内に条例を公布しなければならないとすることについては、速やかに制度化を図る。
●3.住民自治制度の拡充
(1)議会のあり方
○ 議会の審議の活性化や幅広い層の住民が議員として活動を行えるようにする観点から、議会の会期のあり方をどのように考えるか。
○ 幅広い層の住民が議員として活動を行えるようにするために、労働法制や公務員法制において環境整備のための制度(議員活動中の休職・休暇、復職制度等)についてどう考えるか。
○ 例えば、労働基準法などの関係法律に、議員在職中における雇用契約に係る有給休暇制度、一時休止・退職制度を設けることや、併せて、地方公務員が他の地方自治体において議員活動を行えるようにするために、地方自治法や地方公務員法などの関係法律に、一定の役職を除き、立候補・兼職禁止規定を解除すること等を規定することはできないか。
(労働法制等)→ 多様な層の幅広い住民が議員として活動できるようにするための労働法制・公務員制度については、国民的な論議が幅広く行われることを期待する。
(会期制)→ 会期制の見直しについては、速やかに制度化を図る。
(議員の選挙制度のあり方)→ 都道府県議会議員の選挙区等の地方公共団体の議会の議員の選挙制度について引き続き検討。
(議会のあり方)→ 今後の議会が果たすべき機能を踏まえた議会のあり方、議会の活性化のための方策、議員の果たすべき役割の法定化等について引き続き検討。
(2)代表民主制を補完する直接民主制的手法の充実
① 住民投票制度
○ 住民一人一人が直接その意思を表明できる政治参画手法であるが、その一方で、住民投票は、数の力によって少数者の意見を反映させる途を閉ざしたり、多様な利害を反映した柔軟な解決手法の選択を困難にするおそれがあるのではないか。
○ 住民投票の対象によっては、国民的利害と地域的利害との対立
を引き起こす可能性を否定できないのではないか。
→ 住民投票の制度化に当たっては、まずは対象を限定して立案し、その後、実施状況をよく見極めた上で、制度の見直しを検討していくことが適切。
→ 具体的には、大規模な公の施設の設置の方針を対象として、速やかに制度化を図る。
→ また、市町村の廃置分合の是非が考えられるが、今後における基礎自治体のあり方の議論の中で引き続き検討。このほか、現在、国会に提出中の議会の議員定数の法定上限廃止を内容とする地方自治法一部改正案が成立した場合、その運用状況を見極めながら、議会の議員定数を対象とすることについても、議論を深める。
→ 長と議会が対立し、他の方法によってはその解消が期待できないような局面についても住民投票の活用が考えられるが、この点については、地方公共団体の基本構造のあり方の中で引き続き検討。
② 直接請求制度の見直し
(略) → 解散・解職請求における、①署名数要件の緩和、②署名収集期間の延長 等について、速やかに制度化を図る。
○ 条例の制定改廃の直接請求の対象から地方税等の賦課徴収に係るものを除外していることについて、これまで地方税財政制度のルールの構築が図られてきた中で、今もなおこれを除外することに理由はなくなっているのではないか。
→ 地方税等の賦課徴収に関する事項を条例の制定改廃の直接請求の対象とすることについて、速やかに制度化を図る。
○ 必要署名数を引き下げる等、署名に関する要件を緩和することとした場合の住民投票による解散・解職の成立要件をどう考えるか、リコールで失職した長・議員について次の選挙に限り立候補を制限することについてどう考えるか。
→ 長等の解職投票で失職した者の立候補制限、解職・解散投票の成立要件の設定 等について引き続き検討。
③ 住民訴訟制度の見直し
○ 係属中の訴訟に係る損害賠償請求権・不当利得返還請求権について議会が放棄することを制限すべきか。
○ 損害賠償請求権の放棄の議決について、時期を問わず放棄を行うための要件を設けるべきか。放棄について一定の上限額を設けるべきか。
→ 住民訴訟の対象とされた長等に対する損害賠償請求権等の放棄の制限・要件について、判例の動向を踏まえながら、4号訴訟における長の責任要件・賠償額等の制限の是非を含め、引き続き検討。
4.国と地方の係争処理のあり方
○ 現行制度は、地方自治体に対する国の関与を巡り国と地方自治体間で争いが生じた場合、地方自治体側からのみ、第三者機関への審査の出、裁判所への訴えの提起によって、問題の解決を図るものとされ、国の側からは審査の申出や訴え提起ができないことについてどう考えるか。
→ 国と地方自治体の間で法律解釈を巡る齟齬が生じた場合に地方自治体側のみでなく、国側からもこれを解消する手段を講じることができるようにするため、国等の是正の要求等に対する地方自治体の不作為の違法確認判決を求めて国等が訴えを提起できる仕組みの導入について、速やかに制度化を図る
5.基礎自治体の区分・大都市制度のあり方
○ 平成の合併により、市の要件を満たさない市が増加していることを踏まえ、市と町村の区分についてどう考えるか。
○ 規模や能力に応じた事務配分のための基礎自治体の区分は、指定都市から町村に至るまで、人口に着目して定めればよいと考えてよいか。
○ 基礎自治体のあり方に関わる問題であり、引き続き十分に議論をしていく必要があるのではないか。
→ 規模・能力に応じた事務配分のための基礎自治体の区分の要件を人口に着目して定めることが妥当か、都道府県に属さない大都市(特別市)の可能性、大都市における住民自治の充実 等について、引き続き検討
6.広域連携のあり方
○ 市町村合併の進展後も、行財政基盤の強化は重要であり、広域連携の仕組みの中から、市町村が最もふさわしいものを選択し、活用することが期待される状況を踏まえ、一部事務組合等の制度について、市町村の主体的な選択の幅を広げ、活用しやすいものとすることが重要ではないか。
→ ①一部事務組合等からの脱退手続の簡素化、②一部事務組合の議会・監査委員の役割を果たす組織形態の選択制、③広域連合の執行機関として理事会を置けるとすることについて、速やかに制度化を
図る。
7.監査制度・財務会計制度のあり方
(1)監査制度の見直し
(このブログでは略) |