月刊登記情報2008年2月号所収の、葉玉匡美弁護士講演録「司法書士のための会社法の諸論点」に関する若干のコメントpart⑨。
(11)「新株予約権の放棄をしたとき、放棄の意思表示を証する書面が必要か?」
「ハンドブック」・・・委任状以外の添付書面を要しない(359頁)。
「葉玉講演録」・・・登記実務で決めればよい。
旧商法では、新株予約権の「放棄」を原因とする変更登記がなされ、添付書面が要求されていたが、会社法においては、新株予約権は「放棄」により「消滅」(会社法第287条)したと考えるべきであるから、本来は「消滅」を原因とする変更登記をすべきである。登記実務上は、従来どおり「放棄」を原因とする変更登記が認められているが、私は、「消滅」とは別に「放棄」を原因とする変更登記を行うことには違和感がある。
添付書面については、基本的には商業登記法において法定されており、通達で補充的に手当てがなされているが、「消滅」を原因とする変更登記に関しては、商業登記法においても、また通達においても添付書面は要求されていないことから、仮に「放棄」を原因とする変更登記を申請する場合においても、「放棄」の意思表示を証する書面の添付は不要と解すべきである。
なお、放棄による消滅の有無については、下記においてかつて論じているので、ご参照下さい。
cf.
平成19年2月18日付「新株予約権の放棄」