司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

遺言による保険金受取人の変更

2008-02-26 19:54:36 | 会社法(改正商法等)
 先日公表された「保険法の見直しに関する要綱」によれば、遺言による保険金受取人の変更が可能である旨明文化されるようである。
http://www.moj.go.jp/SHINGI2/080213-3.html
※ 第3.2(2)ウ

 解釈上あいまいであったのが、可能である旨明文化されるということで、生保業界ではトピックのようである。実務上も重要であり、留意すべきである。
コメント

「株式の相続問題」

2008-02-26 19:15:33 | 会社法(改正商法等)
 中小企業の円滑な経営承継の観点から「株式の相続問題」を検討する拙稿を、市民と法2005年10月号(民事法研究会)に掲載したことがある。

 会社法施行前(法務省令案も明らかではない時期)のものであり、現在からみれば誤解していた点もあるが、中小企業の事業承継について、コンパクトにまとまっていると思うので、機会があればぜひご覧下さい。

 なお、同稿において、会社法第106条ただし書の解釈として、「ただし書規定が新たに設けられ、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合には、共有者の各々が法定相続分に応じて権利を行使することができるようになる。」と述べている点は、そうあるべきという期待が先走ったもので、誤解であったようだ。

 と言っても、この点に関する参考文献は、「会社法であそぼ」が唯一であると思われる。
http://blog.livedoor.jp/masami_hadama/archives/50055534.html

 今国会で、「中小企業の経営の承継の円滑化に関する法律」が制定される見込みであるが、上述のような内容を実現する改正もなされるべきであると思うのだが。
コメント

「知れば知るほど司法書士」

2008-02-26 18:08:45 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 1月13日(日)から、毎日曜日16:55~17:00、FM大阪で、近畿司法書士会連合会の広報番組である「知れば知るほど司法書士」が放送中ですが、本日3月分の収録がありました。

3月 2日(日)小川真理子さん(兵庫会)
3月 9日(日)宗田大輔さん(奈良会)
3月16日(日)山下幸司さん(奈良会)
3月23日(日)吉川孝弥さん(滋賀会)
3月30日(日)内藤 卓(京都会)

が登場します。私は、「中小企業の事業承継」について、お話します。ぜひお聴き下さい。
コメント

取締役権利義務承継者の解任の可否(最高裁判決)

2008-02-26 16:46:27 | 会社法(改正商法等)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=35802&hanreiKbn=01

 「会社法346条1項に基づき退任後もなお会社の役員としての権利義務を有する者に対する解任の訴えは許されない」とする最高裁判決が出ている。

 従来の先例の立場を維持するものである。

 「会社法第854条は、解任請求の対象につき、単に役員と規定しており、役員権利義務者を含む旨を規定していない。」「株主は、仮役員の選任を申し立てることにより、役員権利義務者の地位を失わせることができる。」ことが理由とされている。

 ちなみに、取締役の任期満了後も選任懈怠が続き、権利義務を承継している場合の議事録等の記載においては、「取締役」と記載される例が多いと思われるが、「取締役」ではなく、「取締役権利義務者」と記載すべきである。
コメント

京都弁護士会が税務訴訟②

2008-02-26 16:16:34 | 民事訴訟等
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008022600074&genre=D1&area=K10

 京都弁護士会が、同会の法律相談をきっかけに民事事件を受任した会員の弁護士が同会に納めている「受任事件負担金」に対する消費税課税を巡って税務訴訟を提起した事件の口頭弁論が開かれた。双方の主張は、真っ向から対立。
コメント

貸金業者の廃業増加

2008-02-26 09:58:23 | 消費者問題
http://mainichi.jp/select/today/news/20080226k0000m020170000c.html

 今年1月末現在の登録は、9819社。1か月で289社、1年で約2000社の減少。
コメント

会社の行為は商行為と推定される(最高裁判決)

2008-02-26 00:09:34 | 会社法(改正商法等)
 「会社の行為は商行為と推定され、これを争う者において当該行為が当該会社の事業のためにするものでないこと、すなわち当該会社の事業と無関係であることの主張立証責任を負う」とする最高裁判決が出ている。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=35796&hanreiKbn=01


 会社がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、商行為とされている(会社法第5条)。

 会社は、自己の名をもって商行為をすることを業とする者として、商法上の商人に該当する(商法第4条第1項)。

 商人の行為は、その事業のためにするものと推定される(商法第503条第2項)。

 したがって、会社の行為は商行為と推定され、これを争う者において当該行為が当該会社の事業のためにするものでないこと、すなわち当該会社の事業と無関係であることの主張立証責任を負うと解するのが相当である、という論理である。


 ところで、会社の営利性とは、「会社が対外的経済活動で利益を得て、得た利益を構成員に分配することを目的とする」ことをいう(江頭憲治郎「株式会社法」19頁)。

 しかし、「会社は、その事業のために必要あるいは有益な行為であれば、それ自体としては営利性を有せず、またその事業に直接つながらない行為でもなしうる。すなわち会社の営利性とその行う行為自体の非営利性とは必ずしも矛盾しないから、寄附のような非営利行為もなしうる」(弥永真生「リーガルマインド会社法」7頁)。

 このように、会社が「その事業としてする行為」とは、対外的経済活動たる行為であって、寄附のような非営利行為は、会社の行為として、一応は商行為と推定されるものの、会社の事業のために必要あるいは有益な行為、すなわち、「その事業のためにする行為」と推定される行為である(これを争う者において当該行為が当該会社の事業のためにするものでないこと、すなわち当該会社の事業と無関係であることの主張立証がなされれば、推定が覆されることがあり得る。)。

 そして、「株式会社がその事業としてする行為(定款所定の行為(会社法第27条第1号))及びその事業のためにする行為は、商行為とされている」(江頭・31頁)とあるとおり、定款に掲げる「目的」は、「その事業としてする行為」であるべきであり、「その事業のためにする行為」はその範疇に入らないと考えるのが相当である。

 したがって、それ自体としては営利性を有せず、またその事業に直接つながらない行為、いわゆる非営利行為を「目的」として定款に掲げることは認められないと考えるべきである。
コメント