日経記事によれば,
「元検事総長の原田明夫・社外取締役が手を挙げ,『村野社長の解任と,真二氏の社長昇格』という緊急動議を出した・・・当事者である村野氏を除いた5人の取締役のうち3人が賛同した」
ということである。そして,動議が採り上げられた結果,「現社長の解職」(会長及び代表取締役の解職を含む。以下,同じ。)と「新社長の選定」が一つの議案として審議され,決議されたわけである。
ところで,会社法においては,このように複数の決議事項が一つの議案中に含まれる場合,そのうちの一に特別利害関係を有する者は,議案全体について議決に加わることができないとは解されていない。議決に加わることができないのは,自らが特別利害関係を有する部分に限られている。
「現社長の解職」については,現社長である村野氏は,特別利害関係を有するから,議決に加わることはできない。したがって,「当事者である村野氏を除いた5人の取締役のうち3人が賛同」で行った決議は,もちろん有効である。
しかし,「新社長の選定」については,村野氏も議決に加わることができるから,村野氏が退席していない限り(在席していたようである。),出席者6名のうち過半数である4名の賛成が必要となる。ところが,本件においては,3人の賛同しかない。すなわち,「新社長の選定」決議は,有効に成立していないのである。
したがって,セイコーHDの新社長の選定決議は無効である,と考えられるが,いかがか。
cf. 平成20年2月11日付「取締役の特別利害関係」
「元検事総長の原田明夫・社外取締役が手を挙げ,『村野社長の解任と,真二氏の社長昇格』という緊急動議を出した・・・当事者である村野氏を除いた5人の取締役のうち3人が賛同した」
ということである。そして,動議が採り上げられた結果,「現社長の解職」(会長及び代表取締役の解職を含む。以下,同じ。)と「新社長の選定」が一つの議案として審議され,決議されたわけである。
ところで,会社法においては,このように複数の決議事項が一つの議案中に含まれる場合,そのうちの一に特別利害関係を有する者は,議案全体について議決に加わることができないとは解されていない。議決に加わることができないのは,自らが特別利害関係を有する部分に限られている。
「現社長の解職」については,現社長である村野氏は,特別利害関係を有するから,議決に加わることはできない。したがって,「当事者である村野氏を除いた5人の取締役のうち3人が賛同」で行った決議は,もちろん有効である。
しかし,「新社長の選定」については,村野氏も議決に加わることができるから,村野氏が退席していない限り(在席していたようである。),出席者6名のうち過半数である4名の賛成が必要となる。ところが,本件においては,3人の賛同しかない。すなわち,「新社長の選定」決議は,有効に成立していないのである。
したがって,セイコーHDの新社長の選定決議は無効である,と考えられるが,いかがか。
cf. 平成20年2月11日付「取締役の特別利害関係」