月刊登記情報2008年2月号所収の、葉玉匡美弁護士講演録「司法書士のための会社法の諸論点」に関する若干のコメントpart②。
(2)代表取締役の就任承諾の要否
a 基本的な考え方の違い
「代表取締役は取締役の一種であって、別個に代表取締役になるからといって委任契約を要するものではないという理論で統一している」とあるが、本来権限も責任も異なるわけであるから、別個に委任契約を要すると考えるのが自然であろう。
取締役会設置会社であると否とを問わず、取締役に就任しようとする者は、「将来は代表取締役に選ばれるかもしれないな」とは考えるであろうが、「取締役の地位と代表取締役の地位が未分化であり、取締役会を廃止するとき、あるいは、他の取締役の全員退任によって委任契約もなしに(従って、就任承諾行為もなしに)、当然に代表取締役になる」とは考えてもいないのである。取締役会を廃止する等の場合に、選任行為もなしに「代表権が付与」されるケースがあり得るとしても、委任契約(従って、就任承諾)は当然必要であると考えるべきである。
b 非取締役会設置会社の設立時代表取締役の選定方法
とりあえずは解釈で救済されているが、会社法の改正により、条文の手当てをすべきであろう。
d 発起人が決定する場合の要件
発起人が「設立事務を行う受任者」としての立場と「設立時発行株式の引受人」としての立場を併有しているのは事実であり、募集設立においてはそのような区別が必要であろうが、発起設立において果たしてそのような区別が必要であろうか。
発起設立においては、発起人は、「設立時発行株式の総数引受人」としての立場で設立事務を行っているだけである。そこでは、「設立事務の領域なので、発起人の過半数で」ではなく、資本多数決の論理が働くのが当事者間の合理的意思であろう。発起人の議決権の過半数で決定するのが妥当であると考える。
(2)代表取締役の就任承諾の要否
a 基本的な考え方の違い
「代表取締役は取締役の一種であって、別個に代表取締役になるからといって委任契約を要するものではないという理論で統一している」とあるが、本来権限も責任も異なるわけであるから、別個に委任契約を要すると考えるのが自然であろう。
取締役会設置会社であると否とを問わず、取締役に就任しようとする者は、「将来は代表取締役に選ばれるかもしれないな」とは考えるであろうが、「取締役の地位と代表取締役の地位が未分化であり、取締役会を廃止するとき、あるいは、他の取締役の全員退任によって委任契約もなしに(従って、就任承諾行為もなしに)、当然に代表取締役になる」とは考えてもいないのである。取締役会を廃止する等の場合に、選任行為もなしに「代表権が付与」されるケースがあり得るとしても、委任契約(従って、就任承諾)は当然必要であると考えるべきである。
b 非取締役会設置会社の設立時代表取締役の選定方法
とりあえずは解釈で救済されているが、会社法の改正により、条文の手当てをすべきであろう。
d 発起人が決定する場合の要件
発起人が「設立事務を行う受任者」としての立場と「設立時発行株式の引受人」としての立場を併有しているのは事実であり、募集設立においてはそのような区別が必要であろうが、発起設立において果たしてそのような区別が必要であろうか。
発起設立においては、発起人は、「設立時発行株式の総数引受人」としての立場で設立事務を行っているだけである。そこでは、「設立事務の領域なので、発起人の過半数で」ではなく、資本多数決の論理が働くのが当事者間の合理的意思であろう。発起人の議決権の過半数で決定するのが妥当であると考える。