月刊登記情報2008年2月号所収の、葉玉匡美弁護士講演録「司法書士のための会社法の諸論点」に関する若干のコメント。
(1)目的 a 具体性
登記所が「具体性」を審査しないということと、目的を具体的に定める必要がないことは異なる。具体的に定める必要がなく、抽象的に「商業」等でよいというのであれば、そもそも登記により公示する必要はない事項ということである。商業登記制度は、商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することを目的としているからである。
商業登記法
第1条 この法律は、商法 (明治三十二年法律第四十八号)、会社法 (平成十七年法律第八十六号)その他の法律の規定により登記すべき事項を公示するための登記に関する制度について定めることにより、商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することを目的とする。
登記により公示することを法律が要求している以上は、会社がいかなる事業を行うのかをある程度は具体的に定める必要があると解すべきである。ただ、登記所は、「具体性」の見地からは審査しない、というだけである。
e 営利性
本来、「営利」とは、利益を構成員に分配するシステムを採っていることを意味するが、 目的における「営利性」とは、個々の事業が「収益が上がる」事業であることを意味していたはずである。確かに、学校の経営、病院の経営又は農業は、目的に掲げることができなかったが、これは各々が収益性がない事業だからではなく、営利社団法人である株式会社が行うことが禁じられていたからである。
上記のとおり、商業登記制度は、商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することを目的としている以上、登記により公示する必要がある事業は、収益を上げることを目的とした(反面、経営判断を誤ると損失を被る可能性がある)「事業」であるべきで、たとえば寄附のように、本質的に収益性がないものは、たとえそれが他の収益性のある事業を補完する可能性があるものであるとしても公示の必要はないものである。
CSR(企業の社会的責任)の観点から、企業が収益性のないことを行うことも肯定すべきであると考えるが、定款に掲げるとしても、経営理念等と同様に、別条項に掲げて、登記をしない取扱いが妥当であると考える。
(1)目的 a 具体性
登記所が「具体性」を審査しないということと、目的を具体的に定める必要がないことは異なる。具体的に定める必要がなく、抽象的に「商業」等でよいというのであれば、そもそも登記により公示する必要はない事項ということである。商業登記制度は、商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することを目的としているからである。
商業登記法
第1条 この法律は、商法 (明治三十二年法律第四十八号)、会社法 (平成十七年法律第八十六号)その他の法律の規定により登記すべき事項を公示するための登記に関する制度について定めることにより、商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することを目的とする。
登記により公示することを法律が要求している以上は、会社がいかなる事業を行うのかをある程度は具体的に定める必要があると解すべきである。ただ、登記所は、「具体性」の見地からは審査しない、というだけである。
e 営利性
本来、「営利」とは、利益を構成員に分配するシステムを採っていることを意味するが、 目的における「営利性」とは、個々の事業が「収益が上がる」事業であることを意味していたはずである。確かに、学校の経営、病院の経営又は農業は、目的に掲げることができなかったが、これは各々が収益性がない事業だからではなく、営利社団法人である株式会社が行うことが禁じられていたからである。
上記のとおり、商業登記制度は、商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することを目的としている以上、登記により公示する必要がある事業は、収益を上げることを目的とした(反面、経営判断を誤ると損失を被る可能性がある)「事業」であるべきで、たとえば寄附のように、本質的に収益性がないものは、たとえそれが他の収益性のある事業を補完する可能性があるものであるとしても公示の必要はないものである。
CSR(企業の社会的責任)の観点から、企業が収益性のないことを行うことも肯定すべきであると考えるが、定款に掲げるとしても、経営理念等と同様に、別条項に掲げて、登記をしない取扱いが妥当であると考える。